2008年の山旅 (9月~12月)



大台ケ原

【日 時】2008年9月9日(火) 
【コースタイム】大台ケ原駐車場9:45…日出ヶ原10:25~10:35…正木ヶ峰10:50…牛石ヶ原11:25…大蛇嵓11:45~11:45…昼食11:50~12:05…シオカラ谷吊橋…12:40~13:00…駐車場13:30

 8月はとうとう何処へも出かけられず、9月になってもすっきりしない天候続きだったが、ようやく高気圧が張り出して秋らしくなったので大台ケ原へ出かける。スカイラインに入ると、大普賢はじめ大峰の山々が青空にくっきりと浮かんでいた。ワサビ谷への降り口には扉が付けられ、「入山規制」と並んでまるで脅すような「クマ出没」の標識があった。山頂駐車場は夏場の賑わいが嘘のようで、せいぜい20台ほどが置いてあるだけの静かさだ。
 久しぶりの山の空気を味わいながら快調に日出ヶ岳に登り、展望台の上から360度の展望を楽しむ。大峰山脈は南端の玉置山まで見えたが、金剛葛城方面は靄にかすんでいた。紅葉し始めたドウダンツツジを眺めながら白骨林の正木ヶ峰へ登り、写真を撮る他はノンストップで正木ヶ原、牛石ヶ原と進む。空はあくまでも高く青く、爽やかな秋風が心地よく頬をなでる。足の方も快調で、次々に先行の人たちを追い越して、とうとう和子から「もっとのんびり山を楽しもう」とたしなめられる。それにしても、あの沢山いたシカたちはどこへ行ったのだろう。眼を皿にして両側の笹原を探しても、とうとう一頭にも出会えなかった。
 大蛇嵓の岩頭でおなじみの展望を楽しんだあと、少し引き返したいつもの岩峰の上で、大峰の奥駈道を眺めながら昼食にする。シオカラ谷に下り、コーヒータイムを楽しんで腰を上げる。谷から駐車場への登り返しは何時も嫌な道だが、今日は先行の人を追い抜く元気で難なく登りきった。殆ど汗もかかず快調に歩けて、初秋の大台を満喫できた楽しい山行だった。

葛 城 山

【日 時】2008年9月24日(水) 
【コースタイム】石筆橋10:30…ベンチ11:23~11:30…山頂12:10~ツツジ園周回・昼食~13:00…ベンチ13:3

急に思い立ったので、駐車場所に着いたのがすでに10時半。いつもより車の数が多く、少し上に置く。柿畑を抜け、日当たりのいい沢沿いの草原に出ると、おなじみのツリフネソウやキンミズヒキなど秋の花が咲いている。水場まで、いつもより長く感じたが、中間ベンチで一休みした後は快調に登る。右手に金剛山が見えるところは、かなり道が荒れ、大きなマツの木が横たわっていた。弘川寺からの細道と合流するところにフシグロセンノウの花が数輪咲き残っているのを見て、涸れ沢沿いに登る。何箇所か無残に苔がむしり取られている。キャンプ場にもロープからの道に出ても人影はなく、白樺食堂の売店は閉まっていた。
 私たちの他は三人の登山者がいるだけの静かな頂上だったが、薄雲があって展望はそれほどよくない。高原ロッジの方に歩くと、金剛山をバックにしたススキの穂が逆光に浮かび上がって美しい。ワレモコウ、アザミ、ヒヨドリバナなど高原に咲く秋の花に誘われて、ツツジ園を周回するコースに入る。水越峠からの道に出て登り返し、いつものベンチでお握りを食べて下山。青崩道は登りで一人、下りは4人に出会っただけで本当に静かだった。あれだけの車があったのに、殆どの人は金剛に向かったのだろう。本当にトレーニングには最適の素晴らしい道だと改めて思う。

