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今回のダイハツ“不正”事態が明らかにする、“官・マス”癒着の実態 -「政治資金問題」に続く“官”の攻勢-
5月8日の読賣新聞は、「ダイハツ 本社工場再開 国内4工場、4か月半ぶり稼働
」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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ダイハツ 本社工場再開 国内4工場、4か月半ぶり稼働
2024/05/08 05:00 読売
ダイハツ工業は7日、自動車の認証試験を巡る不正を受けて停止していた本社工場(大阪府池田市)の生産を再開した。これで自動車を組み立てる国内の全4工場が約4か月半ぶりに再稼働した。一方で、新車の売れ行きは不正発覚前の7割程度の水準に落ち込んでおり、信頼の回復には時間がかかりそうだ。
本社工場はトヨタ自動車向けを含む軽自動車「コペン」を生産しており、この日は朝から従業員が次々に出勤。30歳代の男性従業員は「家族にも心配をかけてきた。良い車をお客さんに届けたい」と話した。
ダイハツは、開発中や生産終了を含む64車種の衝突試験の手続きに不正が発覚し、昨年12月に全車種の生産を停止。今年1月、国土交通省から道路運送車両法に基づく是正命令を受けた。ダイハツは再発防止策を策定して経営陣を刷新し、すでに本社工場以外の3工場は生産を再開している。
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記事には“不正”とあるだけで、具体的な事は一切不明です。マスコミはなぜ具体的に報じないのでしょうか。“不正の正体”はこのニュースの言わば根幹であり、これを報じ無いのはまともなマスコミがする事ではありません。これでは欠陥報道です。
読売がダイハツに気を遣っているとは考えられません。気を遣っているとすれば、それは“官”に対してとしか考えられませんが、なぜ官に対して気を遣うのでしょうか。
この“不正”により、自動車事故が起きたか、あるいは不具合により自動車を購入した人に何らかの不利益が発生したのか、その辺は一体どうなのでしょうか。ダイハツの不正が発覚して操業を中断してから、操業の元通りの再開が完了して現在に至るまで、車の購入(所有)者・第三者に、“不正”が原因の事故・不利益が発生したという報道は全くありません。なかったのなら“不正”による“事故・不利益”は何もなかったとなぜ書かないのでしょうか。
また車の輸出先の国の反応や事故やその他の購入者の不利益は全く報じられておらず、何の問題も起きていないようです。トヨタを始めとした日本車は外国での信頼が厚く、業績を拡大し続けています。
(以前、排ガス不正を働いた、ドイツのフォルクスワーゲンが、ドイツ国内でドイツ政府から、不正が発覚したアメリカ政府よりも厳しい制裁を科されたという話しは、聞いたことが有りません)
以上を考えると、今回の“不正”は何の実害も生じなかったと言う事になります。“不正”があったにも拘わらず、車の所有者に事故はおろか何の不利益も生じなかったと言う事は、“不正”が起きた「検査」制度そのものが不要・無意味なもので、問題があるとすれば、そのような「不要・無意味」な検査を長年民間企業に義務づけていた“官”の方にあると考えるべきではないのでしょうか。
議論がそういう展開になるのを回避することが、今回の“官とマスコミ”の不可解な対応の真相ではないのでしょうか。長年“不要・無意味な”点検制度を何のチェックもせずに放置し、今日の状態に至っても、反省の一言もなく、反対に民間企業を“極悪人”のごとくにする「官」に問題があると言うことではないのでしょうか。
車の購入者・所有者に“不正”による損害はなかったとは言うものの、“不正”を働いたダイハツには生産・出荷の長期間停止により、巨額の損害が発生している事が一部で報じられていますが、その詳細は明らかではありません。
官が定めた検査制度が不要・無意味のものであり、“不正”は車の購入者・所有者、第三者に何の不利益もなかったならば、ダイハツに対して長期間の生産・出荷の停止を命じたことは、“官”の職権乱用であり、さらに自身の保身のために、ダイハツに対して取引先の下請け会社や販売業者に対する賠償まで命じたことは、明らかに越権行為です。
ダイハツは“加害者”ではなく、むしろ“被害者”と位置付けられます。反対に官は加害者です。
さらにそのような「官」の問題を、マスコミに公開せずに口止めしたと言うことになれば、単なる「怠慢」の問題を超越した重大事件と言うべき事態です。
それだけに留まりません。「官」の職務怠慢により発生した民間企業の不祥事について、自らの怠慢の責任を認めることなく、真実の公開を阻止・妨害し、全てを民間企業の責任とし、その虚構の維持のために民間企業(ダイハツ)に莫大な損害を強いたことは許されない行為です。
今回のこの問題に限らず、最近のマスコミ(以下“マス”)は“官”を批判する報道は皆無で、“民”に対する批判が目立ちます。郵政、2024年問題に関する輸送問題などは全て“官”の立場から報じられており、“民”の立場、特に“官”と利害が反する“民”の立場は全く考慮されていないことがほとんどです。
法務省の民法改正、文科省の教師の待遇改善、厚労省の共働き支援等に当たっては、“官”と一部の“有識者”達による“民意”無視が、目立ちます。官に対する“マス”の批判は皆無で、“マス”の“官”に対する同調が目立ちます。たまに一部マスコミの簡単な“懸念”報道も見られますが、アリバイ作りの“懸念”表明の感が否めません。
全国各地の官に張り巡らされている閉鎖的な“記者クラブ”が、官・マス癒着の現場になっているのです。この「官・マス」の力関係の変化は近年の宅配紙新聞の部数減(劣勢)と民放各局の視聴率低下(劣勢)が大きな影響を及ぼしていると見られます。
令和6年5月15日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ
令和6年5月16日 (追記) 下記の安藤眞さんは「新聞の宅配問題」の安藤とは別人です。
(参考) ダイハツの不正はなにが「不正」で、ユーザーは乗り続けて大丈夫なのか? 元エンジニアが解説します。(安藤眞) - エキスパート - Yahoo!ニュース
「認証不正」を行ったダイハツに今必要なのは、素人でもわかる丁寧な説明と、1日も早い生産再開だ!(安藤眞) - エキスパート - Yahoo!ニュース