Z17
種の尊厳

 11月1日の産経新聞の投書欄「アピール」に「和歌山の混血猿処分で考える種の尊厳」という見出しの、ある獣医師の投書があり、次のように主張されていました。

 「純粋種を守るために、和歌山県が近く着手しようとしている日本猿と台湾猿の交雑(混血)種の捕獲・殺処分は、種の尊厳から見ると考えさせられることが多い。
 地球上に存在する生物は、何十億年という時間経過の中で、様々な種に枝分かれしてきた。・・・日本猿が異種の台湾猿との融合に自らの存在を託したと考えることが出来る。異種交雑を寛容するか否かは猿たちの問題であり、すでに交雑が確認されている現時点では、人間が殺処分という“武力”で解決すべき問題ではないと言える」


 彼が言うとおり、生物は何十億年という時間の経過の中で、様々に枝分かれしてきました。そうです、進化の歴史とは枝分かれの歴史なのです。枝分かれしたあるものは滅び、残ったものはさらに枝分かれをするということを繰り返してきたのが進化の歴史であり、自然の摂理なのです。自然界では劣る者は優れた者に対して滅びるしかないのです。交雑して種の保存を図るなどと言うことはでたらめです。

 自然界においては突然変異から新種が誕生することはあっても、異種のものが交雑して雑種ができると言うことはないのです。動物、植物、昆虫などの仲間には非常によく似た種類のものがいますが、自然界で交雑し、雑種が生まれると言うことは決してないのです。そんなことが起きたら自然界は雑種だらけになってしまいます。交雑するのは人間の手のかかった動物に限られます。

 この獣医師は、「種の尊厳」の観点から、交雑種の捕獲・殺処分をすべきでないと主張していますが、人間の手にかかった動物の交雑を放置する方が種の尊厳を侵すことになるのではないでしょうか。

平成13年11月4日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