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生産段階からの対策を

別処珠樹 (「毎日新聞」2001年2月5日付近畿版に発表。字句をわずかに修正)
URL http://www.kcn.ne.jp/~gauss/b/crisis.html

 日本列島のゴミ危機が日に日に迫っている。全国的にみてもゴミ投棄が過度に集中 しているエリアの一つ、奈良県の実情をみてみよう。

 奈良市は、プラスチックゴミを最終処分場で圧縮し、広島県福山市のNKKの高炉 で燃やそうとしている。しかし、処分場での中間処理が法的に可能かどうかは疑問が残ると ころだ。

 天理市は産業廃棄物業者がダム上流に処分場を作るのに反対している。しかし、同 市を中心とする広域事務組合が月ヶ瀬村水道水源の1`上流に処分場を作る矛盾に気 づいているのだろうか。

 三重県上野市と奈良県桜井市の産廃処分場周辺で住民が汚染指標の一つである 水の電気伝導度を調べたところ、処分場に近づくほど高い数値の出る傾向がみられ た。地下水汚染が進み、すでに回復不能になっている可能性が強い。また、県東北部の 大和高原で不法投棄や野焼きが絶えず、その数は50か所を下らない。そこからの 汚水が水質悪化に拍車をかけていることを下流の人々は知っているだろうか。

 もう処分場の残余容量にはほとんど余裕がない。県廃棄物対策課によると、近畿で 産廃を投入できるのは数年内に県内1か所と大阪湾の処分場だけになるだろうとい う。他の地方も状況は同じで、昨年末から中国・九州地区で独自に産廃税を提起する など、流入抑制の動きが出てきた。これも一時しのぎの対策でしかないところに深刻 さが露呈する。このままいくと、生産を止めるか、ゴミを輸出するしか道がなくなる だろう。

 海外ではEUが着々と経済構造の変更に向けて手を打ちつつある。ところが、日本 の政官財界は、固形燃料化・灰溶融など場当たり手段を推奨するばかりで、抜本策を 示せない。生産→消費→廃棄の経済構造にメスを入れる勇気が持てないからで、何ご とも前例主義の行動様式が裏目に出ている。

 とりあえず、リサイクル関連法の全面見直し、廃棄物処理法の全面改訂ないしは廃 止など、打つべき手はある。しかし、出たゴミを処理すれば問題が解決する段階は過 ぎ去った。一般廃棄物については、ゴミが出ないように生産段階からコントロールす るEPR(拡大生産者責任)などの画期的対策が必要である。産廃についても、地下 水汚染・臭気・疾病の増加など埋め立てによるデメリットを製品価格に転嫁する方策 を探る段階に来ている。