富 士 山

【日 時】
2008年10月3日(金)
【コースタイム】 2日 五合目駐車場 16:20 宝永山荘 16:35
3日 宝永山荘 05:15…七合目06:12~06:20…八合目08:00~08:17…九合目09:00~09:10…富士宮頂上10:50…剣ヶ峰11:30~12:20…九合目13:25…宝永山荘15:10~15:30…五合目駐車場15:45


 濃い霧の中、スカイラインを登りきって五合目駐車場に着くと、すばらしい青空が開けてきた。草紅葉の山を見上げながらスタート。宝永山荘に荷を下ろし、夕暮れの宝永火口まで散歩に行く。小屋は二人で貸し切りになって、早めに布団に入ったが、なかなか寝付けなかった。
 3日、モーニングコーヒーを頂いて出発。しばらく登ると宝永山の右肩から陽が登り、雲海をオレンジ色に染める。数人の人と前後して真っ青な空の下を登る。八合目で朝食。不眠の影響か、いつになく和子の元気がない。九合五勺を過ぎ胸突き八丁に掛かると、私の足もなかなか進まなくなった。あとから来た何人かに追い越されたりしながら、ようやく浅間神社に着いて柏手を打つ。氷結した「このしろ池」の畔を通り、三日前に降った雪がまだらに残る道を剣ヶ峰へ向かう。頂上の推定気温5度前後、快晴無風の日本最高峰だった。北アルプスはじめ周囲の山々も、ずらりと並んで雲の上に顔を出している。柿の葉寿司の昼食を済ませ、今年はお鉢巡りはせずに頂上に別れを告げる。
 下山はこのしろ池の横から初めてブル道に入る。九合五勺の下で登山道に合流。八合までの下りでは、足が弱ったのに加えて去年の緑内障手術による視力低下で、足元がおぼつかない感じで時間がかかる。七合上からブル道に入ったが、この道は嫌になるほど長く、結局、旧六合あたりで正規の登山道に帰る。小屋では渡井夫妻が、私たちがあまり遅いので心配してくれていた。来年の再会を誓って、名残りを惜しみながら五合目に下った。
 
 今年の富士山は8月に雨が多く、9日には激しい雨の中、富士宮六合目と七合目の間で登山者に落雷があった。また、10月3日午後1時頃、スカイライン高鉢ゲートから200m東の山林で山菜採りの人がクマに襲われた。私たちが帰りに通った3時間ほど前のことである。森林限界の六合目付近でもシカは姿を見せるが、富士山にクマが出るのは本当に珍しいことだそうだ。今年はドングリの実が少なくて、行動範囲を広げているようだ。九合目の雪渓も年々小さくなっているし、地球温暖化の影響はじわじわと、しかし確実に日本のシンボルをも蝕んでいる。

天理・竜王山

【日 時】2008年10月16日(木) 【メンバー】岩本幸子、芳村嘉一郎、和子
【コースタイム】長岳寺 09:45…山頂南城跡 11:05~12:25…北城跡12:50~13:00…奥ノ院13:40…長岳寺14:40

 素晴らしい秋晴れになった。久しぶりにサッちゃんを誘って竜王山に行く。長岳寺に車を置いて根上がり松横から、柿畑の中をのんびり登る。気温が上がり、汗びっしょりになって登る。石仏を過ぎると平坦な道になり、最後に急坂を登って車道へ。田竜王社の前を歩いて階段を登り、しっかり汗をかいて山頂の南山城跡に着く。
 今日は山でゆっくりお昼を食べるのが第一の目的なので、金剛葛城から二上山、矢田丘陵を背にした大和平野の展望を存分に楽しみながら、なんと1時間半近くも山頂で過ごした。和子と幸ちゃんがおしゃべりしているのを聞きながら、うとうとしていると9人のパーティが登ってきたので、やっと腰を上げる。
 柳本竜王社を通って車道を下りて、北城へ行ってみる。こちらは、今日も人気がなく気味悪いほどの静かさだった。奥の院へ寄り道したり、古墳群でも穴を覗いたりして遊びながらくだる。ハイカーで賑わう「山の辺の道」を長岳寺に帰った。この山は今年も二度目だが、こんなにのんびり歩いたのは子供たちが幼かった頃以来のことで、楽しい一日だった。

