2014年の山旅 (7月〜12月)


二 上 山

【登山日】2014年7月2日   【メンバー】丸屋博義、丸屋三輪子、芳村嘉一郎、芳村和子
【コースタイム】道の駅 08:15…葛木二上神社08:30…雄岳 09:40〜10:00…雌岳 10:20〜10:40…岩屋10:55〜11:05…裕泉寺11:30…道の駅12:20


今日は夏至から数えて11日目。暦の上では「半夏生」で、農家ではこの日までに田植えを終える習わしがあった。道の駅「ふたかみパーク當麻」から久しぶりにメインルートを歩く。葛木二上神社に参拝、イノシシ除けの金網を開けて山道に入る。気温も湿度も高く、木の階段道をゆっくり登っても体中から汗が噴き出してくる。二上山駅からのコースと合流する地点で小休止して水分補給。ここからは手摺もある急な道や、なだらかな道と変化もあって、快調に雄岳に着く。大津皇子墓所、頂上の葛木二上神社に参拝。馬ノ背へ下って雌岳へ登る辺りはアジサイが満開だった。写真を撮りながらカンカン照りの雌岳頂上へ。さすがにこの暑さで人影も少なく、長居は無用としばらく休んで岩屋峠に下る。 
 春のサザンカの赤い花に変わって、足元の緑の夏草にホタルブクロやオカトラノオの白い色が目立つ。奈良時代の築造で中将姫が当麻寺の当麻蔓陀羅を織ったという伝説が残る岩屋を見に行く。思いがけず「ハンゲショウ」の見事な群落を見ることができた。ドクダミ科の薬用植物だが、葉の片面が白いので古来「カタシログサ」とも呼ばれた。この時期に咲くので「半夏生」の名が付いたとも、「半化粧」の意味だとも言われている。花は目立たない小さなもので葉が花弁の役割をしている。美しい光景に満足して、岩屋峠から祐泉寺に下った。今年3度目の二上山だが、偶然にも半夏生の日に巡りあわせて、記憶に残る日になることだろう。


金 剛 山

【登山日】2014年7月23日   【メンバー】芳村嘉一郎、芳村和子
【コースタイム】
水分橋 06:40…太尾塞 08:30〜08:40…大日岳 09:15…葛木神社 09:40〜09:50…国見城址 10:00〜10:10…セト 10:40〜10:50…水分橋12:10

水分橋の道脇に駐車して出発。曇り空で湿度が高く、林道から太尾に入り10分も歩くとサウナのようで全身から汗が噴き出してくる。急な木の階段道はこのところの運動不足で足が重く、腰もだるくなってゆっくり登る。尾根の右山腹を捲くようになると、石ブテ東谷から吹き上げて来る涼しい風でやっと人心地がつく。735m地点で水越峠からの道に出会い、心地よい風を受けて登る。しかし勾配はさらに強まり、ロープの張ってある急坂を登り切って太尾塞跡に出るのに、かなり消耗して時間がかかった。ここからは「涼しいなあ」「気持ちいいなあ」と山歩きの楽しみを満喫しながら「六道の辻」を過ぎて、快調に大日岳を越える葛木岳を捲くようにしてガレ場を通過して、仁王杉から葛木神社に参拝。
 涼しい境内でしばらく休み、転法輪寺にお参りして牛王さんにも挨拶して国見城址へ。10分ほど休んだだけで北尾根に入る。 昔、抉れていた道は年々補修されてはいるが、目が悪くなってから下りの方が神経を使う。尾根上部は曇り空で風もあり涼しかったが、高度が下がるにつれて暑さが戻ってきた。水分橋に帰ったのは予定の正午を少し過ぎたが、夏山に向けていいトレーニングができた。

金 剛 山

【登山日】2014年7月30日   【メンバー】芳村嘉一郎、芳村和子
【コースタイム】水越峠下P06:15…水越峠06:25…カドコバ07:05〜07:10…旧パノラマ台07:30〜7:40…一の鳥居08:47…葛木神社09:00〜09:05…国見城址09:10〜09:15…大日岳09:28…太尾塞跡09:55〜10:00…青崩道分岐10:30〜10:40…水越峠P 11:05


