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予防原則に関するウィングスプレッド宣言

 アメリカ・ウィスコンシン州ラシーン、
 ジョンソン財団ウィングスプレッド・ビルで
 1998年1月25日


 人類は、有毒物質を出したり使ったり、資源を収奪したり、環境を物理的に変えたりしてきました。そのつもりがなくても、結果として人の健康と環境にきわめて重大な影響を与えてきました。学習障害・ぜんそく・がん・新生児障害・種の絶滅などが高い率で発生するようになり、心配されています。また地球規模で気候が変動し、成層圏のオゾンが枯渇し、有害物質と放射性物質で世界が汚染されていることも心配です。

 リスクアセスメントにもとづいて行われてきたこれまでの環境規制や政策決定では、人の健康と環境を十分に守ることができなかったと、私たちは考えます。また、人もその一部にである地球全体の生態系を守ることができていませんでした。

 世界の環境と人に与えられたダメージが大きく深刻であることについては、はっきりした証拠があります。そのため人が活動を行うのに新しい原理が必要であると私たちは考えます。

 人の活動に危険(ハザード)がともなうのはたしかですから、これまでよりもずっと注意ぶかく取り組まなければなりません。企業や政府機関・組織・地域社会・科学者だけでなく、それ以外の個人も、あらゆる人間の試みに対して予防的なやり方を採用しなければなりません。

 つまり「予防原則」を取り入れる必要があるわけです。人間活動が人の健康と環境に害をおよぼすおそれがある時には、たとえ因果関係が科学的に十分立証されていなくても、予防的な方法をとるべきだというのが予防原則です。

 そのため、一般大衆ではなくて活動の推進者が [危険でないと] 立証する責任を負うべきです。

 予防原則を適用するときは、その過程を一般に公開し、情報を提供し、民主的に運営すべきですし、影響をこうむる可能性のある人たちがそこに参加すべきです。その活動を中止することも含め、幅広く代替案を検討しなければなりません。