袴 ヶ 岳

【袴 ヶ 岳】伊勢本街道を挟んで北の三郎ヶ岳、高城山と向かい合う。四等三角点816.7mの低山ながら、高城山から見ると美しい円錐形で登行欲をそそられる。 
【登 山 日】2008年10月28日(火)
【コースタイム】駐車地点10:00…林道終点10:30…頂上11:15~11:40…780P11:55…コル12:05…伊勢本街道12:30…駐車地点12:40


 急に気温の下がった曇り空の朝である。石割峠西側では伊勢街道最奥になる諸木野の集落を抜け、峠に向かってしばらく走った浄水場を過ぎた地点に駐車する。両側を尾根に挟まれた谷間の狭い場所で、右に林道が延びているので行けるところまで行くことにする。あとでGPSの軌跡を見ると、袴ヶ岳から北に延びる尾根の手前(西側)から入ったので、予定(尾根東側の林道)より下から登ったことになる。30分ほど登ると、南の内牧から登ってきた林道と出会う。ここでGPSが電波を拾って現在地の見当もついたが、「ともかく稜線まで」と登るうちにイノシシのほじくり返したジメジメした道になり、峠らしいところに登り着いた。
 テープの捲いてある木を見つけて左に延びる尾根に取り付く。笹原から雑木林の急な登りになり、イワカガミの群落の中を行く尾根道となる。780mピークからはしっかりした山道になり、赤テープもやや頻繁に出てくる。少し下って登り返し、露岩を越えると、それほど広くない頂上だった。展望は松と灌木に遮られる真北を除いてほぼ360度で、十分満足できた。紅葉の始まった三郎ヶ岳、松の木を挟んで左に高城山、額井岳、貝ヶ平山、その左(西)には二上山から金剛、葛城、龍門、音羽三山が浮かぶ。東から南には国見、住塚、古光山、学能堂、三峰山、更に遠く伊勢の山が霞んでいる。展望を楽しみながらゆっくり昼食を終える。
 下りは780mピークから左の石割峠に続く尾根に折れる。背を越えるクマザサを掻き分けて行くと、やや広い道が通る切り通し状の峠に出た。木に赤テープの目印がある。北へ広い道を降りる。背を越えるクマザサを掻き分けて行くと、木に赤テープの目印があり切り通し状の峠に出た。左に折れ広い道を下りる。スギ植林の伐採中で、切り倒された大きな木を何本も乗り越えたり、潜ったり、まるで障害物競争のようにして進む。倒木が疎らになると、はっきりした道にでた。水の流れに沿って下り、しばらくで伊勢本街道に出た。10分ほど下ると置いてあった車が見えた。 
 怪我の功名で予定外の周回コースになったが、時間に余裕のある低山だからできたこと。ともあれ前から気になっていた山を歩けて良かった。

芳 山 (ほやま)

【日 時】2008年11月5日(水) 
【コースタイム】高畑(横山P)09:55…夕日観音10:55~11:05…朝日観音11:15…首切地蔵11:25~11:30…地獄谷石窟仏11:50…石切峠12:20…八王子神社12:27…芳山(四等△517.9m)13:00~13:07…芳山石仏13:12~13:35…八王子神社14:00…首切地蔵14:35~14:40…高畑15:4
5