先週に続いての夏山トレーニング。今日は水越峠下の駐車場に入れる。水越峠まで緩く登って、カンドガコバ林道に入る。ここから山頂まで5km。青空を背に太尾の尾根がくっきりと浮かび上がり、見ているだけで暑そうだ。今日はこちらから登ることにしてよかった。日陰だが湿気がもの凄く、最初の越口までの急坂で瞬く間に全身汗まみれになる。しかしヤマユリやヤマホタルブクロの花に慰められて楽しく登る。金剛の水を頂いて顔を洗って一息つく。カヤンボで太尾塞への道と分かれて、ダイトレに入る。旧のパノラマ台で一休みして、カンカン照りの下界を見下ろしながら水分補給。ダイトレ道はさすがに良く整備されていて、急坂の個所も少なく楽しく登る。ただアブが付きまとってきて、ウチワで追い払いながら歩く。山頂まで1km地点は昔は葛城が美しく望めた処だが、今は樹が生い茂って無展望になった。いったん傾斜の緩んだ道が再び急な階段道になり、間もなく水平道に出て郵便道と合流して一の鳥居へ。葛木神社の石段を登り参詣する頃に、一番のロープウェイの動く音が聞こえてきた。国見城址はカンカン照りで、ヤブカンゾウの花が満開だった。すぐに腰を上げて大日岳へ登る。
 ここも強い陽射しで、植林の下りに入って一息ついた。この辺りからポツポツ登ってくる人に出会う。急坂の木の根道は下るだけでも、せっかく引いた汗が噴き出してくる。太尾塞跡でベンチに腰を下ろしたが、あまりの暑さとアブの攻撃にすぐに出発した。青崩との分岐に来てベンチに腰を下ろす。一息ついて、いつも登ってくる左からの道と分かれて右へ下る。なだらかな山腹の道、急な階段道など変化のある道で、やがて水越川の水音と車の音が聞こえ、旧国道に飛び出した。


白  山

【登山日】2014年8月2日〜3日   【メンバー】丸屋博義、丸屋三輪子、芳村嘉一郎、芳村和子
【コースタイム】2日。別当出合09:45…中飯場10:35〜10:45…別当覗11:40〜11:50…甚之助避難小屋13:20〜13:30…南竜分岐14:00〜14:10…黒ボコ岩15:40〜15:50…室堂16:35 3日。室堂04:00…御前峰 04:55〜05:45…千蛇ヶ池06:40…室堂07:20〜08:35…黒ボコ岩09:05…別当出合13:45


