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文春の記事で問われたものは

 今回の「文芸春秋」の記事の是非をめぐる問題で問われたのは、少年犯罪を防ぐためにはどうしたらよいかとか、少年を更正させるにはどうしたらよいか、という問題に止まらなくなりました。問われているのは
1.憲法が保証する言論出版の自由を妨害する行為を正当化できるのか。
2.裁判所は法廷以外の場で、訴訟当事者でない者に出版の中止を求める権限があるのか。
3.少年保護と言論出版の自由はどちらが優先するのか。
4.裁判公開の原則とは何か、重大事件での非公開、密室裁判は許されるか。
5.民主政治とは何か
であると思います。

 文芸春秋社の公開質問状に対する裁判所の回答は、たった五行の木で鼻をくくったような回答だったそうですが、これについては徹底的に議論をすべきであると思います。裁判所が簡単な回答しかできなかったのは、問題が大きくなれば裁判所が傷つくと考えたからであると思います。

 今回の「文芸春秋」の報道は密室裁判の中身を暴露しただけでも重大な意義がありますが、裁判所の法を無視した行為を指摘したことは重要な点であると思います。この時点から新聞の出版妨害キャンペーンは急にトーンダウンしたと思います。

平成10年3月10日      ご意見・ご感想は   こちらへ      トップへ戻る      J目次へ