 今朝の駐車場にはすでに何台もの車が入っていて、奈良の秋のシーズンもいよいよたけなわを思わせる。滝坂の石畳道を歩くうちに、じっとりと汗ばんでくる。夕日観音はすぐ足もとまで登っていい写真が撮れた。首切地蔵前の休憩舎で少し休んでコーヒーを飲む。池の横を通って東へ、高円山ドライブウェイを渡る。地獄谷石窟仏まで何人ものハイカーに出会ったが、この先はまったく人に出会わなくなった。静かな植林帯を少し登って、しばらく右手の川沿いに曲折した道を行く。次に心配になるほど下って、今度は緑に苔むした断崖沿いを捲くように登る。ここには真新しい鎖が取り付けてあった。急坂の登りが二度ほどあって、やっと車道に飛び出す。石切峠の道標があり、「石窟仏まで0.5km」とあったが、かなり長く感じた。時間的には30分しかかかっていないので、そんなものかも知れない。
 峠茶屋を過ぎて上誓多林に入り、八王子神社横から左の細い道に入る。竹藪を抜けて山合の小さい茶畑が終わるところにシシ除けの金網があり、「芳山」と小さな標識のついた重い扉を開けて入る。左手に沢、右手はきれいに枝打ちされた見事な杉植林になり、やがてササ原の急な登りに変わる。時々現れる赤テープに励まされていくと、字の消えかけた小さな標識があり、右に芳山石仏を示している。直進してT字路にでる。左に折れると雑木林の登りになり、すぐにしっかりした道が通る稜線に出た。テープ標識が右は鶯滝へ行くことを示している。左へ緩く登って行くと、下りになる手前の木の幹にテープ標識があり、右に踏み跡が伸びている。笹原の中、少し開けたところに四等三角点が埋まり、横に大きな石が横たわっていた。どこの山にもある目障りな山名板もテープも見当たらず、本当に自然そのままなのが嬉しい18年目の山頂だった。
 T字路に帰り、まっすぐ行くと静かな林の中に広場があり、石垣に囲まれて美しい二体の石仏が背中合わせに立っていた。こんな山の中にいつ誰が彫ったのかと思う素朴なお顔だ。前で弁当を使わせて貰い、元の道を帰る。
 八王子神社に参拝し、峠の茶屋の前を通って車道を下る。高円山ドライブウェイに出て右へ、春日山石窟仏(穴仏)へも寄ってから首切地蔵へ帰る。小憩後、春日山遊歩道を下る。一日ゆっくり遊んだ春日山に別れを告げて、かわいい子鹿にカメラを向けたりしながら駐車場に帰った。

高 円 山 

【日 時】2008年11月11日(月) 
【コースタイム】高畑丸山駐車場09:45…滝坂道登山口10:10…山腹道に出る10:45…大文字火床11:00~11:10…高円山三角点(二等、点名・白豪寺)11:25…高円ホテル11:40~11:45…昼食11:50~12:10…火床(コーヒータイム)12:25~12:40…分岐12:50…滝坂道登山口13:05…<白豪寺分岐13:15…白豪13:30 …新薬師寺13:55~14:25…駐車場14:40>


