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「選挙協力」という名の談合

 新聞を見ると自自公の連立にともない、「選挙協力」が取り沙汰されています。7月1日の産経新聞には「自自公選挙協力 40選挙区で調整必要」という見出しの記事があります。選挙は政党が有権者の支持を求めて議論を戦わせ当選を争うものです。いかに効率よく落選者を出さずに当選するかというものではありません。事前に各政党で協議し候補者を調整し選挙に臨むのは有権者の選択権を奪うものです。政党間の連立協議は選挙で国民の意思表示がされてから行うべきものです。

 過去の知事選挙で東京都民が青島幸男、石原慎太郎を、大阪府民が横山ノックを知事に選んだのは、政党間の談合で候補者を一本に絞るという談合選挙に有権者が怒ったからです。スポーツに例えれば、予選リーグを戦わず話し合いで決勝進出するチームを決めるようなものです。それは勝つことだけを考えた行為でスポーツの目的に反します。政党間の「選挙協力」は数の論理で勝つことだけを考えた、有権者を無視するものです。

 アメリカでは大統領選挙の候補者を決めるのに、各州で何度も予備選挙を積み重ねています。上院議員、下院議員の選挙に於いても、民主党、共和党内で予備選挙を行って各党の候補者を決定しています。二大政党制でない、フランス、イタリアの選挙でも連立の話し合いは選挙で戦ったあとの話しで、事前に候補者を調整する「選挙協力」というのは聞いたことがありません。

 政党は自分の主張を訴え支持を求めることが目的であり、選挙で自前の候補者を出さない政党は、自己主張をしないのと同じであり、政党として存在する価値がないと思います。このような政党間の談合を談合と認識しない政治家は、建設業界などの談合体質を批判する資格はありません。

平成11年7月18日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