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審議拒否はなぜなくならないか 国会審議を形骸化させる党議拘束

 10月26日、野党が審議を拒否して反対していた、参議院比例選への非拘束名簿式導入を柱とする改正公職選挙法が成立しました。自民党と社会党が対立する時代が終わり、審議拒否は過去のものとなるかと思われましたが、民主党もやはり審議拒否という手段に訴えざるを得ませんでした。どうして審議拒否はなくならないのでしょうか。
 実力行使という暴力と、強行採決がなかったことが、わずかに社会党時代との違いを感じさせますが、その結果は参議院での委員会質疑はわずか4日間という超スピード審議になってしまいました。国会審議の形骸化という他はありません。

 およそ、審議とか議論というものは、それぞれが賛否の主張を述べ、また相手の主張を聞くことによってお互いに相手の意見が変わることを期待するものだと思います。それぞれの意見を主張し、他の議員(委員)の支持を求めるためのものだと思います。それが本来の姿です。当然、審議に参加している議員は、双方の主張を聞くことによって、賛否を自由に決定できると言うことが前提になっていなければなりません。もし、審議に入る前にすでに全議員の賛否の態度が決定していて、それが動かしようのないものであるならば、審議は単に日程の消化、あるいは意見を述べる者の自己満足の為のものでしかありません。

 野党が審議拒否と言う手段に訴えるのは、審議を始める前から、与野党とも法案に対する賛否がすでに党議で決定していて、しかも議員に対しては党議で拘束がかけられている為、多数を占める与党案が通過することが既定の事実となっているからだと思います。野党に出来ることは審議を妨害して引き延ばすことしかありません。それすら、与党が無視して野党欠席のまま審議を進めれば、何の効果もありません。党議拘束は国会審議形骸化の元凶であり、国会審議の形骸化が野党を審議拒否に走らせているのだと思います。

平成12年10月30日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