 滝坂道に入ってすぐの手作りの道標から高円山に登る。疎らに木が立つ広場に入ると、落ち葉に覆われた道はすぐに判りにくくなる。自然林の中に途切れがちに続いていた踏み跡が消えたので、かなり急斜面の広葉樹林帯を遮二無二登る。30分ほどで山腹のはっきりした道に出会い地図を見ていると、降りてきた人が「どこへ登るのですか」と声を掛けてきた。週に二、三回はここを整備されている池田さんで、滝坂からの道も道標もこの方たちの仲間で付けられたそうだ。別れ際に「いい山ですからまた登りに来てください」と言われた。
 すぐ先で正しい分岐点に出た。どうも登山口を入ってすぐの林で右(東側)に寄りすぎたらしい。山肌の紅葉が美しい春日山を見ながら登って行くと、右から白豪寺から登ってくる道が合わさった。2002年6月に千日山歩渉会の仲間たちと登って来た見覚えのある道である。短い急坂を登り切ると大文字の火床が連なる草原にでた。高曇りながら、生駒山はおろか、遠く六甲、北摂の山まで見通せる。金剛、葛城は雲の上に頭を出し、近くは若草山の下に南都の市街地が箱庭のように広がる胸のすくような大展望である。
 再び短い登りで灌木帯に入り、右の山腹を捲くように歩くと三角点への標識が右手の高みを示している。林に囲まれて点名・白豪寺432mの二等三角点と、何枚かの山名板があるが、展望は全くない。山腹道に帰り、しばらく歩いて正面に高円山ホテルの立つドライブウェイに飛び出す。大伴家持の万葉碑と並んで、大きな展望台と戸を閉めた売店がある。高円山最高点461mはホテル敷地内にあるようなので引き返した。大文字火床に下り、もう一度ゆっくり景色を眺めながらコーヒータイムを楽しんだ。
 元の道を分岐に下る。登りで失った道を確認しようと「奈良県」の石標が点々と続く支尾根に入る。ところどころコシアブラ、ヨツデ、シナギリ、ソヨゴなど道標と同じ字で名前を記した札が下げた樹木に出会う。道はやや不明瞭な個所もあるが特に難しいところもなく、林を抜けて登山口近くの広場に出た。迷った地点で振り返ると、落葉のない季節なら何ということはないところだ。
 一か月足らずの間に三度目になる春日山周辺の低山巡りは、その間に紅葉も進み美しい眺めだった。終日、雲は高いもののほとんど青空が見えない天候ではあったが、いつも眺めているのと逆に、東の山から矢田丘陵を見るのも一興だった。

額井岳から戒場山へ 

【日 時】2008年11月13日(木) 
【コースタイム】十八神社09:30…都祁への分岐10:05…額井岳10:20~10:25…電波反射板11:05…赤人墓への分岐11:30…戒場山11:50~12:30…稜線を離れる13:25~13:00…戒長寺13:15~13:30…山辺赤人墓13:55~14:05…十八神社
14:15

 快晴の空の下を大和富士・額井岳へ向う。十八神社横に駐車させて貰い、鳥居下から神社に手を合わせて山道に入る。林道に出て20m 程行き、別の林道脇から道標に従ってゴロゴロの歩き難い道を登る。ジグザグの登りは香酔峠への分岐で大きく右に折れ、頭上の青空目指して急登して額井岳山頂に着く。南側に張り出した展望台からの展望は正面に大台、大峯の山々、その左に三郎ヶ岳。右の竜門岳から音羽三山の方は惜しくも木の間越しの眺めである。伊那佐山はすぐ目の前で、烏塒屋山の姿が美しい。眼下に榛原の市街地、西に色とりどりの錦の衣を纏い、どっしりした山容の貝ヶ平山。香酔山はこじんまりと可愛い感じである。
 戒場山への稜線歩きは、滑り落ちそうな急坂の下りで始まる。ところどころ虎ロープが張ってあるので、それほど危険な感じはしない。いったん下りきって登り返し、しばらくはなだらかな道になる。青みがかった岩が並ぶ間を通り、林が途切れると電波反射板が立つ見晴らしのきくところに来た。正面に紅葉や黄葉の美しい戒場山が高く見える。右へ山辺赤人墓への道を分けて林の中の登りになる。傾斜が弱まると間もなく三等三角点の埋まる戒場山山頂に着いた。薄暗い林の中で、展望はまったく効かない。
 稜線を離れる場所からの下りは、じめじめした谷間に苔むした石が転がっていて歩き難い。それでも距離は短くすぐに戒長寺に下りつく。鐘楼脇に「落葉の時期にはイチョウの葉をむやみに踏まないよう」という意味の注意書きがあった。しかし境内の落葉はまばらで、7年前の黄色の絨毯を敷き詰めたような光景は夢のよう。大黒さんが「ここ二、三年は気候のせいかお葉付銀杏を見つけるのが難しくなりました。今年はギンナンもこれだけ…」と笊に入ったわずか二、三個の実を見せてくださった。ここにも地球温暖化の影響が及んでいるのだろうか。長い石段を下って東海自然歩道にでて、正面に紅葉の額井岳、左手に広がる曽爾の山々や三郎ヶ岳などを眺めながら歩く。山辺赤人墓を過ぎると駐車場所の十八神社までは近かった。
 この時期、近場で紅葉が見られる山は駐車にも苦労するところが多いが、この山を選んだのは正解で、とうとう一日中、一人のハイカーにも出会わなかった。天候も展望も申し分のない山歩きだった。

