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「自民党と日本維新の会、連立政権合意書の全文」に見る吉村知事の便乗詐欺のお粗末

 10月20日の日本経済新聞は、「自民党と日本維新の会、連立政権合意書の全文」と言う見出しで、次の様に報じていました。(茶色字は記事、黒字は安藤の意見)
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自民党と日本維新の会、連立政権合意書の全文
首相指名選挙
2025年10月20日 23:20
自民党と日本維新の会、連立政権合意書の全文 - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA20AP30Q5A021C2000000/?msockid=1a72582dd2406cd1031b4c7cd3cb6d05

自民党と日本維新の会が20日に交わした「連立政権合意書」の全文は次の通り。

自民党および日本維新の会は、わが国が内外ともにかつてなく厳しい状況にある中、国家観を共有し、立場を乗り越えて安定した政権を作り上げ、国難を突破し、「日本再起」を図ることが何よりも重要であるという判断に立ち、「日本の底力」を信じ、全面的に協力し合うことを決断した。

戦後最も厳しく複雑な国際安全保障環境を乗り越えるためには、日本列島を強く豊かにし、誇りある「自立する国家」としての歩みを進める内政および外政政策を推進せねばならない。

わが国は、「自立する国家」として、日米同盟を基軸に、極東の戦略的安定を支え、世界の安全保障に貢献する。わが国には、そのような覚悟に加え、安全保障環境の変化に即応し、「国民をどう守るか」「わが国の平和と独立をどう守るか」というリアリズムに立った視座が不可欠である。両党は、このリアリズムに基づく国際政治観および安全保障観を共有する。

また、両党は、国民の生活が経済成長によって向上されることの認識を共有する。そのために、責任ある積極財政に基づく効果的な官民の投資拡大を進めつつ、肥大化する非効率な政府の在り方の見直しを通じた歳出改革を徹底することによって、社会の課題を解決することを目指す。

戦後80年にわたり、国のかたちを作り上げる過程で積み残してきた宿題を解決すると同時に、冷戦後の30年の厳しい経済状況を乗り越え、国民生活を向上させる過程で積み残してきた宿題を解決するための改革が急務である。

そのための方策として、国民に寄り添った経済対策などの速やかな実現に加え、憲法改正や安全保障改革、社会保障改革、統治機構改革を含む中長期にわたる日本社会の発展の基盤となる構造改革の推進について、本合意に至った。

これらの政策の実現には、できるだけ幅広い賛同を得ることが重要であり、他党とも真摯(しんし)な議論を重ねていくことは言うまでもないが、本合意書の内容を精緻化するため、両党による実務者協議体を設置し、確実な履行を図ることとする。

また、本合意書の内容を実現するため、2025年臨時国会における内閣総理大臣指名選挙の連携に基づく協力を誓い、連立政権を樹立する。

 この合意は下記に続きますが、内容は正に「総花的」というもので、具体性に欠け、表面的な議論でが絞られていません。下記の一から十二の中の九、十、十一,十二の4点について、私の意見を書きます。

一、経済財政関連施策
(中略)
二、社会保障政策
(中略)
三、皇室・憲法改正・家族制度など
(中略)
四、外交・安全保障
(中略)
五、インテリジェンス政策
(中略)
六、エネルギー政策
(中略)
七、食料安全保障・国土政策
(中略)
八、経済安全保障政策
(中略)

九、人口政策および外国人政策
▽わが国最大の問題人口減少という認識に立ち、25年臨時国会中に、政府に人口減少対策本部(仮称)を立ち上げ、子ども子育て政策を含む抜本的かつ強力人口減少対策検討、実行する。

▽ルールや法律を守れない外国人に対しては厳しく対応することが、日本社会になじみ貢献している外国人にとっても重要という考えに基づき、以下の対策を講じる。

(1)内閣における司令塔を強化し、担当大臣を置く。

(2)外国人比率が高くなった場合の社会との摩擦の観点からの在留外国人に関する量的マネジメントを含め、外国人の受け入れに関する数値目標や基本方針を明記した「人口戦略」を26年度中に策定する。

(3)外国人に関する違法行為への対応と制度基盤を強化する。

(4)外国人に関する制度の誤用・乱用・悪用への対応を強化する。

▽26年通常国会で、対日外国投資委員会(日本版CFIUS)の創設を目指す。また、26年通常国会で、外国人および外国資本による土地取得規制を強化する法案を策定する。

 「わが国最大の問題は人口減少」と言っていながら、中身が薄く(無く)、具体策はゼロ。最初に何の効果も無かったことが明らかな子育て支援を挙げるなど、今までの政策に対する反省もゼロで、熱意も誠実性も感じられません。こんなことを言い続ける吉村洋文の政治家としての評価は最低です。
 しかも少子化の結果である国内外国人問題が、別問題のように論じられています。

