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拡大生産者責任

別処珠樹 (「毎日新聞」2000年4月15日付近畿版に発表)
URL http://www.kcn.ne.jp/~gauss/b/epr.html

 経済協力開発機構(OECD)が検討を続けてきた「拡大生産者責任」(EPR)の 考え方を、ごみ問題解決の切り札として各国が採用しはじめた。EPRは今後、 廃棄物制度の世界標準になっていく可能性が大きい。日本の政府・与党も 準備中の「循環型社会形成促進基本法」(循環法)でEPRを導入するとしているが、 関連法が条件を満たしていないため、導入の印象を内外に与えるだけの法案に とどまる。

 EPRの要点は、生産変革を促す動機付けとなることだ。その本質は、「だれが ごみ処理を物理的に行うかではなく、だれがごみ処理の費用を負担するかにある」 (OECD報告書)。製品を使い終わった後の処理費を価格に上乗せする。価格が 上がると需要が減るため、上乗せ費用を極少にしようと企業は努力する。その結果、 再利用や処理がしやすいものへと生産物が変わっていく。

 法案の表現がどうあれ、循環法が実効性を持つにはリサイクル関連法がEPRの 条件を備えている必要がある。しかし「家電リサイクル法」は排出時に消費者が負担 する仕組みだから、EPRではありえない。ペットボトルの回収等の費用は自治体 負担(税金)だから、「容器包装リサイクル法」もEPRからはほど遠く、生産変革の 動機付けにならない。

 今夏、7年間の検討を終え、OECDが参加各国政府に「EPR手引書」を出す。 草稿には「行動目標は明快でなければならない」とあり、制度を整備せずあいまい にしたままの日本にとって厳しい内容になることが予想できる。夏までに新法を 成立させ、EPR導入の姿勢だけは海外に示したいというのが政府の本音だろうが、 それではごみ問題の解決が置き去りになる。

 先月、こうした状況を踏まえて、国内のごみ団体や個人が連携し、世界のごみ 問題NGOにメールを送った。日本政府に思い切った改革を促してくれるよう 頼んだところ、海外から好意的な応答がいくつも寄せられている。

 有害重金属が凝縮する焼却灰をどう処理するのか。最終処分場の確保をどう するのか。問題山積の中で政府や産業界のかかえる課題は極めて大きい。ここは 拙速を避け、EPRについて周知を図り、資金力の弱い中小企業対策を考えつつ、 今夏のOECD「手引書」を待って、明快な法案を準備すべきだ。