信貴山~高安山


【日 時】2008年 11月18日(火) 【コースタイム】門前P10:20…信貴山頂(空鉢堂)11:05~11:10…弁財天滝分岐11:15…高安山(二等三角点名・峰山)11:45~12:05(昼食)…高安城倉庫跡12:20~12:25…分岐12:43…弁財天の滝12:50~12:55…門前P13:10

 門前の駐車場へ入る頃から曇ってくる。最高の紅葉の背景に青空が見えないのが残念だ。本堂にお参りして、赤い鳥居が立ち並ぶ石段道を空鉢堂へ登る。昨日までの暖かさと打って変わり気温が低いので、汗かきの二人には歩きやすい。山頂の空鉢堂周辺に三角点はなく、山名板はすぐ下の信貴山城跡につけられている。奥の院への標識に従ってしばらく下り、山腹の道に入る。高安城倉庫跡への標識を過ぎ、間もなく信貴生駒スカイラインを横断する。さらに登ると十三峠からの東海自然道に出会い、すぐ先で右の崩れた斜面を登る。サザンカの木が二本立つ笹原の先に落ち葉に埋もれた小広場があり、二等三角点(点名・峰山487.4m)が埋まっていた。周りを囲む木々の梢を風が鳴らしている。無展望だが、腰を下ろすと林が風の冷たさから守ってくれる。今シーズン初めて、ヤッケを被って昼食をとった。
 帰りに城倉庫跡に行ってみる。前に来た時は林の中に礎石だけが残る薄暗い広場だったが、三号倉庫跡からは北東側が切り開かれて矢田丘陵や平群の町が望まれる明るい感じに変貌している。分岐からは弁財天の滝への道標に従い下る。滝周辺は、かなり寂れた感じがする。平群町の水利施設がいくつか続き、断食道場の建物が見えてくると、やがて車道に下り着いた。山門に帰り、真っ赤な欄干の開運橋のたもとで焼き餅を買う。まだ時間が早いので、引き返して千手院と成福院にお参りする。さらに仁王門から千体地蔵仏と巡拝し、心行くまで紅葉を探勝して車に帰った。

大岩ヶ岳

【日 時】2008年12月4日(木)晴れ
【メンバー】浦上芳啓、浦上八重子、芳村嘉一郎、和子
【コースタイム】道場駅8:45…千刈水源池ダム9:25…大岩ヶ岳分岐10:05~15…大岩ヶ岳11:05~11:15…東大岩ヶ岳11:30(第二ピーク往復、昼食)~12:40…丸山分岐13:20…東山橋14:45…道場駅15:00