8月2日  三度目の白山。前回は平瀬道だったので、別当出合から登るのは24年ぶりになる。市ノ瀬まで来ると別当出合へはマイカーでは入れず、シャトルバスに乗るとのこと。丸さん車を駐車場に置き、別当出合へは20分ほどで着いた。観光新道を左に見送るとすぐ吊橋の前である。何年か前の台風で古い吊り橋が流され、今の場所に新しくできたそうだ。樹林帯を抜けると右手が開け、いくつもの砂防堤防の上に不動滝を見上げるようになる。中飯場には立派なトイレが出来ていた。ウグイスの声を聴きながらオオシラビソの林の中をジグザグに登る。木道や石の階段が続き、途中の二ヶ所ほど平坦な処では小さい池がありクロサンショウウオが群れていた。甚之助避難小屋の前からは、別山とその下に南竜ヶ馬場の草原、そこから急に落ち込む荒々しい甚ノ助谷が望めた。ツァーの大部隊や5人の親子連れと抜きつ抜かれつ登る。南竜道への分岐付近は美しいお花畑が広がる。左手下に別当谷の上部を見下ろす山腹を捲く道になると、谷から涼しい風が吹き上げてきて一息つく。身体もやっと山に馴染んで調子が出てきた。十二曲がりの急坂になり、はるか上にクロボコ岩が見える。途中の延命水で乾いた喉を潤す。本当に美味しい水だった。一頑張りで弥陀ヶ原の玄関にふさわしい安山岩塊・クロボコ岩に着き、岩の上に登る。雲の帽子を被った御前峰を背にした弥陀ヶ原の全景が見渡せた。
弥陀ヶ原の入り口には「ここより白山奥宮境内」の標識があった。石畳の道の両側にロープが張られ、コイワカガミやチングルマの花が揺れている。緑のハエマツ帯に入ると五葉坂の急坂である。今日、最後の試練を乗り切って大勢の登山者で賑わう標高2,450mの室堂平に着いた。宿泊手続きをすませて、少し休んで散策路を歩く。クロユリやハクサンコザクラ、アオノツガザクラ、ミヤマキンポウゲが咲き乱れていた。夕食後、展望台から沈む夕陽を眺め、しばらく隣りの布団の白山市から来たOさんと山の話をして、消灯時間が来る前に眠ってしまった。
3日(土)廊下を行き来する人の気配で時計を見るとまだ3時半。雨具を着て水とカメラ、貴重品だけも持って外に出る。真っ暗で星も見えない。ヘッドライトの灯りが点々と山頂に向かって動いている。4時、出発。下駄を履いた神官とお付きの人、巫女らしい女性の3人が、声をかけて行列の横をすり抜けて登っていく。高天原を過ぎると次第に明るくなり、ジグザグの道を登る先行の人影も見えるようになる。頂上の一角に着いた時は濃い霧の中で風もあり、寒さで手がかじかむほどだった。大勢の人に交じって待つうちに霧が流れ、美しい橙色に染まった雲の間から真紅の真円が姿を現した。期せずして感動のどよめきが起こり、万歳三唱の声が暁を震わせた。白山比盗_社奥宮社で神妙に頭を下げて祝詞を聞き三角点に行く。記念写真を撮る長い行列に並んで、後ろの人にシャッターを押してもらった。またガスが出てきて、殆どの人は登拝道を下って行った。
 頂上滞在1時間で御池巡りに出発する。紺屋が池を見下ろす絶好の展望地から岩クズの道を下る。火口の底に降り立って少し登ると剣岳が正面に、その左に白馬岳から続く後立山連峰の姿がくっきりと現れた。青々とした湖面と残雪の翠ヶ池、満々と水をたたえた血の池から千蛇ヶ池に来る。湖面全体が真っ白な雪に覆われていた。少し遠回りになるお花畑コースに入り様々な花を見た後、見渡す限りのクロユリの大群落を見収めて室堂に帰る。山頂から約1時間半、楽しいハイキングだった。遅い朝食を取って室堂を後にする。
 五葉坂を下り、弥陀ヶ原をクロボコ岩にきたが、ここで当初予定外の観光新道に入ってしまった。しかし怪我の功名で、蛇塚から馬のタテガミにかけてのなだらかな稜線は、まさに天国のような花園だった。真砂坂の急下りを終えて殿ヶ池避難小屋の前を通る。ここから岩の多い尾根道のアップダウンが続き、次第に高度を下げて行く。仙人窟という巨大な岩の大きく開いた穴を通り抜ける。まだ中間点の3キロだ。砂防新道に比べて登ってくる人は極端に少なく、たまに出会うとよくこの急坂をと感心する。石を敷き詰めたような階段道を下ると別当坂出合。別当坂の下りは予想外にきつかった。まず急な丸太道、続いて涸れ沢の中のゴロゴロした岩の道。下るにつれてまた暑さがぶり返し、水分補給に追われる。あと1km地点からは林の中のトラバースになり、やがて車の音が次第に近づき別当出合の吊橋横に着いた。恐らく二度と通らない「天国と地獄」の観光新道、少し疲れはしたが生涯の想い出になることだろう。


二 上 山

【登山日】2014年9月9日 【メンバー】芳村嘉一郎、芳村和子
【コースタイム】道の駅 07:40…裕泉寺08:07〜08:10…大岩08:27…道の駅への分岐08:45…雄岳09:25〜09:30…雌岳09:50〜10:00…岩屋峠10:15〜10:30…道の駅11:17


