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金総書記の自尊心

 8月14日の朝日新聞によると北朝鮮の金正日総書記は、12日韓国のマスコミ社長訪朝団に対して、次のように語ったそうです。

 「私が指示すればすぐにでも米国と国交正常化する。米国がテロ国家指定をはずしさえすればすぐ正常化だ。ただ、日本との問題は複雑だ。過去の問題もあり、清算しなければならない問題もある。日本は日帝36年(の植民地支配)をわれわれに補償しなければならない。自尊心を曲げて日本と国交正常化はしない」

 言うまでもなく、北朝鮮とアメリカは3年あまりにわたる朝鮮戦争で、直接交戦した当事国です。この戦争で朝鮮半島は北も南も甚大な人的、物的被害を被ったはずです。その被害は日本の植民地支配下での“被害”とは比較にならないほどだと思います。金総書記はなぜこの損害には一言も触れずにアメリカとの国交正常化を急ぐのでしょうか。「テロ国家の指定をはずしさえすれば」というのは、ずいぶん安直だと思います。朝鮮戦争で被った被害の清算を請求しないのは、非が自分たちにあると思っているからでしょうか。それとも、アメリカが補償に応じることは有り得ないからでしょうか。相手が補償に応じることは有り得ないから、請求しないと言うのは、自尊心のある人のすることとは思えません。

 それに、まだ「過去の清算が済んでいない国」日本から、食料援助を受け取るのは自尊心の点から見るとどうなのでしょうか。なんだか大変都合の良い「自尊心」であると思います。

平成12年8月14日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