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日韓宮中音楽の“競演”

 2月3日の読売新聞は、「日韓宮中音楽 5月競演」という見出しで、次のように伝えていました。
 
 「日韓共催のサッカー・ワールドカップに合わせた両国の交流記念事業として、『日韓宮中音楽交流演奏会』が、W杯開幕直前の5月に両国で開かれることになり、宮内庁楽部が演目の練習を開始した。・・・楽師たちは、朝鮮の宮廷音楽を伝える韓国・国立音楽院との競演に、『両国のみなさんに、日本の雅楽と韓国の国楽を比較しながら楽しんで欲しい』と張り切っている。・・・」

 普通二国間の文化交流とは、互いに独自の文化、相手にとって珍しいものを相互に披露し異文化への理解を深めようとするものであって、似かよったものを“競演”する文化交流というのは聞いたことがありません。例えば、プレゼントの交換にしたって、お互いに似たようなものを交換することは避けるのが普通です。まして、プレゼントを比較し合うなどと言う発想はありません。

 韓国はこれ以前にも、平成2年の廬泰愚大統領の訪日に際し、自国からわざわざ国楽の団員を連れてきて、日本の宮内庁楽部との“競演”を実施したことがあります。今回の企画もおそらく韓国側のイニシァティブによるものだと思います。

 韓国が日本の文化を閉めだして、本当の意味での文化交流を忌避する一方で、このような古典芸能の“競演”に熱心になるのは一体なぜでしょう。それは雅楽・国楽などの一部の古典芸能の分野では、劣等感を感じなくて済むからだと思います。
 韓国人の行おうとする「文化交流」とは、本来の異文化を知るための交流とは全く異質なもので、それは、韓国人が「交流」に名を借りて、劣等感を払拭しようとする行為であると思います。

平成14年2月4日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