今日も朝から快晴。まだ夏の名残のような強い陽射しに、當麻山口神社に上るうちに汗が噴き出してくる。祐泉寺へ登る日陰の道はやや凌ぎやすくなり、大岩へ向かう途中からは涼しい山風が吹き下ろして足も捗る。のんびりと岩尾根を登り、烏谷口古墳からの道を合わせて「道の駅」からの分岐に来る。この辺りはアブが多くて追い払いながら歩く。だらだら登りから「出合坂」に来てベンチで水分補給する。雄岳への分岐から右へ山腹を捲いて少し下り、短い急登で二上神社口駅からの道に合流。 大津皇子墓所前で初めて登山者に出会った。雄岳は休まずに通過して雌岳へ。ここにも誰もいない。無人で日陰のベンチに腰を下ろすと爽やかな風で、汗に濡れた身体が冷たいほど心地よい。10分ほど休んで岩屋峠に下る。祐泉寺の前で50人ほどの大パーティに遭遇した。静かな間に歩き終えて良かった。道の駅のお地蔵さんの手前で、今年初めて真っ赤なヒガンバナを見た。
 本格的な秋も間近。少し暑かったが疲れも感じず、快適な山歩きだった。


金 剛 山

【登山日】2014年9月12日   【メンバー】芳村嘉一郎、芳村和子
【コースタイム】水分橋07:00…セト08:27…国見城址09:05~09:15…葛木神社09:27…大日岳09:55…太尾塞跡10:20…水越峠分岐11:00〜11:05…水分橋11:40


北尾根と太尾のどちらを登りに使うか迷ったが、予定通り北尾根に入る。昨夜から急に涼しくなり、半袖シャツでは肌寒いくらいだが、最初の階段道の急登ではや汗ばんでくる。ゆっくりと登り続けるうちに調子がでてきて、案外早く山腹の道に出た。「セト⇔青崩」の標識のある、大きく左にカーブする地点で初めて休憩。ようやく3人目の降りてくる人にであう。静かな金剛山だ。坊領山への分岐を過ぎセトへ下り、階段道に入る。国見城址の下にくるとトリカブトの大群落やシシウドが美しい。城跡には僅か5人しか人影がなく、PLの塔はくっきり、ハルカスは少し霞んで見えた。
 行者堂から転法輪寺へ詣で、葛木神社に参拝して仁王杉に下る。途中のブナ林からは葛城山が美しく眺められた。一ノ鳥居への道と分かれ、ロープの張ってある崩壊地から鎮宅さんの横を通って大日岳へ。ススキが波打ち、キンミズヒキが満開だった。六道ノ辻から太尾塞跡へは厳しい下りが続く。さらに急降下を続けて水越峠への分岐で一息入れる。涼しくなったお蔭で、あまり汗もかかずに楽しく歩けた初秋の金剛山だった。


葛 城 山

【登山日】2014年10月29日   【メンバー】芳村嘉一郎、芳村和子
【コースタイム】 水分橋10:00…中間ベンチ10:40〜10:45…山頂11:50…(昼食)…キャンプ場13:00…中間ベンチ13:35〜13:40…水分橋14:20


寒い朝、急に思い立って葛城山に向かう。青崩集落を抜けてていくと日は既に高く、真っ青な空から燦々と陽光が降り注ぐ。谷沿いの林道に入って、先行の夫婦連れを追い越した。荒れた谷道の鎖場、水場を過ぎ、中間点ベンチに着いて始めて腰を下ろす。じっとしていると汗が冷えてきたので、5分間休んだだけで出発。ゆっくりと登り続けて、ショウジョウバカマの群生地にくる。今年になって生まれたような小さな小さな緑の葉が可愛い。ロープ駅からの道に出会うとようやくハイカーの姿を見る。正午前に着いた広い山頂のあちこちには、思い思いに腰を下ろす人影がみえウィークデーにしては賑やかだ。ススキの中を正面に金剛山を見ながら高原ロッジの方へ下っていく。空は高く、大気はクリアで高見、曽爾山塊、大峰、大台の山々がくっきりと望める。婿洗い池の方を見下すと、山肌に紅葉を散りばめて美しい眺めだった。山頂部で1時間を過ごし、元の道を下る。久しぶりの山歩きだったが、幸いに腰も膝も痛まずに駐車場所に帰る。歩き慣れた道だけにのんびりと秋の山を楽しめた。

竜 王 山

【登山日】 2014年11月13日  【メンバー】芳村嘉一郎、芳村和子
【コースタイム】長岳寺10:10…石不動 11:07…奥ノ院 11:33〜11:37…頂上12:05〜12:20…長岳寺13:40


