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芸術とは何か−中国の「翠玉白菜」、「肉形石」と、日本の「春画」に見る日本と中国の本質的違い−


 10月14日の毎日新聞は、「台北・故宮博物院展:
至宝翠玉白菜』、肉形石』日本に」と言う見出しで、次のように報じていました。
http://mainichi.jp/select/news/20131017k0000m040131000c.html
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台北の故宮博物院が収蔵する中国・清代の玉器「翠玉白菜(すいぎょくはくさい)」と「肉形石(にくがたいし)」が、2014年に東京国立博物館と九州国立博物館(福岡県)で開かれる台北・故宮博物院展に出品される。
特に人気の高いこの2件が海外で公開されるのは初めて。・・・(以下略)


          翠玉白菜



          肉形石

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 翠玉白菜と肉形石は有名な作品のようで、写真を添えて紹介されています。私はこの2作品を見て、これが芸術だろうかと反問せざるを得ませんでした。そして、同時に現在イギリスの大英博物館で開催されている、日本の「春画」特別展を思い出しました。

 翠玉白菜と肉形石は共に天然の石を素材にして、昆虫のついた白菜、豚肉の肉片を忠実に再現したものですが、これらに創作性・創造性を認めることができませんでした。いくら精巧にできているとは言え、19世紀末に作られたものであり、これらは基本的に日本で作られている本物そっくりの「食品サンプル」と同じではないでしょうか。

 すべて手作業で、精巧な複製品を作る技術を高く評価することにやぶさかではありませんが、これを芸術・美術と評価するのは躊躇せざるを得ません。技能オリンピックで優勝するのなら何の疑問も感じませんが、これらのものは、今話題の
3Dプリンターが進化すれば、いずれ容易に作ることができるようになると思います。

 一方、大英博物館で展示されている日本の「春画」展は、初めての企画として話題を呼んでいます。道徳性については様々な意見があると思いますが、
創作性・創造性については一定の評価が可能だと思います。
 これらの日本と中国の美術品には本質的な違いがあるように思います。
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Sankei Biz より
http://www.sankeibiz.jp/express/news/130930/exg1309301801007-n1.htm

春画の価値と魅力を再評価 大英博物館で初の特別展 (1/5ページ)2013.9.30 18:00


最高傑作のひとつとされる喜多川歌麿「歌満くら」より(浦上満氏所蔵)。別の刷りが大英博物館で展示されている(共同)【拡大】

. ロンドンの大英博物館で初の春画特別展「春画−日本美術における性とたのしみ」が10月3日から開催される。「美術的価値、歴史的価値、社会・文化的背景などの総合的視点から世界中の研究者の最新の成果を結集した初めての春画展」(大英博物館アジア部のティモシー・クラーク日本セクション長)だ。

 展示される作品は日本、英国、オランダ、デンマーク、米国から貸し出されたシリーズ物を含む第一級の名品165点、300図以上。春画のほかに小袖や歌舞伎の衣装、性を題材にした根付けなども公開される。

 会場は中世絵巻からの伝統を受け継いだ初期名品、錦絵以降の名品、検閲の歴史、パロディー性など春画のコンテクスト、近代化の中での春画と欧州や中国への影響−などに分類。年代順、テーマ別に紹介する。

 西洋との出会いでは、19世紀後半にフランスを中心に広がったジャポニスムとの関わりに言及。春画がピカソやロダン、ロートレックらに与えた影響にも触れられる。

 大英博物館は2009年からクラーク氏が中心となり、ロンドン大アジア・アフリカ研究学院(SOAS)、立命館大、国際日本文化研究センターを共同研究機関として研究プロジェクトを発足させ、特別展の準備を進めていた。
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平成25年10月18日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