安濃一樹、02/11/25 www.kcn.ne.jp/~gauss/jsf/indiaterror.html 一一月一三日、朝日新聞が特派員メモとして インドのテロ事件を報じた。首都ニューデリー の高級ショッピングセンターで銃撃戦があり、 二人のテロリストが警察に射殺された。インド ではテロ行為が頻発している。今回の事件では 警察が、買い物客を標的とした無差別殺人を瀬 戸際で阻止したことになる。 朝日の特派員は娘が通う保育所の父母会で、 「安全のため映画館にも行かない方がいい」と の声が出始めたことをあげて、「テロが家族の 憩いの場も子供の遊び場も奪っていく」と記事 を結んでいる。 日常生活の場に迫りつつあるテロに多くの市 民が恐怖を抱いたに違いない。特派員はその事 情をよく伝えている。しかしインド新聞各紙の 報道によると、事実は大きく異なる。事件は警 察によって捏造された疑いがある。 なぜテロリストの顔に暴行されたような青あ ざがあるのか、など不信な点がいくつもあげら れたが、注目すべきは目撃者の証言である。現 場となった地下駐車場にいたハリ・クリシュナ 医師は次のように証言している。車から出てき た容疑者ふたりは足取りもおぼつかない様子で、 武器は持っていなかった。警察がいう銃撃戦は なく、私服警官が一方的に彼等を射殺した。 警察に電話で脅迫され身の危険を感じた医師 は警察の出頭要請を拒否している。彼は政府の 人権委員会に調査を依頼した。 事件後、インド政府は即座にテロリストはパ キスタン人であると断定し、警察の対テロ活動 を褒めたたえていた。カシミール地方の帰属を めぐりインドとパキスタンは抗争をつづけてい る。目撃証言が真実とすると、インド政府は仇 敵を誹謗するためにテロ事件を捏造してしたば かりでなく、自国の市民を脅迫するために恐怖 を演出した。 日本の拉致問題でも、政府とメディアが国民の怒りや恐怖を 煽るような報道をしていないだろうか。恐怖が心に住みつけば、 人びとは安全を求めるあまり戦争さえ肯定し、自由や権利を一 つひとつ手放してゆく。アメリカの現状をみれば、そのことを容易に納得で きるはずだ。テロによって私たちが失うものは計り知れない。
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