モザイク壁画製作

大阪のとある公立高校に勤めています。みんなで協力して一つのものをつくりあげていく大切さを訴えたくて,担当学年が1年生の時に,私の方から生徒会に沖縄に関するモザイク壁画の製作をもちかけてみました(2年次には沖縄へ修学旅行に行くことになっていました)。生徒会の生徒とは顔なじみですので,この話しにすぐのってきてくれました。
 学年230人あまり全員で製作するのが一番の目標でした。貼り合わせた大きな紙に一人一人塗っていくことは無理ですので,A4用紙1枚を各自塗ってもらい,その230枚あまりをあとで貼り合わせていく方式を取りました。以下はその1学年モザイク壁画製作の概略です。



(1)
1年の1学期末のことですので,どの生徒がデザインが得意かつかめていません。そこで既存のデザインをベースにしました。使用するソフトの関係で,8色が基本となりますので,写真ではなくイラストをもとにしました。生徒会執行部では「ウォーリーを探せ」を主張していましたが,モザイク画で多くの人物を描くのが技術的に無理でした。結局,ねらいの一つに沖縄がありましたので,琉球船の図に決定しました。
(2)
・スキャナーで琉球船の図を読み込み,BMPファイルを作成。
・使用するソフトが8色までしか扱えないので,ペイントを使って8色におとす。
・同じくペイントで600倍に拡大して,実際に塗ったときにやりやす いように原画を修正。
原図は縦12センチ×横18センチ
この時に康さん作成のpalleteを使用すると便利です。どれくらいの大きさで,きめの細かさがどれくらい必要かが直ぐに分かります。画素数が多い程きめの細かい絵ができるのですが,そうすると塗る側の生徒がいやがることが予想されます。結局上記の原図を17万画素で表現してみました。

(3)
・GHIを使用してBMPファイルからベタファイルを作成。

・このソフトは般若さんが開発されたものです。これはDOS時 代のものです。
当初LANでつながっている98で試してみたのですが,プログラムが動きません。昨年はこの段階で失敗したのですが,今回は別の単独の98の機種で動かしてみたら,うまくうごきました。ただ色の変換が変で,本来青なのに,画面上は赤になったりします。
(4)
・「GR2TXT」ソフトを使用して,このベタファイルからテキストファイルを作成。このソフトは林俊也さんが作成されたものです。

「黒赤黄黄黄白水水……」の形式でテキストファイルが作成されます。
(5)
・あとはエクセルで処理するので,このテキストファイルを「黒」なら 「黒,」(CSV形式)と置換。
もともと色の変換がおかしいので,この段階でもとに戻します。
(6)
・このCSV形式のファイルをエクセルに読み込む。
・これで各セルに「黒」とか「赤」とかの文字が表示される。
・簡単マクロを作成して,「黒」ならそのセルの色を黒で表示す るようにする。これで画面上にカラーのモザイク画が表示される。
・これをもとに適宜モザイク画を修正。
ここまでは私が担当し,修正は生徒会の生徒がやりました。基本的にはコピーと貼り付けのくりかえしです。
(7)
・モザイク画の基本ができると,いったん各セルの色を消して,文字を見える状態にして,各文字をその文字色であらわすように簡単マクロをつくる。たとえば,「赤」ならこの文字が8ポイントの赤色で表示されるようにします。

(8)

これをカラープリンターで以下の条件で打ち出します。
・罫線を引いて,759個の枡目をつくり,その一つ一つに,その枡目を赤に塗るのなら,その枡目内に赤色の小さなフォントで「赤」と印字する。これは塗りまちがいのないようにするためです。

・1枚(A4)=1人の生徒担当分=横33枡×縦23枡 =759画素
 当日休む生徒の分も計算に入れて224人分。
 759画素×224人分 =170016画素
 一つの枡目の大きさは横8ミリ×縦8ミリ

・全体の大きさは横3.6m×縦2.8m

すべて黒で印字するのなら楽なのですが,あとでいうプロッキーで塗っていった場合,その黒の文字が消えずに浮き出てしまい,全体としてみた時,黒っぽくなります。そういうわけでカラープリンターが必要なのですが,この結果全体の絵の大きさもこのプリンターの能力に規制されました。

