●入口に戻る
●産業界が
 環境団体を攻撃?

●緑の人々を食べる
 巨人たち?

●流出文書(pdf 220kB)
●ソニーの見解
[ソニー・ファイル 1]

ソニーは環境活動家を監視している

ダニエル・ナイト記
インタープレス・サービス 2000年9月22日 [原文]

環境活動をつづける各団体は国際的なキャンペーンを展開して、有毒廃棄物に対 する責任を電子機器メーカーが取るべきだと訴えている。流出した文書によっ て、ソニーがこうした環境活動家たちを監視してきたことがわかった。

ソニーは監視キャンペーンを進め、環境グループの組織的な活動を見張ってい る。環境グループは法規制を強く求めており、これによってソニーの収益が損な われる恐れがあるからだ。

ソニーの内部文書はインタープレス・サービス (IPS) が入手した。これは七月 にブリュッセルで開かれた 欧州情報通信技術産業協会 (the European Information and Communications Technology Industry Association [EICTA]) の会議の ためにソニーが用意したものである。産業界の環境方針に関するこの会議の席上 でソニーの代表は「NGO対策」と呼ばれるプレゼンテーションを発表した。流出 の文書 にはプレゼンテーションの要旨が示されている。

ソニーはこのプレゼンテーションで、それまで環境活動グループを監視して得ら れた結果を公表した。新しい法律の制定を目指す各グループの活動が子細に述べ られた。新法とは製品に含まれる有毒な化学物質の処理に関して、電子機器メー カーに法的な責任を科し、処理経費を負担させるというものである。この種の法 律は欧州ですでに検討されている。同様な法律が米国にも導入されることを望む NGOもある。

ニュースレター「インサイドEPA」の レポート (2000年9月15日)は、取得し た情報の活用によってソニーが、「活動家を追い込み、彼らの国際的な活動努力 を阻もうとしている可能性がある」と述べている。

流出の文書は、新法の制定を求める米国の活動グループの名称を特定している。 グリーンピース (Greenpeace)、地球の友 (Friends of the Earth)、欧州環境ビ ューロー (the European Environment Bureau)、 シリコンバレー有毒化学物質連合 (the Silicon Valley Toxics Coalition [SVTC])、 持続的発展のための北半球連盟 (the Northern Alliance for Sustainability) などがあげられた。ソニーは以上のグループを、難燃剤やプラスチック添加剤の 健康に与える危険性を訴えることに成功したとして、「極めて活発な活動」を展 開し、「国際的に組織化」されていると特徴づけている。

このプレゼンテーションは会議において、電子産業界が統一された対抗策を立て るべきだと提案した。具体的には、産業界が協力して「NGO を綿密に監視し、そ の情報を交換するためのネットワーク」を作ること、そのためには インフォニック社 (Infonic Plc) などの「インターネット調査代理業者」に依頼すること、としている。

インフォニック社は ウェブ・サイトで企業に向けて自社の宣伝として、企業にと ってはうるさい批評家たちの次の言説をあげている。「今や企業を批判する者の 声は大きく、各企業の声はみるまに小さくなってしまった。活動家や消費者・ジ ャーナリスト・従業員はたがいに交信をつづけている。以前にはなかったこの活 発な情報交換を企業が把握するのはますます難しくなるだろう」。そして、インフ ォニック社こそがこの問題の解決策だ、と売り込む。

ソニーは前述の他にもいくつか提案をした。各企業は、環境関連の批判に対処する専任の 広報担当官をそれぞれ雇用すること、地域別にリサイクル・キャンペーンをNGO とともに進めること(ソニーはすでにこれを行っている)によって先手を打ち、 これ以上の法規制がかからないようにすること、などである。最後に、各企業が 「信頼できるNGO」と交流を深めることの必要性を訴え、それには加盟国によっ ては税金の控除が見込めるかも知れないと補足して、ソニーはプレゼンテーショ ンを締めくくった。

SVTC (カリフォルニアのハイテク産業の中心地に根拠を置く)の実行委員である テッド・スミス氏は、日本企業が彼らのグループの活動について考察していたと はたいへんな驚きだという。「産業界は、改革のために必要なことは行わずに、 むしろ時勢の流れに逆らうために、法外な時間を費やしているようだ」と氏は述 べる。

米国ソニーにおいて、環境・健康・安全問題を専門とする部署のマーク・スモー ル副部長は、ソニーが環境グループの活動を追跡調査していることを認めた。 「私たちは自社のイメージに注意をはらっている。だから、もしグリーンピース が何か行動を起こすなら、即座に対応できるようにしたい」と、サンディエゴで 勤務するスモール氏は言う。