十、教育政策
▽いわゆる高校無償化を26年4月から実施するため、残る課題について、25年10月中に合意し、制度設計を確定させる。

▽小学校給食無償化を26年4月から実施するため、残る課題について整理し、制度設計を確定させる。

▽25年通常国会で締結した「3党合意」における保育料負担軽減をはじめ、子育て支援施策の大幅な拡充を実現する。

▽25年通常国会で締結した「3党合意」の通り、高校教育改革のグランドデザインを策定し、全国での教育機会確保と教育の質の向上を実現する。

人口減少に伴い、大学および規模の適正化を図ることを目指す。

▽科学技術創造立国の礎となる基礎研究について、十分な研究費を確保するため、科研費を大幅に拡充する。

 人口減少対策により、少子化を防ぐ事、脱却する事では無く、少子化を前提とした対症療法大学規模の適正化(縮小))の議論にすり替えられています。

十一、統治機構改革
首都の危機管理機能のバックアップ体制を構築し、首都機能分散および多極分散型経済圏を形成する観点から、25年臨時国会中に、両党による協議体を設置し、首都および副首都の責務および機能を整理した上で、早急に検討を行い、26年通常国会で法案を成立させる。

 危機管理分散を結びつけて論じ、更にそれを副首都結びつけて論じていますが、 「分散」はそもそも「効率」とは相容れないし、東京いざという時のために、遠方(大阪)に「副首都」を常設するのは、災害時の東京⇔大阪間の人の移動の負担を考えても有効効率的な提案とは考えられません。
 それは危機管理に名を借り大阪が利益を得ようとする(大阪を副首都格上げする)事だけが目的の、恥ずべき便乗詐欺行為ではないのでしょうか。

 首都(東京)に万一の大災害が発生した場合の対策としては、首都圏神奈川、千葉、埼玉など)の数カ所に、いざという時に直ちに首都機能を移転できるように建築物(事務所、住宅)、通信設備などを常設しておき、定期的に自衛隊と連携して首都機能移転訓練をしておくことが必要で有効です。

十二、政治改革
▽企業団体献金の取り扱いについては、自民党は「禁止より公開」、日本維新の会は「完全廃止」を主張してきた。特定の企業団体による多額の献金が政策の意思決定をゆがめるのではないかという懸念を払拭し、国民に信頼される政治資金の在り方を追求し、そのための制度改革が必要であるとの課題意識は共有しつつも、現時点で最終結論を得るまでに至っていない。そこで、両党で、企業団体からの献金、政治団体からの献金、受け手の規制、金額上限規制、機関誌などによる政党の事業収益および公開の在り方などを含め、政党の資金調達の在り方について議論する協議体を25年臨時国会中に設置するとともに、第三者委員会において検討を加え、高市総裁の任期中に結論を得る。

 
立候補者、運動参加者、政党などの政治資金集めの活動は、基本的には詐欺、脅迫などの犯罪行為が無い限り、制約をかけるべきではないし、その必要もありません。有権者に対する買収でも無い限りはその使途や金額について制約を科すべきでは有りません。政治活動は自由が大原則です。
 今の公職選挙法は、ポスターの掲示にも細かい規制を掛け、選挙運動期間が
極端に短く、選挙が始まるや警察が即、取締本部を立ち上げるなど、選挙を罪悪視する異常事態です。これが選挙が有効に機能せず、民主主義が十分に実現していない原因です

▽政党におけるガバナンスを明確化するため、政党法について検討を進める。

1割を目標に衆院議員定数削減するため、25年臨時国会において議員立法案を提出し、成立を目指す。

時代に合った選挙制度を確立するため、両党は衆院議院運営委員会に設置された「衆議院選挙制度に関する協議会」などあらゆる場で議論を主導し、小選挙区比例代表並立制廃止中選挙区制の導入なども含め検討する。そのため、25年度中に、両党による協議体を設置する。

 比例代表制は、一種の間接選挙と考えられます。小選挙区(定員1名)が主力の選挙制度では、第一党が圧倒的に有利であり、それに続くのが第二党であり、第三党以下は不利である事は否定出来ません。
 少数意見を無視では無く、全有権者の中で占める少数野党支持の有権者の少数意見を切り捨てるのではなく、全体の比率に占める割合に応じて、相応の議席を確保するのは必要で有益です。

 以前の中選挙区の元では、定数が2以上の選挙区が存在したので、少数意見を主張する道がありましたが、今は比例代表がその役割を担っていると考えられます。


 小選挙区と比例代表の当選者の当選ラインに大きな格差が無いか、それぞれ何票で議席を得ているのかを元に定数を決めるべきです。
 維新の提案はなぜ比例代表の廃止中選挙区の復活なのでしょうか。そしてなぜその前に比例の定員1割削減なのでしょうか。

 1割削減には何か根拠があるのでしょうか。根拠の無い提案は受け入れられません。

右記以外の政策については、両党間で誠心誠意協議するものとする。

〔時事〕
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令和7年10月22日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