イギリス留学

昭和6110月から12月までの3か月の短い間ではあったが英国のNational Heart Hospitalに自費にて見学する機会を頂いた.12月はクリスマスということで実質2か月の研修であったが、そこで多くのものを学んだ.そこでの印象を述べる.

英国の循環器医師にはエコー屋、カテ屋という人はいない.循環器病に関する限り彼らはalmightyである.先天性心臓病もよく理解している.また知ろうと努力している.心臓カテーテルを自身でしない循環器内科医はいない.彼らにとっては、病歴聴取と理学的所見は循環器を志すものは誰でもとれるのが当然であり、臨床ができるというのは至極当り前という発想を持っている.研究はあくまで臨床の疑問に基づいてなされている.重箱のすみをつつくことが多い日本の研究とはかなり様相を異にする.患者を観察したことで根拠があれば、例え現在の循環器学の常識からはずれたことでも彼らは喜んで討論をしてくれた.過去の循環器学の常識にしばられない自然科学へのapproachの考え方を学んだ.

日本では変わった発想をすれば根拠があっても、常識からはずれたものとして葬られることが多い.利根川博士が言っていた欧米と日本の研究室の違い、民族性の違いはどうしようもないと思った.

欧米では3年間ひとつの所で仕事をしていると有給でどこか好きなところに勉強に行ける制度がある.個人への投資が最終的にはその病院への投資であるという観点に立っている.残念ながら日本では自費で行かなくてはならない.私自身としてはアメリカ及びその他の英語圏の国へ1年位refreshしにいきたいと思っている.