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[ソニー・ファイル 2]

産業界が、環境団体に対し
地球規模で攻撃

――資金源とインターネット活動が標的――

ニューズレター 『インサイドEPA』 2000年9月15日 [原文]

ちかごろ国際問題・貿易問題で環境団体があげている成果に対抗しようと、産業界の一部が努力をはじめた。産業界の機密戦略文書や産業官僚からよせられた情報によると、慈善団体が環境団体に資金提供するのを封じこめるこころみが始まっているし、活動家が地球規模でうごくのを追跡し、その活動をさしとめる可能性を求めてネットの 「諜報」 機関をつかう動きもでてきた。

業界があたらしく踏みだした方向は、環境団体の力にたいする前例のない攻撃の第一波だと環境団体側はいう。その力とは、経済・政治のグローバル化や、環境にあたえる貿易の影響について論議する能力のことである。おおむね産業官僚たちは自分たちのことを弁護していて、この手法は合法的なものだし、環境団体が国際舞台で打ちあげている無数のキャンペーンを追跡しつづけるために必要なことだという。

『インサイドEPA』 誌が入手した文書によると、ソニーはこの夏、内外の国際環境グループにたいする 「行動計画」 を準備した。対象として地球の友、グリーンピース、シリコンバレー有毒化学物質連合があげられているこの計画には、「資金提供への早期事前介入」 early pre-funding intervention 、「NGOに対するこまやかな監視と接触のネットワーク」 detailed monitoring and contact network to NGOs がふくまれている。流出した 戦略文書 はサイトで入手することが可能である。

ソニーはこの文書を、7月にブリュッセルで開かれた、いわゆる 「WEE」 指令についての技術部門会議で発表した。WEE とは、電子部品に使うおおくの有毒物質を段階的に廃止していこうという EU の提案で、リサイクルのため、消費がおわった製品の回収を製造者に義務づけることになっている。この WEE 提案については米国の環境グループが熱心にロビー活動をくりひろげて採択をもとめてきたが、ほとんどの多国籍エレクトロニクス企業がつよく反対している。

ソニーの文書内容とこの問題にくわしい情報源によると、数おおくある新しいネット 「諜報」 機関の一つ、たとえばロンドンに本拠をおくインフォニック社などを雇ってネットワークの監視が行われる。対象はチャットルーム・メーリングリスト・電子掲示板・オンラインニュース・ニュースグループ、そのほか当該企業または産業グループが必要とする特定データの公開情報源である。ここでいう情報には、プレスリリース・ニュース記事・特定の問題やキャンペーンについての議論・全体戦略がふくまれる。主に情報は購読者に要約のかたちで提供される。

インフォニック社に関する情報源からはコメントが出ていないが、この企業は過去に国際的な環境問題にかかわったことがある。もっとも有名なのは、汚染を改善するようロイヤル・ダッチ・シェルに要求した地域の環境活動家をナイジェリア軍が処刑した事件である。事件のあと、この会社をロイヤル・ダッチ・シェルが雇って、会社のイメージ回復をはかった。

産業官僚の一人は 「資金提供への事前介入」 pre-funding intervention とは、環境グループがキャンペーンを始める前に、企業の製品と活動について 「正しい情報をもつ」 ことができるよう、産業界のデータをあらかじめ提供することだという。

しかし、この方面で産業界がおこなっている活動にくわしい情報筋は、つぎのようにいう。環境団体のかかげる課題で産業界が問題とする点があるが、環境組織を後援している寄付者・慈善団体・企業にたいして、これをじかに提示しようとする動きが最近ふえつつある。「資金提供への事前介入」 とは、そのような産業界の動きをさしているという。ある情報通によると、ソニーの文書はこの動きにスポットをあてているだけであって、問題は、環境組織が貿易問題に口をはさむために、環境団体など活動組織の能力をつぶしてしまおうとする産業界の動きが大きくなりつつあることである。

昨年シアトルで開かれた世界貿易機関 [WTO] 会議で報道されたような抗議が出たが、これに反応して農業ビジネス業界が立ち上げた 「貿易と技術の真実」 という新しいウェブサイトについても、この情報通は触れている。サイトの運営者は、抗議に参加した環境グループやスポンサーのリスト、貿易と環境に関する "神話" のリスト、およびこれにたいする業界側の反論をあつめている。この反論の中には、地球温暖化は本当に起きている現象ではないとか、いくつかの種が絶滅しつつあるのは人類活動によるものではないから政府が保護すべきではないという主張もふくまれている。

このサイトは明らかに、環境グループに資金提供をしないようにと慈善団体を脅すこころみであると、環境団体側は主張する。環境グループに資金提供するのをやめるよう実際に要求する手前でサイトの主張はとどまっているものの、「こうしたグループの実態を白日のもとにさらし、行動の責任をとらせるつもりである」 とまで書いている。

こうした活動は危険な先例をつくる可能性があり、 「専制者」 のメンタリティが産業界でさらに優勢になる危険性があると、環境団体は警告する。ソニーの戦略文書について、ある情報筋は、環境団体の努力を監視し、これに対抗する国際規模の協力体制としては初めてのものだろうと語っている。

複数の情報筋が語るところによると、シアトルのデモ以前は、産業界のおおくが貿易問題にたいする環境団体の活動を脅威とはみなしていなかった。ところが、抗議者たち――その多くは環境グループと労働グループに指導されていた――はWTO会議を粉砕することに成功し、その後も世論を味方につけた。こうして産業界の多くが注目をはじめ、この情況に対処する方法を積極的に模索し始めたのである。

(翻訳・別処珠樹)  [原文]

記事に対するソニーの見解