遠い山・あこがれの峰


若い頃から二人の夢だった海外の山々。定年を迎え、やっと暇ができると、岩や雪の峰への厳しい登攀は体力が許さなくなっている。夢を夢で終わらせたくない、せめて憧れの峰々を眺めるだけでもいい、できれば少しでも高い所へ、夢の頂きに一歩でも近づこう。そんな思いを抱いて、歩き始めたトレッキングの記録です。


スイス三大名峰の旅
 1995年秋、二人一緒では初めての海外旅行です。タイトルからお気づきのように、旅行社のパック・ツァーに参加しました。ユング・フラウを見た後、添乗の人にお願いして自由行動させて貰い、2000m峰登頂を目論んでいたのですが、思いがけぬ降雪で諦めました。それでも、モンブラン展望台からの眺望、マッターホルンを眺めながらのハイキングなどは、真っ青な空の下で存分に楽しむことができました。


アンナプルナ・ダウラギリ展望トレッキング
 2度目の海外トレッキングは、97年春、ヒマラヤジャイアンツを見ようとネパールを訪ねました。今度はパーソナル・ツァーで言葉の点など不安だったのですが、親切な現地ガイド、スタッフのおかげで12日間を楽しく過ごすことができました。夜明けのプーンヒルからのダウラギリ、アンナプルナの息を呑むような神々しい眺望、真っ赤なシャクナゲに積もった純白の雪、素晴らしい光景の連続でした。 それにもまして、私たちをサポートしてくれた人々、山や街で出会った人々、動物たち、いろんな出会いが私達の旅をどんなに豊かにしてくれたことでしょう。

カナディアン・ロッキーの旅
 1998年7月、奈良の中高年パーティに1名欠員が出て、急遽、嘉一郎が参加することになりました。15日間のうち10日間はホームステイをしながら、カナディアン・ロッキーのハイキングと観光。他にも乗馬や、ラフティングなどさまざまな経験をしました。片言英語ながらなんとかホストに意志を伝え、花や動物の名前や地理などいろいろ教わりました。なかでも自然保護についての考え方や方法を学んだことが最大の収穫でした。

サガルマータ展望トレッキング
 1999年11月、長い間の夢だった世界最高峰を見ようと再びネパールを訪ねました。15日間に及ぶこの旅でも、現地スタッフの人たちには大変お世話になりました。きめ細かい配慮で行動をサポートしてくれたサーダーやシェルパ、コックの皆さんの協力がなければ、高年齢の私たちが5,545mの高所・カラパタールまで到達することは難しかったでしょう。8,848mの世界最高峰を彼らへの深い感謝を込めて、ネパールの言葉で「サガルマータ」と呼びたいと思います。

四姑娘山花のトレッキングと大姑娘山登頂
 中国四川省の高山帯に咲く「幻の青いケシ」を訪ねて、2001年7月、私たちはAL社のグループツァーに参加しました。標高4000m〜5000mの草原や砂礫に、青いケシやエーデルワイスを始め、色とりどりの美しい花が咲き乱れ、まさに地上の楽園に遊ぶ心地でした。私たちにとっての二度目の5000m峰の大姑娘山にも登頂でき、帰りにはパンダを抱っこするというおまけまでついた、本当に楽しい旅でした。

宿願のゴーキョ・ピーク
 「もう一度あの世界最高峰をみたい…今が私たちにとって最後のチャンスかも知れない。年々衰える体力とネパールの国情不安にさんざん悩んだ末、AL社のグループツァーで行くことにしました。
2003年11月。天候に恵まれ、TLや現地スタッフ、そして素晴らしいグループメイトの皆さんのおかげで無事、5360mの山頂に立つことが出来ました。サガルマータはじめ、神々の住まう峰々がずらりと並ぶ光景に、心から「やはり来て良かった」と思いました。

ゴーキョ・ピーク・トレッキング写真集
 (1)美しき山々(2)谷・氷河・湖、祈りの風景(3)ヒマラヤの人々、動物と植物 の3部構成で写真に簡単な説明を付けました。

キナバル山登頂
 東南アジアの最高峰で、周辺の地域とともに世界遺産に登録されている4095.2mの山。標高差が大きくわれわれ高年者には厳しい山でしたが、気のあった仲間同士の楽しい雰囲気の中で、奇岩や岩盤の特異な山岳風景、ウツボカズラなど珍しい動植物にも接することができ収穫の多い山行でした。

マナスル三山展望トレッキング
 2006年は、日本人が始めてヒマラヤ8000m峰のマナスルに登頂してからちょうど50年目にあたります。初登攀者の今西寿雄氏と縁の深い日本山岳会関西支部では、これを記念するトレッキングを企画しました。
 短い日数でしたが、マナスルとあわせてこれも日本人が初登の山、P29、ヒマルチュリを間近に仰ぐことができました。また、ネパール最大のお祭りダサインの様子やポカラ山岳博物館の見学など、充実した旅でした。

二度目のキナバル山  2007年1月、千日山歩渉会の仲間たち11名で再びキナバル山に登りました。夜になると雨という天候でしたが、登頂日は幸いに晴れて全員が登頂。山頂からの素晴らしい展望を満喫しました。下山後、コタキナバル近くの島で遊び、熱帯の山と海を存分に楽しむことができました。しかし、私自身にとっては正月明けから体調が悪く苦しい登山でした。

カムチャッカ・アバチャ山
2008年7月、日本山岳会関西支部の海外トレッキング山行に参加しました。夏だけチャーター便が飛ぶことになり、これまでの交通不便な土地が近くなりました。緯度が高いので、BC周辺でも美しい高山植物がいっぱいでした。しかし、頂上までの標高差1900mを一日で往復しなければならず、加齢もあって今回も苦しい登山になりましたが、それだけに忘れられない思い出ができました。