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年金名寄せの失敗と「国民総背番号」

 6月5日の読売新聞は、「年金ずさん 5000万件 バイト任せミス多発」と言う見出しで、次のように報じていました。
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 コンピューターへの年金記録の入力作業は、主婦などの素人のアルバイトに任せていた。・・・
 年金記録の電子化は1970年代から本格化。古い手書きの納付記録にある振り仮名なしの漢字の氏名をカタカナに置き換えて入力していた。・・・名前の読み方が何通りか考えられる場合でも、確認をしたのでは時間を取られる。常識的な読み方で入力し、わからない漢字は辞書を引いて調べる決まりになっていた。・・・

 社保庁の職員組合「自治労国費評議会」はコンピューター導入に際して、「労働強化が生じないよう十分配慮する」、「一人一日のキータッチは平均5000タッチ以内・・・」など、仕事量が増えないように、様々な確認事項を取り交わしていた。・・・
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 今回の事件は、「名寄せ」の失敗と言えますが、そもそも、大量のデータ処理を行うに当たって、キーとなる個別のコード番号がないということが根本的な問題だと思います。現代のコンピューターによる事務処理では、個別のコード番号が不可欠です。
 学校ではすべての学生に学生番号があり、会社ではすべての社員に社員番号があります。これなくしては事務を機械処理することは不可能です。名前で処理すれば効率が悪いだけでなく、同姓同名や読み方の誤り等のミスが必ず付きまといます。

 しかるに、わが国では戸籍に一人一人のコード番号がありません。今まで何度も話題に登りましたが、その都度まともな議論にはいることすらなく、「国民総背番号化反対」の大合唱に押しつぶされてしまいました。
 先年、ようやくスタートした「住基ネット」に対しても、「国民総背番号」につながるということを理由にした、妨害行動が後を絶ちません。

 日本国民すべてに固有の国民コードがあり、年金の個別データに国民コードが付されていたら、名寄せ作業は極めて容易であり、今回のような大量のアンマッチが生じることはなかったはずです。

 今回の不手際の責めは「国民総背番号」に反対してきた人達と、「無能で怠惰で無責任な公務員」に帰せられるべきであり、安倍総理には何の責任もありません。むしろ、今、安倍総理の責任を追及している人達の多くは、「国民総背番号」に反対していた人達とダブっていると思います。

平成19年6月5日   ご意見・ご感想は   こちらへ    トップへ戻る   目次へ