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小泉首相の対韓外交

 3月22日の読売新聞は、「対北朝鮮で温度差」、「日本の強い姿勢、韓国戸惑いも」という見出しで、小泉首相の訪韓を次のように報じていました。

 「・・・首相は拉致問題について『日本国民は拉致問題をおろそかに出来ない』と強調。大統領に協力を求めるのは『かつてない厳しい姿勢』と言える」
 「・・・韓国側は日本側の強い姿勢に戸惑っている面もある。このため、拉致、不審船問題で日本の協力要請に韓国がどこまで応えるかは不透明だ」

 韓国政府が戸惑うのも当然です。今までの日本と韓国の外交では、常に韓国が日本に要求し、日本がその対応に苦慮するというパターンばかりでした。
 拉致疑惑や不審船問題に限らず、竹島問題や韓国人の不法滞在問題など、日本政府が韓国政府に言うべきことはいくらでもあるはずですから、そういう言うべきことは積極的に言わなければなりません。言うべきことを何も言わないから、日韓外交はいつも韓国が要求し日本が受け身になると言うパターンに終始してしまうのです。これは、野球で言えば日本はいつも守備だけで、韓国は攻撃だけというのと同じで、これでは勝ち目はありません。

 今回の申し入れに対して韓国政府が戸惑っていることで、韓国政府が世界の問題国家である北朝鮮に対してあいまいな態度をとっていることが白日の下に曝されました。韓国政府の言っている「日韓協力」とは、所詮、韓国が利益を得る時だけの話で、その逆はないと言うことも明らかになりました。この点がはっきりしたことにより、今後韓国が日本に協力を求めてきた時に日本が応じられなくても、日本が負い目を感じることがなくなるのであれば、今回の申し入れは外交上効果的な申し入れだったと言うことが出来ると思います。

 拉致問題で韓国政府に協力を求めたところで、具体的な成果は期待できませんが、これにより韓国が日本にとって協力的な国でないことが明らかになり、また、歴史認識問題などで韓国政府を黙らせる効果が生じれば、今回の申し入れは日本外交として非常に意義があったと言うべきだと思います。

平成14年3月23日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