2004年1月17、18日と、岡山にて勉強会がありましたが、その途中に西宮に寄り、17日午前中、11時頃から12時半という短い時間でしたが、
伊賀先生の診療所を見学させていただきました。

先生の診療を実際に見学させていただけるとあって、前日より不安と期待で胸が一杯でした。診察室に入らせていただいたところ、診察のために背もたれをとってある、しかし話をするにふさわしくゆったりとした、患者さんのための椅子がありました。先生がある患者さん(胸痛の13歳)の問診を終えられ、「どう考えるか?」と質問されましたが、私はどこからアプローチしたらよいのかわからず、何も思い付かぬまま、「まず、年齢から」としか答えられませんでした。しかし、伊賀先生の診察室にある、患者さんのための椅子を考えれば明らかでした。以前より、伊賀先生は「病歴聴取の大切さ」を強く伝えておられました。
私はそのことを強く自覚し、普段の病院実習では、カルテの現病歴の部分を読めばその患者さんの状態や経過がすべてわかるくらいに詳しく話を聞くようにしておりました。ところが実際には何もできず、「病歴聴取の大切さ」に対する認識の甘さ、未定着さを痛感いたしました。
また、大切さを知っていただけで、実践していなかったのだということに気付かされ、自分のおごりに悲しくなりました。しかし、学生の頃にそのような発見をできて良かったのだと肯定的にとらえ、早いうちに自分のものにしていこうと思っております。
初めて先生と御会いしたのは、名古屋にある中部労災病院での循環器診察法実習でしたが、その際恥をかいたことは私にとって衝撃的な体験で、今でも鮮明に覚えております。プライドが高く保守的かつ内向的であった私が、先生から受けた影響というものは多大でした。大袈裟に思われるかもしれませんが、その時より自分のなかで何か殻を破った気がしてなりません。
同じく岡山の勉強会に参加した友達からはいつも刺激を受けておりますが、協力・切磋琢磨し、私達が味わった感動、診察の楽しさを少しずつでも周囲に伝えていきたいと、一緒に具体案を練っているところです。

周囲に伝えるということは、自分達にとって良いストレスでもあり、恥をかき振り返ることで、自分達の向上にもつながると考えております。そして、伊賀先生の診察室にあった「椅子」を思い浮かべながら日々の実習に参加していこうと意気込んでおります。

先生の診療を見学させていただいたことは非常に印象深い体験でした。お世話になり、ありがとうございました。これからも、御指導の程、よろしくお願いいたします。

 

(彼女が来た日の新患は、胸痛があり本人は心配していないが母親がパニックになっている13歳の男子。話をきき、エコーを説明しお母さんの顔が徐々に安心していくのが私がみていてもよいわかった という患者さんでした 伊賀幹二記)