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フィリピンはごみ問題をどう解決するか

How can the Philippines solve waste problems?


フィリピンでごみ焼却が全面禁止になったことを受けて、人々がどう考え、 どう行動しているか、現地の人に尋ねてみました。 緑色 の部分はこちらからの質問です。

マリト・カサハラ・スティナス・レモンデさん(女性) / 別処珠樹・訳

珠樹さん こんにちは。

フィリピンからご挨拶を送ります。 メールをいただいてありがとうございます。あなたのご質問は、とても大きな問題なので、 お答えするのが難しいですが、ともかくやってみましょう。

――短期の猶予期間で焼却を止めてしまって、どうやって大量のごみを処理することが可能なのでしょうか。

ごみは今、処分場に埋め立てています。ただ、首都のマニラでは大きな問題が生じています。ごみの分別は少しは実行されていると思いますし、堆肥化もすでに行われていますが、実のところ政治的な問題が出てきているのです。つまり、政府がこれまで永年にわたってごみ減量や分別の実行に失敗してきたということです。

――政治的な問題というのは、具体的にどういうことを指しているのですか。

わが国の政治家たちはいつも簡単な解決法を探し出そうとします。ごみがすぐに消えてなくなるようなテクノロジーをね。もちろん、そんなテクノロジーがあるはずはありません。だけど政治家たちは、そういう考えにとらわれています。

汚職にどっぷり浸かっている政治家も多くて、「リベート」 のある取引しかやろうとしません。日本の焼却炉メーカーの中には、「煙の出ないハイテク焼却炉」 と称するものを売り込もうとしています(でも、アメリカ製であろうと、日本・ヨーロッパ製であろうと、一番進んだ焼却炉でも重金属とダイオキシンが出ることに変わりはありません)。

数年前、日本政府が 「セブ都市区ごみ処理マスタープラン」 なるものにお金を出しました。日本のコンサルは 「焼却炉が必要です」 といいました。ある日本企業がただちに地方行政機関に焼却炉の話を持ち込みました。さいわいだれも相手にしませんでしたが。

――最初のハードルを越えるのに、色んな困難があるし、またあるだろうと思っている人がたくさんおられるのでしょうね?

そのとおりです。私たちは皆、この問題は解決が難しいと思っています。政府が何かをやる政治的な 意思をもってくれるといいのですが。政府にやる気がないことが一番の大きなハードルです。ごみ処理が政治的な問題だと私がいった理由はここにあります。

――人々の間に大きな混乱はないのでしょうか?

そんなに大きな混乱はないようです。焼却が禁止されたことはみんな知っています。ただ、毒性物質を出さない焼却炉は法律が許しています。それなら優秀な最新式の焼却炉ならいいじゃないかという人もいます。でも、これはばかげた話で、焼却炉というものは、すべてダイオキシン類や重金属類を排出するからです。そんなわけで、この話は進んでいません。

もう一つの問題は、「大気清浄法」 に基づく詳細な規定や規制を政府が公表する必要があるということです。この規定に基づいてごみ処理を進めることになります。地方によっては実施規定がなければ、ごみ処理が実行不可能なところもあります。現在の時点では、焼却禁止を実行していくのに、このことが影響を与えるかどうかはっきりしません。

――有害物を出さない焼却炉とはどんなものですか。

焼却に反対している私たちは、どんな焼却炉でも有害な排気ガスをだすと考えています。

――ごみの排出量をどうやって減らしていく予定なのでしょうか?

大きな問題です。発生量を減らす努力をしなければなりません。使い捨て容器で供給されるようなジャンクフードを避けなければなりませんね。ものは大切に使い続けること。飽きたからとか流行遅れだからという理由で捨てるようなことをしてはだめです。

買い物に行くたびに新しいビニール袋をもらうのをやめて、自分で袋を持っていくこと。ともかくものを大切に扱って長持ちさせること。こういうことがたいせつでしょう。

――ジャンクフードの店はフィリピンにたくさんあるのですか?

いっぱいあります。フィリピン人はファストフードが好きですね。 ――再使用やリサイクルの回路を短期間に作り上げることが可能でしょうか?

この質問は、私には答えられません。友人に尋ねてみます。

――ごみが大量に出てくる社会的背景、ごみのリサイクルについては、どのようにお考えでしょうか?

日本は福祉の充実した社会です。それが大量消費と大量廃棄を許している背景でしょう。もし消費を減らせば、仕事が減ります。たくさん消費してたくさん廃棄するほうが生産も増えるし仕事も増えるというわけです。

国によってはリサイクルが主要産業になっているところもあります。彼らがいうように、ごみに関連した仕事はたくさんあります。フィリピンでは多くの人がスカベンジャー(ごみ拾いの人たち)になっています。ごみをあさってリサイクルできるものを探し出すのです。安全な仕事ではありませんが、ほかに仕事がないからそうしているのです。

でもアメリカやヨーロッパで行われているリサイクルはきれいで安全な作業ですし、儲けにもなります。アメリカ環境保護庁のサイトに「リサイクルシティー」というのがあります。これは参考になると思います。 http://www.epa.gov/recyclecity/

――スモーキーマウンテンは、なくなったという話しですが、ほかにもスカベンジャー(ごみ拾いの人たち)が活躍しているごみ処分場はたくさんあるのでしょうか。

スモーキーマウンテンの状況については知りません。ただ、一般的に言うと、ごみの集積場やごみ処分場には、かならずスカベンジャーがいます。セブ市の衛生処分場にもいます。政府はなんの対策も取ろうとしません。

だけど、あの人たちの 「強さ」 を見たら、あなたもきっと腰を抜かすでしょうね。貧困の中に閉じこめられていて、病気も多いし汚いし、でもね、威厳を失わないんです。

――あなたの国は焼却が禁止できて、日本では出来ないのはなぜでしょう?

日本はずっと長いあいだ焼却炉を使ってきたでしょう。フィリピンはそうではありません。運転中の焼却炉といってもそんなにあるわけではありません。ここでは焼却炉自体が 「新しい」 技術なんです。

それで焼却炉がごく普通のものになってしまう前に禁止することは簡単ですよね。何か新しいものが入ってくる前に禁止してしまう方が、すでに操業しているものを禁止するよりずっと簡単でしょう?

――焼却禁止への対応はまず、再使用・堆肥化・ 分別・ごみ減量、それとこういうものすべてでしょうか。それとも何か他にあるのでしょうか。政府はOECDがいま議論している生産者責任を考えているのでしょうか?

もちろん魔法のような解決法があるわけはありません。ごみの分別がまず第一歩です。ただ、これが現在の政府にとっては(自治体行政にとっても同様です)難しいことであるのは事実です。

セブ市では教区のカトリック教会がこの問題に関心を示しています。NGOやボランティア組織もごみ問題の教育や先進的な取り組みに参加しています。焼却が禁止されたからといって、私たちに簡単な解決法がもたらされるわけではありません。でも、多くの人たちが焼却で汚染が起こることを恐れているんです。

技術者は未熟だし、焼却によって生ずる有害物の危険性を、政府のお役人達は重要視しないでおこうとしています。汚職も多く、焼却炉メーカーは賄賂を贈ろうとします。 もちろん今の状態では私たちが 「生産者責任」 へ向かって進んでいるとは思えません。

こんなところでしょうか。では お元気で
マリト   


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