問題血 from U.S.
2006/06/22(Thu.) 18:16

  昨日21日に、薬害C型肝炎訴訟で大阪地裁の判決が出た。
国と製薬会社の責任を一部認め、総額2億5千万円強の支払いを命じたという判決内容。ただ、原告4人の請求が棄却された。
 
「フィブリノゲン」は高校生物を選択してた人なら聞き覚えあるかしら?「フィブリン」「トロンビン」「ヒルジン」などいろんなカタカナが浮かんでくるセンター入試…「フィブリノゲン-Fibrinogen」は血漿中の糖タンパク質。これが血管外に出るとトロンビンという酵素によってフィブリン(線維状タンパク質)に変化し、その名の通り繊維質なので血球をからめて凝固をはじめる、と習った。覚え方は「フィブリンの源」=フィブリのゲン。ちなみに大台ケ原などの湿地帯に行くとヒルに咬まれて大変なことになる(咬まれた痕は出血が止まらず、気付かないうちに服が真っ赤に染まっていることがある)。これはヒルの口吻部分から分泌される「ヒルジン」という酵素がトロンビンを不活性にするのでフィブリンの生成が抑制されるためにおこるもの。
つまり総じて?、ケガしたら瘡蓋(かさぶた)ができて止血できるのはフィブリノゲンとトロンビンのおかげなわけです。
 
これが何らかの原因で血漿中フィブリノゲン低下によって出血傾向があった場合、手術中などに止血目的で投与されたのがフィブリノゲン製剤(ミドリ十字社製)。ほとんどの原料が米国人の血液から生成されていたらしく、C型肝炎患者、もしくは保菌者の血液から混入した肝炎ウィルスが製剤中に残留し、投与された患者に感染した。
 
今回の判決結果は原告側勝訴とはいうものの不満の残るもの。だって請求棄却されたり、賠償請求額が減額されているから。国・企業の責任も製剤投与された年で、大きくその判決内容が異なった。
■国の責任=1987年4月〜
■企業の責任=1985年8月〜
■上記以前に関しては国・企業の過失は認められない
これらの詳細についてはこちら。[Click Here!]
 
肝炎に関しては、当時A型とB型のみしか認識されておらず不明の病気として新型(後のC型:当時は非A非A型肝炎と呼ばれてた)の存在が浮かび上がっていた頃。しかもそのC型というのが如何に悪性なもので長期間の潜伏期間(自覚症状が無い)を経て肝臓癌や肝硬変に続いていく可能性が非常に高い病気だとは知られていなかったらしい。つまり国・企業の責任は「医学的にも発見されてなかったんやし、知らんことやからじゃーないやん」と「米国で動きがあったり集団発生もあって認識してたのに対策とらんかったのは過失でんなぁ」という、認識できたかどうかのタイミングと対応の部分に焦点が当たったわけね。
 
これってさぁ、遠い話じゃないねんで。今の今起こってることが、まさにこの薬害事件の話と同じやねんで。
来月下旬にも輸入が再開される見通しとなった米国産牛肉。「輸入再開してもOKでしょ」と報告したのは政府BSE調査検討委員会だが、その骨子は「脳や背骨などの危険部位を取り除けば、BSEの危険性はカナダ産牛や国産牛と同程度」っていうお粗末なもの。委員会の主要メンバーだった6人の研究者が発足早々に辞職したのは、自然科学に基づいた客観的な科学的見地よりも、米国との政治的な見地を優先して報告を捻じ曲げさせられるその委員会の設置目的に憤慨したもの。
歴史に名を刻もうと実績重視したコイズミさん、任期中に急かしてGoサインを出したこの政策は、きっと汚点になる。
ここからはタラレバの話やけど、来月輸入再開され輸入禁止以前と同じように米国牛が大量に流通したとする。いつの間にか民衆がBSEのことを忘れ、スーパーに並ぶ美味しそうな牛肉をどこ産か見ずに値段で買うようになったとする。焼肉店、牛丼店も以前同様に繁盛し、「国産牛のみ」「OGビーフ使用」などのノボリを立てずとも人々がすっかり安心して外食を楽しむようになったとする。そんな頃、家族・友人が抑うつ、不安などの精神症状や、進行性痴呆、運動失調等を発症しはじめる。若いのに…。元気で健康な人なのに…。脳がスポンジ状になるクロイツフェルト・ヤコブ病とはこんな病気なのである。発症から1〜2年、高確率で全身衰弱・呼吸不全・肺炎などで死亡する。
病院でヤコブ病と診断された→もしかすると米国牛を食べたことが?と関連を疑う→かけた治療費虚しく家族・友人が死亡→輸入した企業と承認した政府を相手取って集団訴訟。
そしてこのときの判決で明暗を分けるのが、その米国牛を食べた時期なのである。この7月の輸入再開以降に食べたことが証明されれば企業・国の責任を問えるかもしれない。でも証明できる資料があるのか?レシート?店のチラシ?(冒頭の薬害C型肝炎訴訟ではカルテを入手できなかったために原告団に加われなかったケースもあった)
たとえ証明できたとしても、死んだ命は帰ってこないし、間違った見解で隔離され差別されたハンセン病患者の方々のように長期間によって国は責任を認めず辛い時間が延びるだけなのである。
 
食べ物ってコワイ。とくに外食。選択権もないまま出されたものを黙って食べてる。小さいものでは食中毒(これは数時間で発症するので原因を特定できる)、大きいものでは狂牛病=ヤコブ病。当たってしまえば容赦なく発病し、せめてもの治療費や慰謝料を請求しようにも、国と企業は結託して首を振る。
 
わたしは牛肉を食べない、国内の肉牛業者には悪いけど…って思ってたら、なんと米国では鶏や豚にも肉骨粉を与えてるんだとか。すべての肉が怖い、もしかしたら魚(重金属蓄積)だって、野菜(農薬問題)だって…


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