喫煙する権利と義務

みなさまは、医院の前に捨てられたたばこの吸い殻を毎朝掃除していませんか?職員の方が掃除しているかもしれませんね。私は、自分自身で医院の前のたばこの吸い殻を掃除しています。医院のまえの水路を灰皿と勘違いして吸い殻を捨てている人は多いので、最近それに対抗して下記のような張り紙をしています(図1)。私のその行為に対して、患者さんの多くは興味を示し、好意的です。

私はたばこの煙を嗅ぐと気分が悪くなります。20年前だったでしょうか?新幹線で禁煙車と思って乗ったところ、隣の人がたばこを吸い出しました。確認すると、車両には禁煙車とは記載されていませんでした。喫煙しないひとが気分良く乗るためには、「何も記載がなければ喫煙できないようにすればいいのでは?」、と車掌としつこく交渉しました。禁煙席という言葉をなくせばよいのです。喫煙席とすればいいのです。

先日、西宮医師会からオーストラリア旅行にいきました。そこでは上記の私の思いどおり、喫煙場所というところがあり、「それ以外ではたばこを吸えない」という国民の暗黙の了解があるようでした。

最近の時勢をうけ当方での研修を希望されるかたには、「喫煙者は不可」とネットでの募集要項に明記しています。外来では、喫煙者で特に若者には、受動喫煙も含め強く禁煙の説明をします。しかし、たばこがなければ生きていけないという(そう思いこんでいる)人にも同様に説明はしますが、たばこを吸うか吸わないかは最終的には成人であれば個人の判断であるべきと思います。長期的にみれば、たばこがないような社会を作らなければなりません。なぜなら、子供には両親からの間接喫煙を拒否する権利はないのですから。

 

喫煙する人の中には、喫煙権と言い張るひともあります。喫煙する人の人格を非難するような禁煙活動に私は賛成できませんが、喫煙者に最低限のエチケットは守ってほしいと思います。マナーのない喫煙をみると朝から気分が悪くなります。そのため、2年前から朝の散歩に下記のようなプラカードをかけて、路上ですっている人に対してJTが提供した簡易ポータブル灰皿を配っています(図2)。喫煙者にマナーをまもるためにこれを配りたいといってJTと交渉しましたが、なかなか了解されませんでした。このような交渉は、個人ではなく健康を守る医療団体(医師会か保険医協会)として行えばJTは対応せざるを得ないのではと思います。加えてJTの責任で、たばこひと箱買う人にかならず一つの灰皿をわたすようにすればどうでしょうか?タバコ代がひと箱100円増えてもいいのではないでしょうか?

くわえたばこしている人に「吸うな」と叫んでも効果は少ないように思います。それより、さりげなく灰皿を渡して、「捨てないでくださいね、道路をきれいにしてくださいね」と言ったほうが効果があるように思います。その運動のなかで、タバコポイ捨ての原因として、歩きながら捨てる人より、バイクや自転車から捨てる人のほうが多いのもわかりました。しかし、これらのひとを立ち止まらせて灰皿をわたすことはできません。このあたりは条例で縛ってもらうしかないでしょうね。

もし、たばこすうひとが所定の場所のみで喫煙するという条例ができ、加えたばこ、自転車のりたばこ、バイク乗りたばこがなく、道路にはいがらはおちていなかったら、とっても幸せな気分になると思いませんか?

路上でくわえタバコしている人に、注意してこちらが気分が悪くなることもしばしばありました。しかし、よく考えてみれば、たばこをすわない私ではなく、喫煙権を主張する喫煙者が他の喫煙者にマナーを守ってもらうように説明・説得するのが筋ではないかと思います。ということで、喫煙者にマナーを守ってもらうための図のようなTシャツを作成して、喫煙者に着てもらえないかということを考えています。(図3)。

 

サマリーしますと、行政には条例を作ってほしい(条例により、マナーを守る人が増えるでしょう)。JTには簡易ポータブル灰皿を我々に提供してほしい。そして喫煙者にはマナーをまもらない同じ喫煙者にマナーをまもってもらうようなキャンぺーンをしてほしいということです。

 

西宮の医師会の喫煙者のかたから、このTシャツ試着の有志をつのるというアイデアはどうでしょうか?

 

伊賀幹二

伊賀内科・循環器科  

2013-9-2