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「平和」、「人権」、「国際化」

 12月10日の産経新聞の「産経抄」に「人権」、「平和」、「友好」と言う三つのことばの怪しさ、問題点について書かれているのを読みました。私も同じように、以前から「平和」、「人権」、「国際化」の三語はうさんくさい言葉だと思っていました。

〈人権〉
 まず人権についてですが、基本的人権の尊重が謳われていますが、何が基本的「人権」なのか明確ではありません。アメリカの「人権」外交という言葉も極めて曖昧です。弁護士が言う「人権」も自分たちの主張を正当化し、反対する者の口を封じるために際限もなく人権が拡大解釈されていると思います。人権の二文字にたいていの人が怯んでしまう、そんな感じが否めません。
 人権というものはすべての人にあるのであって、特定の人だけにあるものではありません。そして、人権と人権が衝突することが日常よく起こるのです。ある人の人権と他の人の人権が対立するのです。そのようなときには、どちらの人権を優先するかと言うことを考えなければなりません。しかるに、弁護士などが人権を主張するときは、自分が関わりを持っている者(通常は依頼人)の人権のことしか考えません。その人の人権を絶対視し、相対的に見ることができません。「遅刻しても授業を受ける権利」や「飲酒・喫煙を理由に処分を受けない権利」の主張などはその典型と言えます。他の生徒の人権は全く彼らの念頭にありません。学校内のルールを守らずに秩序を乱すことは、他の生徒の権利、すなわち、落ち着いたよい環境のもとで授業を受ける権利の侵害になります。また、別の例として、伝染病の患者の人権を守ると言って彼らの自由行動を認めれば、それによって病気をうつされる人の人権を侵害することになります。精神病の患者についても同じです。どちらの人権を優先するかを考えなければなりません。ところが我が国で弁護士達が「人権」と言うと きは、学校内で問題を起こす生徒や、伝染病、精神病の患者の人権のことばかりで、その他の人たちの人権は平気で無視されています。

〈平和〉

 平和と言う言葉も誤解、誤用されています。平和と言う言葉は無抵抗を意味しません。「平和」は「戦争」の反対という単純な意味ではないのです。平和を守るための戦争というのも、もちろんあるのです。平和を求めると言うことは武力や自衛戦争を放棄して、無抵抗主義を採用することを意味してはいないと思います。
 原子力の平和利用、宇宙の平和利用と言う言葉も問題があります。これらの言葉は実質的に原子力や宇宙空間を自衛隊が利用することを禁じる為に使われていますが。自衛隊は日本の平和を守るためにあるのです。そのように考えれば自衛隊が原子力や、宇宙空間を利用することは平和利用に反しないことは明白です。どこの国でも軍備には最新の技術を投入するのが普通で、自国の軍隊が旧式、劣悪な装備で戦うべきだと主張する人はいません。自衛隊の利用を禁止することを主張する人たちのねらいは自衛隊の存在に反対することです。「平和利用」と言う言葉は「反自衛隊」のスローガンと同義語です。

〈友好〉

 友好という言葉は理想と現実を混同していることが大きな問題です。日中友好は理想ではありますが現実ではありません。日本の国連常任理事国入りに反対したり、尖閣諸島の周辺の日本の経済水域を侵犯したり、日本の新聞の報道に圧力をかけたり、教科書の内容に干渉したり等、中国は日本に対して友好的でないことをいろいろしています。逆に中国が日本に対して、友好的であると言う実例を見いだすことは困難です(強いてあげれば、パンダのプレゼントぐらいでしょうか)。こう言うと中国は戦争の歴史を持ち出して反論してきますが、そういう反論が、仮に理由のあるものだとしても、それは中国が日本に対して友好的になれない理由であって、日中友好が現実のものであるという反論ではありません。日中友好という言葉は、日中が友好関係にないにも関わらず、日本が常に中国に対しては友好的(従属的)でなければならない(中国を批判してはいけない。中国に経済援助をしなければならない)と言う為に使われています。中国を批判することは日中友好に背くと見なされます。

 日韓友好も同じです。日韓友好は理想であり両国がそれを望んでいるとしても、日韓友好は現実のものではありません。韓国が日本の大衆文化を規制したり、日本の商品を差別的に市場から排除したり、スポーツなどで日本に対して、異常な対抗心を燃やしていることを見ても明らかです。これに対して韓国は過去の歴史を持ち出して反論しますが、それは韓国が日本に対して、友好的になれない理由を述べているだけであって、韓国が日本に対して友好的な国であるという反論にはなっていません。中国の場合と全く同じです。実際、国際社会の場においても韓国が日本に対して友好的であると言うことはありません。国連の常任理事国の問題に対しても韓国は日本に協力的と言うことは全くなく、陰で日本の足を引っ張っています。韓国人が日韓友好というのは、日本に何かの援助や、協力を要求するときだけです。それ以外の時は手のひらを返したように「日韓対等」です。

〈国際化〉
 国際化という言葉もよく考えると意味不明な言葉です。現実には日本人が自分たちの伝統的な価値観や生活習慣を放棄すべきだと主張するときに使われています。国際化と言っても実際は欧米化の意味でしかないこともよくあります。また、在日韓国人の地方公務員採用や、参政権付与を主張するときなども「国際化」が口実にそれることが多く、日本にとって国家としての存在放棄になることを主張したり、日本人が日本人としてのアイデンティティーを放棄したりすることを主張するときに使われます。「教育の国際化」などのように、日本人が無国籍人間、国籍不明人になることを主張する人たちによってよく使われています。

平成10年12月17日ご意見・ご感想は      こちらへ     トップへ戻る      目次へ