D45
日本の善意を逆手に取った韓国人

 6月1日朝日新聞は、「在韓被爆者、地裁で勝訴――国に手当支給命令」という見出しで、大阪地裁が、韓国原爆被害者協会の元会長、郭貴勲さんが健康管理手当の支給継続などを求めた訴訟で、被爆者健康手帳を有効と認め、健康管理手当の未払い分約116万円と今後の手当の支給を命じる判決を言い渡したことを、次のように報じていました。

 「在外被爆者が滞日中に取得した被爆者健康手帳を出国で失効させる運用について、判決は、『・・・被爆者を日本に住むか一時的に滞在するかで差別することになり、法の下の平等を定めた憲法14条に反する恐れもある』と判断」
 「国側は『税金でまかなう社会保障制度は、日本社会の構成員でない海外居住者には適用されない』と主張したが、判決は『同援護法は人道目的の国家補償的な性格もあり、在外被爆者を排除しているとはいえない』と退けた」


 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律(現在の被爆者援護法)は日本の国内法であり、日本の国内法の効力が外国に及ばないことは言うまでもありません。この問題を社会保障制度(福祉)の観点からとらえるならば、外国である韓国に居住する韓国民に日本の援護法の効力が及ばず、韓国民には援護を求める権利がないことは明白です。韓国民を援護するのは韓国政府の役目です。

 韓国国民が日本で治療を受けられるようになったのは、韓国国内では十分な医療水準の治療が受けられないことを考慮して、日本が特例として善意で被爆者援護法に基づく治療を認めた結果であって、韓国国民に被爆者援護法に基づく権利があってのことではありません。
 郭さんは、何度か日本と韓国を往復し、日本にくると「被爆者」で、韓国に戻ると「被爆者」でなくなると不満を言っていますが、もともと、韓国人が日本で治療を受けられるのが、日本の善意によるものだと言うことを忘れています。そして、自国民に十分なことをしていない韓国政府に責任があることも忘れています。苦情を言うなら被爆者を援護しない韓国政府に言うべきです。日韓併合を解消し、韓国が独立国になった以上、自分のことは自分でしなければなりません。

 裁判所は「同援護法は人道目的の国家補償的な性格もあり、在外被爆者を排除しているとはいえない」と言っていますが、賠償とか補償と言う観点で考えれば、韓国人に対する一切の賠償、補償は、1965年に日韓両国によって結ばれた、「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」により解決済みです。韓国人には何の請求権も残っていません。

 さらに、裁判所は「法の下の平等を定めた憲法14条に反する恐れもある」と言っていますが、憲法14条は「すべて国民は法の下に平等であって・・・」と言っているのであって、どこをどう読んでも今回の韓国人の権利を保障しているとは読めません。それに、「憲法違反の恐れがある」などという言い方は無責任です。違反であればはっきりそう指摘すべきです。「違反である」と言っていない以上、違反ではないと理解する他はありません。無責任な言い方は、裁判所の信用を落とすだけだと思います。

 韓国人被爆者の日本国内での治療は、100%日本の善意によるものです。治療費の負担にとどまらず、日本滞在中は手当てまで支給したことに対して、韓国人からは感謝の言葉があってしかるべきです。しかるに、その日本の善意の支援に対して、彼らは訴訟を起こし、慰謝料請求をもって応えました。われわれは彼らには善意は通じないと言うことと、善意は仇で返されると言うことを銘記しなければなりません。

平成13年6月2日  ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