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アフガンの大虐殺 訳/安濃一樹・別処珠樹 アフガニスタンの北と西で起きた北部同盟による大がかりな虐殺が、複数の情報源からの証言で確認された。 「最初のコンテナを開けたとき、私は死体を数えました」と、その人は語った。彼は最近まで [北部同盟のうち] 共産主義のドスタム将軍が率いる軍隊にいた人で、ここでは匿名である。十二のコンテナにタリバン兵の捕虜を詰め込んで、八日のあいだ屋外に放置していたという。捕虜たちは長さ四○フィートのコンテナにオイル・サーディンのように詰め込まれ、窒息や飢え、渇き、マザリシャリフ地方の激しい温度変化などで死んでいた。この地方の気温は、冬の夜になると零度を割るのが普通である。 「最初のコンテナを開けるのは、私たちにとって勝利の儀式のようなものでした。おお神よ、罪多き我を許したまえ。その時まで私たちは、みな自分たちのやったことを誇りに思っていました」と彼はいう。「コンテナを空っぽにして数えてみたら二九三人が死んでいて、生きていたのは二人でした」 。 まの当たりに見るような説明を聞かされた。もう手遅れだが、彼は自分のしたことに恥じ入り、罪を感じていた。タリバンの捕虜たちが金属製の墓の中で息を引き取った最後の数日のことが思われた。 「手で南京錠を開けたのは私です。錠前をはずし、重い取っ手を回して、扉を全力で手前に引きました。コンテナの扉が思い切り開いて、髭を生やしたタリバン兵たちの死体がコンテナから転がり出てきました。まるで私たちに最後の攻撃をしかけてくるように、猛烈な勢いです。あわてて、このぞっとするような光景から逃れました。私はつまずいて地面に倒れ、捕虜たちの腐敗した死体の下敷きになりました」。 「生きている限りあの光景を忘れることはできないでしょう。あなたがどんなに思いをめぐらしても、あの不快な悪臭を想像することは不可能だと思います。便や尿、血液、吐きだした物、腐った肉、それらが渾然一体となっていました。これまでどんなにひどい臭いを経験されていたとしても、あれにはかないません。あれは死の臭いです。──人の死だけではなく、価値の死であり正義の死でした」。 「コンテナは荷物を詰めるもので、人を詰めるものではありません。いったん扉を閉めると換気ができません。内部の空気は、一羽の雀が一週間生きるのにも不十分でしょう。三百人ほどの若者がこの金属製の箱に生きたまま詰められたらどんな様子になるか、想像がつくでしょう」。 「私は、転がりでたタリバン兵の死体の山から這いだし、やっと立ち上がりました。仲間は大笑いしました。私は吐き気がして、自分のシャツや、コンテナに入っていた死体の上に食べたものを吐き出しました」。 「捕虜たちの様子は、生きていた時よりもずっと雄弁にその心を表現していました。彼らの表情は恐怖と苦しみを現わして凍り付いています。死の舞踏のように、彼らの身体はそれぞれ違った形に固まっています。何とか息をしようともがくうちに、互いの顔や身体をひっかき合ったのでしょう。身体からにじみ出た血が口や目、耳、鼻の周りに固まっています。ほとんどの者は身体を動かすことさえできず、傷口や身体が文字通り、自分たちの便や尿で汚れ、固まって化膿していました」。 「引っ張り出した時に二人だけ生きている者がいました。けれど息も絶え絶えだったので、司令官が銃弾をあたまに撃ち込み、仲間たちと同じところに送り届けてやりました」。 「私は鍵の束をだれかに渡し、そこから逃げ出しました。その日のうちに、アフガニスタンから逃げ出すことにし、いま○○へ行く途中です。このような罪に荷担したことを悔やみ、昼も夜も神に許しを請いました。神が私を許して下さるかどうか、私にはわかりません」。
女たちや少女を標的にすること「男を殺すときは、ただ殺すだけだ。だけど少女を強姦すると、その家族全体に永久に恥をかかせることになる。ただ殺してしまうより、このほうがずっといいんだよ」 と、ドスタムの軍団からやってきた別の若い兵士が説明した。かれの哲学では、男を殺すより少女を強姦する方がずっと簡単だという。「そのほうが復讐としてもずっと意味がある」 と彼は卑猥なウインクをしてみせた。この兵士も、はじめに上げた兵士と同じように匿名である。彼は最終的にシビルハンに落ち着いた。 「手を出せそうなパシュトゥン族の女の子がいると、見つけ出して強姦するよう勧められていた」 と彼はいう。 北部同盟の兵士はこれまでそうだったし、今もそうだが、「インティカアム(復讐)」 という邪悪な論理に基づいて、パシュトゥン族の女性に対して性犯罪をおかし続けている。自分たちとちがう民族の出身であれば、女性たちや少女たちに乱暴し、強姦し、辱めることは、完全に法にかなったことだと、病んだ心が考えている。「昼間は法の番人のような顔をして、夜になると略奪と強姦をしたよ」 とこの兵士はいう。 特に自慢げなのは、ごく幼い少女を犯した男たちである。「その日、俺が捕まえたのは、まだ七〜八歳だったろうな」 とタジキスタンに行っていた勇敢な兵士がいう。「その子はまだ小さすぎて、俺が何をしようとしているのかも判っていない様子だったよ」 と男はかすかに恥ずかしそうな様子を見せながら言った。「その子のからだは、男の子みたいだった」 と後から考えたことを付け加えた。
計画的な強制移動恣意的なハラスメントがいつまでも続くので、パシュトゥン族はアフガニスタンの南と東に移住することを強いられている。 [北部同盟のうち] イスマイル・ハーン元へラート州知事が率いる軍隊からやってきた中年の指揮官は 「アフガニスタン各地域の人口分布を変えてしまおうという考えです」 という。「パシュトゥン族はパキスタン国境に押し込めてしまい、残りの大部分をその他の民族のものにする考えです」 と、この哲人の風貌をもった男性は語った。 大方のパキスタン紙が報じるところによると、五万人の難民がパキスタンに入ろうとして国境の町チャマンの近くで待機している。これはドスタム将軍とイスマイル・ハーン元知事が考えた 「計画的移住政策」 の犠牲者である。 彼らはアフガニスタン各地を民族別に完全に分割し、もとに戻れないようにしてしまおうと考えている。ドスタム将軍とイスマイル・ハーン元知事は、自分たちが指図してパシュトゥン族を集団で地域から追い出そうとしている。 皆が来たるべきロヤジルガ [アフガン民族会議] に大きな希望を託しているように見えるが、地上のありさまは元気の出るようなものではない。
翻訳は著者の許可を得た。原文: http://www.saeedi.4t.com/index.html |