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「ごみ処理広域化政策」の強行に反対する
共同声明

ごみ処理広域化に反対する市民会議 2000年8月31日


「ごみ処理広域化政策」の強行に反対する共同声明への賛同のお願い

 下記の共同声明に賛同署名をお願いしたいと思います。できるだけ多くの賛同署名を集めて、できれば9月の早い時期に厚生省と国会議員に届けたいと思います。賛同署名の連絡先は下記の通りです。賛同いただける方は、氏名と肩書等をご連絡ください。「賛同のお願い」のコピー配布や転送を歓迎します。

山本節子 watcherkam@par.odn.ne.jp 電話・ファックス 0467-31-4537
戸田 清 toda@net.nagasaki-u.ac.jp 電話・ファックス 095-842-0325

[共同声明の趣旨]

 厚生省が1997年以来、法的根拠なく「ダイオキシン対策」を口実に自治体に押しつけている「ごみ処理の広域化・大型化」は、環境問題対応として不十分であり、大量浪費社会を存続させ、自治体財政を圧迫するものであるから、これに反対する。


共同声明

 各都道府県の一般廃棄物担当部局が都道府県内を数ブロックに分割して、市町村を指導しながら「ごみ処理の広域化・大型化」をすすめていることがようやく広く知られるようになってきたが、これは厚生省環境整備課長通知「ごみ処理の広域化計画について」(1997年5月)にもとづいている。
 この通知は厚生省水道環境部長通知「ごみ処理に係るダイオキシン類の削減対策について」(1997年1月)と連動するものであるが、内容的には補助金などを駆使した「大型焼却炉」(可能な限り焼却能力300トン/日以上、最低でも100トン/日以上)への集約推進と、「RDF化(ごみ固形燃料化)施設」の建設推進が大きな特色となっている。
 たとえば九州山口地区でみても、ガス化溶融炉、固形燃料化施設、直接溶融炉などの新設計画が目白押しである(朝日新聞西部本社版2000年7月28日)。
 一説によると大型焼却炉の新設は全国で40兆円近い予算規模(年間国家予算の半分)が予想されるともいう。「新たな巨大公共事業」であり、納税者としても深い関心を抱かざるをえない。
 この「ごみ処理広域化政策」は手続き面と内容面において次のような多くの疑問点が指摘されているが厚生省主導で強引にすすめられており、ここで立ち止まって幅広い国民的討論を行うことを提案したい。

1.法律的根拠の欠如

 「ごみ処理広域化政策」は厚生省課長通達にもとづくものであって、法律的根拠がない。巨額の予算を投入して全国の一般廃棄物処理体制を大きく改変しようとするものであるから、本来なら十分な国会審議と国民的討論をふまえて意思決定されるべきである。しかるに、廃棄物処理法の大幅改正が1997年6月に行われたが、そのなかに広域化政策への言及はない。関連法規の大幅改正の国会審議中に、広域化推進が官僚機構の独断で決定されたと推測せざるをえないのである。厚生省から日本環境衛生工業会(焼却炉などの業界団体)への天下りが指摘されているが、「癒着・利権」の構造はないであろうか。

2.地方自治の侵害

 これまで廃棄物の処理は地方自治の根幹の一つとされ、地域住民がその地域の実情に応じて判断・運営するものであった。ところが、広域化・大型化の押しつけは、地方自治体独自の創意・工夫による廃棄物処理を押しつぶし始めている。これは、市町村の自主的決定に任されるべき自治事務への不当な干渉であり、「地方自治の本旨」(憲法92条)に反するものであると言わざるをえない。

3.発生源対策の欠如

 ダイオキシン類削減という目的は妥当であるが、その方法論が大型高温焼却炉にのみ過度に傾斜していることは大いに疑問である。最大の問題は発生源対策の欠如である。

4.「有機塩素化合物の総量規制」などの必要性

 発生源対策としてたとえば、塩化ビニルをはじめとする「有機塩素化合物の総量規制」がはかられるべきである。POPs(残留性有機汚染物質)規制条約の交渉、欧州の建材業界の脱塩素化、厚生省の調理用塩ビ手袋の自粛要請(2000年6月)、カード業界の脱塩ビ化方針(2000年8月)など国内外の動向からもそれが要請されている。「ダイオキシン生成への塩ビと食塩の寄与度に大差はない」という塩ビ業界の主張は、活性白土の添加など不適切な実験条件のデータによるものであることも指摘されている(植村振作・元大阪大学助教授)。水道管や電線被覆も塩ビ代替品が実用化されている。塩ビ削減により苛性ソーダの供給が不足するならば、苛性ソーダの製法を変更すればよい。

