- 法燈1168年の甲山神呪寺
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聖山かぶとやまは西宮市のほゞ中央にあり、ヘルメットを思わせる円い美しい山で、西宮のシンボルとして愛されている。
一九〇年頃神功皇后が平和を祈願して金のかぶとを埋めたと伝え、また昔の兜に似ているので、この名がつけられた。
海抜三〇九米、階段の設備があり、子供からお年寄りまで楽に登ることができ、眼下に大阪平野、大阪湾、阪神間一帯を眺望できる。
麓には県立森林公園、北山貯水池、仁川ピクニックセンターなど自然を生かした施設がある。
かぶとやまの中腹に位置する神呪寺は海抜二百米。
天長八年(831)十月十八日、弘法大師を導師に迎え、本堂が落慶した。
同日、淳和天皇のお妃であられた真井御前は当地での満三年間の修行を経て弘法大師より剃髪をうけられ、如意尼といふ僧名を授かった。
数年後、当地に天皇が行幸され、如意尼と相見えられたと伝える。
その後、寺は栄枯盛隆をくりかえし、鎌倉時代初期の源頼朝の再興後も戦国時代に兵火に遭い、現在の本堂は江戸時代の建立。
寺領は淳和天皇より百五十町歩の御寄進をうけ、当初二百五十町歩でしたが、現境内は二十町歩で、四月の桜、五月の新緑は殊のほか鮮やかです。
神呪寺(かんのうじ)は甲山を神の山と信仰したところから、この寺を神の寺(かんのじ)と名づけた。神呪寺とは般若心経にある神呪(じんしゅ)で、真言という意味。 |
(法燈1168年の甲山神呪寺 冊子 より)
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