目次へ


米英軍事枢軸
www.kcn.ne.jp/~gauss/jsf/usukaxis.html

2003年3月22日


目的は石油だとか、一国支配の野望だとか、イラク侵略の目的については色々 いわれています。しかし本当のところは、米英の同盟と仏独露中の覇権争いと なっているようです。イラクをめぐる今後の動きを見るうえで、近視眼的な見 方に陥って判断を誤らないよう、次の意見を念頭においておきたいと思います。

これまでの事態を見通しよく観察している人として、カナダのモントリオール にあるグローバリゼーション研究センターの所長ミシェル・ショスドフスキー Michel Chossudovsky を挙げることができるでしょう。この人は9・11の直 後から一貫してアメリカの疑惑を解明し、明晰な分析を提示してきた人です。 日本でも専門書の翻訳が出ています。以下は、3月10日に出された「米英軍事 枢軸」The Anglo-American Military Axis という文書の概要です。

報道では安保理事会での対立が単なる外交上の行き違いとされている。実態は もっと複雑で、ブッシュの戦争政策はサダムの大量破壊兵器ともビンラディン とも関係がない。イラク侵攻は、中東と中央アジアの油田にかかわる利権から 欧州・ロシア・中国を排除することを目的としている。合衆国はバルカン半島 で仏独と利権を分け合っているが、イラクでは仏独およびロシアの影響力を弱 め、自国の支配を確立しようとしている。

大国間の(「古い欧州」と米英軍事枢軸の)衝突には、次の三つの面がある。
1)防衛・軍産複合体の競り合い
2)石油・天然ガス支配の対立
3)貨幣・通貨システム、すなわちユーロとドルの対立

1)防衛・軍産複合体の競り合い
軍事同盟の構造が基本から変わりつつある。99年から仏独はロシアと軍事 作戦を共同で行うことで同意している。NATOが割れている。英米はいわゆ る「大西洋の架け橋」で、軍事・情報活動の両面で緊密に協力している。だが 仏独とは亀裂が生じ、英米枢軸の武器生産は 仏独の「欧州航空宇宙防衛会社」 EADS という強力なライバルと競り合っている。

2)石油・天然ガスへの支配
中東と中央アジアには世界の石油・天然ガス埋蔵量の7割がある。米中央軍 によると「合衆国が介入する目的はこうだ。この地域に合衆国は死活にかかわ る利害関係を持っている。合衆国とその同盟国が妨害をうけず、確実に湾岸の 石油を手に入れなければならない」。イラン・イラクに同じような利害関係を 持つ仏露の石油利権を打ち砕く征服戦争である。 イラクには世界の石油の11%が存在し、サウジにつぐ第二の石油埋蔵国で ある。深海底で採掘するよりずっと安価に採掘できる。イラン・イラクは仏・ 露・中の石油会社と契約している。 したがって、この戦争は仏・露・中を地域から追い出すと同時に、ロシアや 欧州の石油会社との契約を破棄させるためのものである。

3)貨幣・通貨システム、すなわちユーロとドルの対立
ユーロとドルの対立が問題になっている。欧州の通貨統合はドルの支配を侵 害する。経済支配の道具であるドルがユーロによって根底からゆさぶられてい る。イギリスが通貨統合に参加しないのは米英軍事枢軸の一面である。ユーロ とドルは金融・通貨の支配をめぐって競り合い、特に旧ソ連圏、中央アジア、 サハラ以南のアフリカ諸国、中東で競合している。 通貨政策は国家の管理下にあることになっているが、米欧ともに実質は民間 が力をもっている。ウォール街の利害は仏独の金融利害と衝突する。イラク戦 争は石油資源にたいする支配だけでなく、通貨と信用にたいする支配が重要な 要因である。