5.大型焼却炉の技術的完成度への疑問

 ガス化溶融炉や直接溶融炉は未完成な技術であり、ドイツのガス漏れ事故(1998年8月)をはじめ事故やトラブルが少なくない。日本の大型炉は欧米に比べて相当割高であるとの指摘もあり、自治体財政の圧迫という観点からも重大である。また、小型焼却炉でもダイオキシン対策は可能であるとの指摘もある。

6.ダイオキシン以外の有害物質対策の欠如

 ダイオキシンが生成しない高温でそれ以外の有害な有機塩素化合物が生成するとの報告もあり(西岡一・同志社大学教授)、ダイオキシン類のみに傾斜した有害物質対策の合理性には疑問がある。ダイオキシン類だけにこだわった燃焼条件の模索よりも廃棄物の減量と「脱焼却」の方向をめざすべきである。

7.大型炉による大量廃棄社会存続の懸念

 「ごみ処理広域化政策」は「人口10万人当たり1日処理量100トン以上」の方針であるから、「1人1日1キロ」のごみ焼却を想定していることになり、循環型社会の基本原則のひとつである「ごみ減量」に逆行する。すでに東京都の清掃工場ではごみ減量の進展と不況による「ごみ不足」から焼却炉の休止が相次いでいる。福岡県朝倉町では広域ブロック(1市8町)のガス化溶融炉新設計画にともない、せっかくうまく運転されている生ゴミ循環の堆肥工場の休止が検討されている。「ごみ処理広域化政策」は大型炉連続運転のための「ごみ不足」回避の必要から「大量廃棄社会」の存続を促しかねないものである。ごみ量確保のために産業廃棄物まで入れることにもなりかねない。大量焼却による炭酸ガスの排出は地球温暖化の要因にもなるだろう。また、ごみの広域大量搬送によるトラック公害の増大も懸念される。

8.ごみ固形燃料化(RDF化)施設の建設推進への疑問

 RDFは、未完成な技術、プラスチックごみ大量焼却による環境汚染の懸念、ごみの分別に逆行する、製造コストが高い、投入エネルギーが大きい、売却価格が安い(相場はトン10円という)のに売れ残り埋め立てられたり焼却される、ダイオキシン対策や重金属対策も容易でない、事故対策が不十分、既設の地域で悪臭・頭痛・吐き気の苦情がある、など多くの問題点が指摘されている。投入エネルギーが大きいことは「エネルギー浪費社会」の存続を促しかねないものでもある。

 以上の理由から、私たちは、政策手法と内容の公益性に多くの疑問がある「ごみ処理広域化政策」の強行的推進に反対し、政策の再考と幅広い国民的討論を求めるものである。 賛同の署名を募りたい。


共同声明の賛同呼びかけ人(50音順)

安東毅(九州大学名誉教授)、池田アヤ子(新日本婦人の会長崎県本部副会長)、石井健(久野の環境を守る会)、梶山正三(弁護士)、河内俊英(久留米大学医学部教員)、北山宏之(伊勢原の自然と環境を守る会代表)、坂本隆([弘前]ゴミ問題市民の会会長、病院長)、田口正己(立正大学教授)、津川敬(環境問題フリーライター)、戸田清(長崎大学環境科学部教員)、中谷純子(奈良市のごみを考える会)、西岡政子(横浜・ゴミを考える連絡会)、長谷川憲文(ゴミ問題・ゴミ発電を考える会)、原進一(ごみ処理広域化・大型化に反対する首都圏ネットワーク)、藤原寿和(止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク)、別処珠樹(奈良ごみの会)、村田徳治(循環資源研究所代表)、山崎昌子(日消連関西グループ)、山本節子(ジャーナリスト)、吉川三津子(海部農業と暮らしを守る会)

賛同署名
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