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“キックバック・クーデター” “大山鳴動して〇〇4人”の結果は予定通りか、予想外か

 3月22日のNHKテレビニュースは、「1からわかる政治資金事件 自民派閥 いったい何が?」と言うタイトルで次の様に報じていました。
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2024年3月22日特集記事 NHK
1からわかる政治資金事件 自民派閥 いったい何が?

Q.
改めて、東京地検の捜査はどういう結論に?

A.1月19日、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、安倍派二階派について、東京地検特捜部は、おととしまでの5年間で、安倍派会計責任者は合わせて6億7503万円、二階派会計責任者は合わせて2億6460万円のパーティー収入などを派閥の政治資金
収支報告書に収入として記載していなかったなどとして、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で両派の会計責任者在宅起訴しました。


また特捜部は、安倍派二階派だけではなく、
岸田派「宏池政策研究会」についても、元会計責任者は、2020年までの3年間で、合わせて3059万円のパーティー収入などを派閥の政治資金収支報告書に収入として記載していなかったとして、罰金刑を求める略式起訴をしました。

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一方、特捜部は松野 前官房長官ら
安倍派幹部7人や、二階派会長を務める二階 元幹事長など派閥の幹部からも任意で事情を聴いてきましたが、いずれも派閥の会計責任者との共謀は認められないとして、立件しない判断をしました。

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ただ、二階 元幹事長の事務所がおととしまでの5年間で3000万円を超えるパーティー収入を派閥側に納入せず、元幹事長の資金管理団体の収支報告書に派閥側からの収入として記載していなかったとして、特捜部は二階 元幹事長の秘書を略式起訴しました。

パーティーでの二階氏
Q.一方で安倍派の池田佳隆衆議院議員は
逮捕された。なぜか?
A.東京地検特捜部は、池田議員を逮捕した理由について「具体的な
罪証隠滅のおそれが認められたため」と説明しました。

池田佳隆衆院議員
特捜部は、1月7日、安倍派に所属する池田佳隆衆議院議員が政策秘書と共謀し、おととし=2022年までの5年間に安倍派から4800万円余りのキックバックを受けたにもかかわらず、みずからが代表を務める資金管理団体の収入として
記載せず、政治資金収支報告書にうその記載をしたとして、政治資金規正法違反の疑いで逮捕しました。

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、
初の逮捕者となりました。

(以下略)
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 昨年の政治資金問題が「発覚」したときは、検察は大人数で各地を家宅捜索している様子が連日の様に報道されていた。検察はとても張り切っているように見えた。

 しかし捜査が終結した今、捜査の結果(成果)としては、「収支報告書
不記載」として在宅起訴2名略式起訴1名証拠隠滅による逮捕者1名となっている。

 検察当局の熱の入れ方と、マスコミの大騒ぎの割には成果は少なく“大山鳴動して〇〇4人”の結果は予想外と言えるのではないか。
 客観的に見れば予想外と言って良いと思われるが、そういう雰囲気がないのは、かかわった人達にとっては、もともと
大捜査・摘発は単なるきっかけ作りであり、目的その先にあったからではないのか。

 そもそも報道にもあるように、検察が
「立件」したのは、全て「不記載」だけであって、「還流(キックバック)」は全く問題視されていない。

 しかるに今の自民党内外の議論
「還流」であって「不記載」ではない。岸田総理安倍派の幹部4人は、派閥のトップである安倍元総理幹部4人のいる席で、還流の廃止指示したにもかかわらず、安倍氏の遺志を実行しなかったことを指摘して、厳罰処分の意向だが、そもそも“還流”自体は法律違反せず、また党規に違反するものでも無い。
 それにもかかわらず検察の「収支報告書不記載」指摘・起訴を、話しを
「還流」非難すり替えて、安倍派幹部を総裁の一存で厳罰に処するというのは、民主国家・法治国家にふさわしくないと言うべき事態では無いか。

 
還流そのものが安倍派に集中しているとすれば、資金集めのパーティーで多額の寄付を集めて党の運営に貢献していたのは、安倍派がダントツだったという事では無いのか。

 そもそも“キックバック騒動”の震源・発火点が何時・どこ(誰)なのか余りはっきりしていない。検察にとっては安倍派が安倍政権当時検察のトップ人事に権限を行使し、検察にとっては、自分たちの思い通りにならなくなったことに不満・反発の動きはあったようだ。

 岸田政権にとっても、安倍派の規模と実力
無能(岸田)政権にとっては様々な場面で、思い通りに出来ない障害であったことは考えられる。
 今回の
“還流”事態は、検察と岸田政権の両者とマスコミを交えた3者による“安倍派潰しクーデター”ではなかったのか。野党踊らされているだけで、支持率が上がらないのは当然だ。

(追記)
 二階派の二階会長反省の意味を込めて、次期選挙には出馬しないと宣言し、岸田総理がこれを評価して見返りとして処分を行わないとしたが、二階は前回選挙の時に既に、進退が注目されて息子に後を継がせるのではないかと注目されていた。
 しかし、同時に同じ和歌山県の参議院議員の世耕が衆院に鞍替えすることを目指しているとされ、二階と衝突することが話題となっていて、二階としては引退して息子に議席を譲ることが出来なかったのである。

 今回立候補しないことは言わば予定されていたことで、反省でも何でも無い既定路線に過ぎない。それよりも世耕が躓いたことは、二階にとっては何よりも大歓迎すべき事で、二階としては岸田に感謝の気持ちだろう。岸田としても息子のことを第一に考えるのは二階と同様で、今回の
2人は“Win-Win”で終結したという所だ。

令和6年3月27日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