 道場の無人駅を出て武庫川沿いの広い車道を歩き、浄水場の建物横から波豆川沿いの道に入る。ダムに突き当たって橋を渡り、川縁を少し引き返してコンクリートの坂を登る。落ち葉に埋もれた山道になると細い清流に出会った。流れを渡るとジグザグの急坂を上るが、僅かの間で山腹の緩やかな尾根道になる明るく開けたところで一回目の休憩。エメラルドグリーンの水面に映る黄色や茶色に染まった山肌が美しい。低い松林の中の分岐で右に折れる。ジグザグの急坂を上って小さいピークを越し、登り返した次のピークで初めて大岩ヶ岳の山頂を見た。あとは間に小さなコルがあるものの、四角い大きな説明板がはっきり視認できる近さである。大岩ヶ岳の左に見えるやや低い峰が東大岩ヶ岳で、そちらへ登る人は少ないというU君の話である。コルから最後の急坂と短い岩場を登ると、三角点が埋まる広い山頂だった。北にはダム湖の向こうに羽束山の双耳が近く、その右に大船山の三角錐、左には三田市街の上に有馬富士、南東には六甲の山並みが浮かんでいる。
  昼食は東峰で…と急坂を下る。丸山への道標を見送ると、最後は大きな岩の下を捲くように登って、東大岩ヶ岳に立った。大きな岩が張り出した上にいるので、ここも展望がすこぶる良い。さらに先に馬ノ背と呼ばれる岩尾根が見えるので、その上のピークまで往復する。滑りやすい岩場を10分足らずで往復して昼食。今日は車を使わないので、久しぶりに山でビールが飲める。ポカポカした小春日和で、乾いた喉に染みわたるうまさだった。
 下山はまず急坂を北東へ下る。林を抜けるとマツの点在する砂地の尾根道になり、先ほどまでいた東大岩を頭上に仰ぐようになる。途中の支尾根から細い踏み跡を沢に下る。しっかりした道の通る沢筋に降り立った。
兵庫県の自然観察路のようで、切株には番号や標識が打たれるなどよく整備されている。緩やかに登ると元の道にでて、すぐに道標のある分岐に帰った。薄暗い林の中の下りになるが、落ち葉で踏み跡が埋まったり、倒木があったりでやや道が不明瞭なところがある。やがてはっきりした尾根道になり、展望が開けて白い砂地に緑のマツが点在する湖南アルプスを思わせる地形になる。大きな盆栽のようで二人の好きな景色だ。
 
なだらかな尾根道は二つの送電線鉄塔を過ぎると林に入り、大きく折り返しながら急に下る。すぐ眼の下に貯水場の建物が近づき、大きなホウの葉を踏みながらいくと、犬の鳴き声が聞こえ、民家の傍を通り浄水場の建物横に出た。のんびりと駄弁りながら歩き、予定通りの時間に駅に着いた。高度は低いが適当なアップダウンもあり、変化に富んだ豊かな自然を満喫できた山歩きだった。

二 上 山

【日 時】2008年12月13日(土) 
【コースタイム】ふたかみパーク当麻10:00…傘堂10:15…祐泉寺10:30…馬ノ背10:55~11:00…雌岳11:05~11:30…岩屋峠11:45…祐泉寺12:00…傘堂12:15…石光寺12:40~13:00


 石光寺の寒牡丹鑑賞の前にトレーニングを兼ねて二上山に登る。道の駅で車を降り、ザックを背にして東へ歩く。 傘堂から舗装路を登るうちに早くも汗ばんでくる。不動の滝を過ぎると沢側の竹林に沿う道に鉄条網が張られ、「イノシシ罠あり 危険立入禁止」の札がいくつも付けられ、地面を掘り返した後があちこちに見られた。祐泉寺から馬ノ背道を登る。歩きだしてから一時間、初めて馬ノ背のベンチで腰を下ろす。
 今日は土曜日なので入山料が要るかも知れない雄岳は敬遠して、雌岳へ直行。山頂はいつも通り大勢の人で賑わっていた。天気が良すぎて展望は今一つだが葛城山に向かい合ってコーヒータイムを楽しんだあと、岩屋峠に下りる。予想通りサザンカが満開で、香にむせるような道だった。峠から下る道にも新しいベンチなどが設けられ、シシオドシもあった。水場から祐泉寺まではあっという間だった。公園に下って振り返ると、カモが群れ泳ぐ池の水面に二上山の山肌が美しく映し出されていた。