 もっと画素数も増やせたのですが,生徒が面倒がって仕事を投げ出す可能性がありました。

(9)
・このA4用紙を生徒全員に塗らせます。
・プロッキー=三菱顔料マーカー(水性)

120円・150円。8色あります。

・臭いがなく,下に色がうつることがない。これの欠点は色がやや 暗いことです。

用紙はゼネラル社の厚手A4を使用しました。30枚で約500円です。紙厚は0.21ミリです。

実際には値段の関係で使用しなかった のですが,COPIC (コピック)というペンがあります。これは色が豊富です。
 なぜこの用紙にしたのかというと,普通の紙にプロッキーで色を塗ると紙が反ってしまうのです。それを防ぐためには一定の厚さが必要でした。しかし反面厚くなるので紙の重さがかかり,貼っていった時に自分の重さで剥がれる心配がありました。そこでこの用紙にしました。また太陽の光や水で変色しないか心配でしたが,結局それも大丈夫でした。

(10)
・生徒が塗る当日(9月始め)に,作業用のLHRをとりました。
・大きく塗り違えた生徒は1人だけでした。また塗りが粗雑なものは十数枚ありました。これを修正。

・時間も50分ほぼいっぱいかかってしまいました。

面倒がって多くの生徒が休むのではないか,ざつに塗るのではないか,紙をやぶってしまうのではないか……と心配はつきませんでしたが,これらについては殆ど杞憂に終わりました。この塗る作業はけっこううまくいったと思います。生徒も楽しんでいたようです。

(11)
・この段階で224枚の用紙を体育館にざっと並べてみました。

・配色が悪い箇所数枚を生徒会の生徒が塗りなおす。

(12)
・A4用紙の四つの辺のうち,上辺と左辺は切り落とし,下辺と右辺は糊代として使用。

・これを模造紙に貼っていく。1枚の模造紙に16枚貼れる。
・糊は水糊を使用。模造紙の数は16枚です。
・生徒たちは放課後はすぐバイトのために下校してしまいますので,昼休みに各クラスの生徒7〜8人を呼んで作業をさせた。

*A4用紙をいきなりブルーシートに貼ることもできたでしょうが,作業能率・貼り間違えた場合の処置を考えて,こちらの方法にしました。

(13)                                 

・この16枚の模造紙を5×3メートルのブルーシートに貼る。

・文化祭の企画本にのっていた案です。500円ぐらいで手に入ります。一応いろんな素材で実験してみましたが,値段や手軽さでこれに決定しました。

(14)
・模造紙をブルーシートに貼るため両面テープを使用。
・この作業は慎重を要するので生徒会執行部がしました。
・最後に剥がれないように縁取り用の布製ガムテープで端を押さえました。
*16枚の厚手のA4用紙をはった模造紙はけっこう重くなっています。高価な両面テープと安い両面テープを用意して,これを格子状に組み合わせてはっていきました。模造紙自体の重みや風にあおられて剥がれるのではないかと心配でしたが,結局うまくいきました。なお,両面テープはブルーシートに貼っていくのではなく,模造紙にはっていきました。これの方が作業がしやすいです。
(15)
・3本のロープを使用して下からつりあげ,体育館の窓枠に固定。
・下も3本のひもにおもりをつけて固定。幸いなことに雨も降らず, 風にも耐えることができました。
(16)
・全員協力して一つのものをつくりあげる大切さを訴えたくて,これを企画したわけですが,これ以後校内に問題がなくなったのかというとそうではなくて,まだまだあります。しかし生徒たちの行動する能力を発見できたことは幸いでした。肝心の沖縄修学旅行は教師の予想に反して?大好評だったと言えるでしょう。
・問題点としては,技術的にうまくできるかどうか不明なままに作業を出発させましたので,どうしても教員主導になってしまい,生徒の力でやりあげたという感覚が薄くなってしまったことがあげられます。



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