氏は、あのプレゼンテーションは「表現に十分な配慮」がなされていなかったこ とは認めながらも、もともと一般に公開するために作成されたものではないと弁 明した。

ソニーを始め、電子産業界はこれまで、法律の制定を目指す環境活動家と EU に 抵抗をつづけてきた。その法律とは、電子機器の製造・使用・廃棄の各段階での 環境と健康に及ぼす危害について、生産者に責任を負わせるというものである。

ヨーロッパでは、この法律制定の努力が、廃電気電子機器に関する欧州委員会指 令 (WEEE) として結実している。[各国で] 上程される法案は、使用期間を終え た製品が廃棄される段階をも含めて、製品のライフサイクル全般を通じて、管 理・処理の経費責任を電気製品・電子機器の生産者に求めるものになるだろう。

SVTCのスミス氏は「電気・電子機器に有害物質を使用すると決めたのは生産者で あり、その有毒廃棄物の処理経費を、課税によって一般市民が負わされるべきで はない」と主張する。

法案はさらに、電子機器に一般に使われている水銀やカドミウムなどの有毒化学 物質を、段階をおって減らし、2008年までに全廃することを求めることにな る。

ヨーロッパの環境活動家たちがこの法律の制定を急ぐ背景には、コンピュータ産 業の急成長によって、廃棄される電子機器の処理経費が膨れ上がり、地方自治体 にかかる負担が増していることがある。

一般に、コンピュータ機器類は千種以上の原材料が複雑に組み合わされてできて いる。解体されると原材料の多くは、有毒ガスや有毒金属・生物活性の高い物 質・酸類・プラスチック・プラスチック添加剤など、極めて毒性の高いものとな る。水銀や鉛が人体に与える影響はよく知られている。しかし、環境グループが 警告するように、その他の多くの化学物質のそれぞれが、そして化学物質や原材 料の組み合わせが、いかに健康を害するかはわかっていない。

SVTCによると、半導体やプリント回路ボード・ディスクドライブ・モニターの製 造には、特に有害な化学物質が用いられ、チップの製造に携わる労働者たちは、 癌の集団発症を訴え始めた。

米国では2004年までに、およそ3億1千5百万台のコンピュータが時代遅れ となると予測され、現在のリサイクル率は10%にも満たないことから、これら のコンピュータのほとんどが捨てられ、最終処分場か焼却炉へ流れることになる だろう、とスミス氏は説明する。

ソニー社のスモール氏は、各企業はよりリサイクルしやすい製品を設計するため に自主的な努力をすでに始めているとして、ハイテク産業界への新たな法規制は 必要ない、と主張する。氏によると、ソニーはミネソタ州や幾つかの市と協力し て、ステレオやテレビを含む電子機器類のリサイクルと「テイクバック(引き取 り)」のプログラムを進めている。「ソニーが米国でこのプログラムを成功させ れば、ヨーロッパや日本に対して、経済効率の良い、法規制よりも効果的な、実 際例を示すことになるだろう」と述べた。

しかし、環境活動家は反論として、そのような自主的な努力は有毒化学物質の段 階的廃止を考慮していないこと、また現存の製品に対して各企業が責任を取る保 証がないことを指摘する。「[それが達成されない以上は] あとは見せかけの飾 りごとようなものだ」とSVTCのスミス氏は言う。

電子産業界と米国通商代表部 (USTR) は、WEEE指令を導入しようとするヨーロッ パの努力に対抗して、活発なキャンペーンを展開してきた。数年前からEUの法規 制が検討され始めると、アメリカ電子工業協会(AEA) -- IBM・マイクロソフト 社・モトローラ社・インテル社など三千の企業によって構成される-- とUSTR は 全面的な対抗姿勢を示した。ヨーロッパ外のメーカーに対して効力を持つ法案は 世界貿易機関 (WTO) を侵害するものだと訴えた。

環境活動家と米国議員三名はアル・ゴア副大統領に書簡を送り、次の大統領候補 の介入を求め、USTR のロビー活動を直ちに止めさせるように要望した。百以上 の圧力団体の署名を得た書簡は、「環境基準は引き上げられるべきで、決して下 げられるべきではない」と述べ、「環境政策を業界が決定することは許されるべ きではない」と論じた。

[以上は、インタープレス・サービスにすでに掲載された記事(9月15日)の改 訂版である。]

(翻訳・安濃一樹) [原文]

記事に対するソニーの見解