急に寒くなった朝、ゆっくり家を出て長岳寺に向かう。車を降りると風が冷たく、上着を着て手袋をする。収穫が終り、葉も落ちてすっかり淋しくなった柿畑の間を抜けて山道に入る。風は頭の上の梢を揺らして轟々と音を立てているが、道は深い溝状のところが多いので寒さを感じない。二度ほど急登を終えたところで、上着を脱ぐついでにだるい腰に薬を擦り込んだ。お蔭でロープの張ってある一番の急登は案外楽に登れた。お不動さんまでにいつもより大分、時間を喰ってしまった。頂上まであと1.3kのここからは痛みもなくなって、いつも通りに歩けるようになった。奥ノ院分岐をで遠回りして奥ノ院へお参りしていく。もったいないほど下って古墳を過ぎ、いつものように優しいお顔の奥ノ院の不動さんを拝む。柳本竜王社の横から頂上に登る。思った通り、誰もいない城址を音を立てて風が吹き抜けている。展望は良く、和子がしばらく双眼鏡で探して明石大橋を見つけた。大阪湾に浮か船影も見える。上着を来ても寒いので水分補給だけで急いで下る。トイレ横からの下りも階段が続くが、こちらは明るい林の中で、ときどき美しい赤や黄の落葉を踏んで行く。快調に下って行くと、登りで休んだベンチに男性が二人、腰を下ろしていた。少し下ると若い女性が一人登ってきて挨拶を交わす。今日、出会った人はこれで終わり。静かな初冬のリハビリ山行だった。

高 円 山

【登山日】 2014年11月22日  【メンバー】芳村嘉一郎、芳村和子
【コースタイム】丸山駐車場 10:10…飛鳥中学校前10:30…白毫寺分岐11:05…大文字火床11:20〜11:35…高円山三角点11:45〜11:50…高円山最高点12:05〜12:20…新池12:50〜13:00…首切り地蔵13:05…丸山駐車場14:10


今日は私の80歳の誕生日。傘寿記念と言う程でもないが、想い出に残るように山に行くことにする。飛鳥中学校前の「滝坂道」の標識へ来るとはや10時半。本来の登山道は白毫寺経由だが最短コース?を取るため直進。石畳の道へ入る橋の辺りは、大雨の影響か少しり荒れていた。少し先で右手の林の中へ。落葉に隠れた踏み跡を探して支尾根にでる。赤や黄や茶に色付いた林の中だが傾斜はきつく、木の間から春日山が見える頃から次第に汗ばんでくる。30分近く登って白毫寺からの道に合流して、林の中をさらに登る。林を抜けてぱっと頭上が開けると、大文字の火床が並ぶ芝生の大広場にでる。快晴で期待以上に素晴らしい展望だった。左の葛城、二上山は雲の裳裾を引いていたが、遠くは正面の生駒山から左の若草山まで、眼下には大仏殿の屋根を始め奈良の町並みが一望のもとだった。
 美しい落葉に覆われた長い石段を登って林の中を行き、標識に従って
二等三角点の丘に登る。林の中の無展望で殺風景な頂上から元の分岐に引き返し、少し登ってススキが逆光に光る広場を抜けドライブウェイを横断、元ホテルの裏側へ登る。ホテルが撤去された後の、がらんとした空き地は残された土嚢やゴミが目立って痛ましい。最高点(Ca460m)を探したが見当たらず、それらしき場所の近くに腰を下ろし軽食をすませ早々に腰を上げる。最初は元の道を下るつもりが、せっかくなので柳生街道を帰ることにする。前にあったドライブウェイ沿いの踏み跡は見当たらず、「人と自転車通行禁止」の道を歩かせて貰う。途中で出会った車はたった3台。地獄谷石窟群P前の指導標で「地獄谷新道」に入ると、次々に人に出会うようになり、山歩きから観光ルートに入ったことを実感する。新池辺りの紅葉はこの日で一番見事だった。様々な色で織りなされた豪華な衣装をまとった回りの山が、青い水面に映る己が姿と美しさを競っている。首切り地蔵から更に賑やかになった滝坂道を下る。朝日観音、夕日観音はともかく、寝仏は昔に比べかなり摩耗してお姿がぼやけてきているようだ。のんびりと初冬の奈良の低山を歩いて、楽しい思い出となった80歳の誕生日だった。

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