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犯罪者への謝罪

 1月7日の「Sankei Web」は、「北朝鮮の『出迎え案』を本格検討へ 帰国確約に政府」と言う見出しで、次のように報じていました。

 
「政府は7日、拉致被害者家族の帰国問題をめぐる北朝鮮提案について、受け入れが可能かどうか本格的な検討を始めた。・・・
 ただ被害者の永住帰国を「約束違反」と主張する北朝鮮に対し、日本政府が「遺憾の意」を表明することには抵抗感が強く、北朝鮮があくまでも要求してきた場合、協議の難航は避けられない」

 拉致が犯罪であることは言うまでもありません。捕らわれてといる人を取り戻すために犯人を欺いたとしても、それは当然のことで法的にも道義的にも責められる筋合いのものではありません。誘拐犯人にさらわれた子供を取り返すために、両親が子供を帰してくれれば警察には通報しないと言う約束をして、結果的にその約束を反故にしたとしても犯人に謝罪する必要がないのと同じです。
 そもそも、拉致の非を認めた北朝鮮が、即時、無条件の帰国をさせずに、「一時帰国」の約束をさせること自体が不当だと言うことを忘れてはいけません。

 北朝鮮が「一時帰国」にこだわり、その担保として子供達を人質としたことを考えれば、彼らが元々永住帰国を考えていなかった可能性が高いと思います。一時帰国であるとの約束をしなければ被害者は一時帰国すらできず、永久に祖国の土を踏むことができなかったかもしれません。そう考えれば、外務省の当局者が仮に「一時帰国」の約束をしていたとしても、そして、結果的にその約束を反故にしたとしても、その見通しの甘さを日本国民に謝罪する必要はあっても、北朝鮮に謝罪する必要など全くありません。

 北朝鮮が今動き出したのは、日本の「制裁法案」が現実味を帯びてきたからです。彼らのペースにはまって謝罪をするなどと言うことは、全くばかげていると思います。

平成16年1月7日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る   目次へ