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米の価格の異常な高騰・高止まりを前に、微動だにしなかった農水省の役人と、それを批判しなかったマスコミの“官・マス癒着”の実態。

 5月23日の読売新聞は、「楽天・三木谷氏が小泉農相と面会、備蓄米の随意契約応じる意向…『スピード感をもってやっていきたい』」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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楽天・三木谷氏が小泉農相と面会、備蓄米の随意契約応じる意向…「スピード感をもってやっていきたい」
2025/05/23 13:06  読売

 政府備蓄米流通を巡り、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は23日、備蓄米の随意契約に応じる意向を示した。

楽天グループの三木谷浩史会長兼社長(左)と意見交換を行う小泉農相
(23日午前、農林水産省で)=佐藤寛之撮影 (写真省略)


 高騰するコメ価格を抑えようと、政府は備蓄米の放出について、一般競争入札から随意契約に見直しを検討している。現在、入札集荷業者に限っているが、随意契約では、小売り外食業者など幅広い業者が対象になる見通しだ。

フォークリフトで精米工場に搬入される備蓄米
  (写真省略)


 三木谷氏は23日午前、小泉農相と面会。面会後に報道陣の取材に応じた三木谷氏は「(随意契約に)手を挙げさせていただく。スピード感をもってやっていきたい」と述べた。
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 一般競争入札とは、売り手ができるだけ高値で売ることを目的としたものだ。国が国有財産事業者に売却するときなどは、その原則が適用されるべきと言える。

 しかし国が売り手となり、多数の一般国民が買い手になる場合は、それで良いのかと言う疑問が当然出てくる。国が指定する価格で売るか、むしろ反対に少しでも安く売るべきだという場面も当然出てくる。国有財産の売却とは全く異なるのである。

 今回の場合は後者に当てはまる。➀の一般競争入札は不適切である。しかるに農水省は米の価格が異常に高騰して、高止まりしている現実を前に全く動こうとせず、マスコミも農水省を批判することは皆無だった。
 これは何を意味するのであろうか。それは今の役所と官僚国民のために動くのでは無く、役所(役人)自身とその"下請け"である業界(全農など)のために動いているという事である。その原因(背景ではない)としては、マスコミが報じない大量の役人の業界への“天下り”の実態がある。

 今回の小泉農林相の素早い動きは評価できるが、理由も根拠も明白にしない(出来ない)楽天グループの三木谷浩史会長兼社長指名は、民主政治(法治国家)の観点からすれば、大きな問題を抱えている。今後は“最安値”を競わせる競売制度があっても良いのでは無いか。

 先般発表された春の叙勲では、毎年のように多数の公務員が受賞し、マスコミは年中行事として何の批判もすること無く報じていたが、こんなことを年中行事のように批判すること無く(官・マス癒着を)繰り返しているから、役人の暴挙はなくならないのである。

令和7年5月25日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