天然樹脂塗料
ホルマリン シーラー FS
T.はじめに
近年、住宅の高気密化に伴い、「シックハウス症候群」が顕在化してきています。
欧米では、10年以上も前から、化学物質の健康への影響に関する研究が行われていますが、我が国では、昨年になりようやく、政府が重い腰を上げて、規制を始めました。
現在、我が国では、次の3物質3薬剤の建築建材への使用削減が決められました。
3物質:ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン
3薬剤:木材保存剤、可塑剤、防蟻剤
その中で、シックハウス症候群に最も影響を有しているのが、合板の接着剤や壁紙の糊の防腐剤として使われてきたホルムアルデヒド(ホルマリン)であることが判明してきております。
「ホルマリン シーラー FS」は、この有害な発癌性物質でもある、ホルムアルデヒドを有効に遮蔽できる天然樹脂由来の塗料です。
U.特徴
1.ひとと自然に優しい
◎溶剤は、エチルアルコール:安心して使えます。
◎成分の天然樹脂は、食品添加物として使用されている安全なもの。
生分解性があるので、環境を汚染しません。
炭素と水素と酸素から出来ており、燃焼しても、有害ガスは発生しません。
2.作業性がよい
◎溶剤は、一般の塗料と比べて、安全性は高いですが、換気には注意しましょう。
◎速乾性なので、作業性に優れます。
3.ホルムアルデヒド等の化学物質の遮断能力に優れる
V.使用方法
1.使用前には、塗料をよくかき混ぜて下さい。
2.塗装用具:刷毛、スプレーガン
ハケ塗りの場合には、塗料をたっぷり含ませることの出来るニス刷毛が好ましい。
3.うすめ代:専用シンナー(エチルアルコール)で10〜20%希釈して下さい。
4.塗装は、2回以上、出来れば3回塗りすること。
塗布量:1回当たり、60〜70g/m2
5.塗り面積
1回塗り:10〜15m2/L
2回塗り: 7〜10m2/L
3回塗り: 5〜 7m2/L
6.乾燥時間:約1時間(気温:20℃、湿度:60〜70%)
7.用具の洗浄:専用シンナー又は、アルコールで洗浄して下さい。
樹脂は、アルコールにしか溶けません
8.塗料の保管:容器を密閉して、乾燥した冷暗所に保存して下さい。
高温下保存されますと、塗料が乾燥しにくくなり、性能が落ちます。
W.使用上の注意
1.安全な溶剤を使用していますが、有機溶剤でもありますので、塗装中、乾燥中と
3.よくフタをし、子どもの手の届かない冷暗所に保管して下さい。
4.塗料は、天然物固有の色である茶色に着色していますので、淡色物の塗装には
適しません。 多少ブラウン系の色がつきます。
X.荷姿
ホルマリンシーラー FS:15kg、 3.5kg、 1L
専用うすめ液 :16L、 4L、 1L、 500ml
◆ホルマリンシーラー FSの効果について
◎JAS法による試験結果
試験試料:アミノアルキド塗装合板
塗装方法:各種塗料を刷毛塗り
塗 布 量:1回当たり60〜70g/m2 で、1〜3回塗り
試験方法:JAS規格 特殊合板のホルムアルデヒド放散量試験
試験結果:塗料の種類とホルムアルデヒド抑止力
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回数 |
(g/m2) |
(mg/L) |
(%) |
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FS |
2回 3回 |
25 33 |
0.9 0.2 |
81% 96% |
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(比較) |
2回 3回 |
25 35 |
2.1 0.9 |
55% 81% |
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◎簡易型気中濃度測定器による試験結果
試験方法:ホルマリンシーラー FSを3回塗装した時のホルムアルデヒド濃度
測 定 器:ホルムデジタルキャッチャー (98年6月)
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(ppm) |
(ppm) |
(%) |
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300×300×300の箱 |
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家と比較して非常に大きいため、ホルムアルデヒドの濃度がかなり高くなっています。
実際の住宅(この場合は下駄箱)の場合には、せいぜい数ppm程度の場合が多く、
環境基準値の0.08ppmをクリヤーすることは可能と思われます。
◆参考資料
合板にはJAS規格があり、このホルムアルデヒド放散に関する規制値を、次の表示
しました。
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F2合板 F3合板 |
5.0mg/L以下 10.0mg/L以下 |
7.0mg/L以下 12.0mg/L以下 |
2.0ppm 4.0ppm |
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(注2)合板(床面積の3倍量、室温30℃、湿度80%、換気1回/時間)の場合の室内
汚染推定値
一方、WHOの基準値は、0.08ppm以下であり、我が国の厚生省の専門検討会議
による室内濃度指針値も、0.08ppmに規制されました。
◎上記の表を見ると、最もグレードの高いF1合板でも、むき出しのまま
使用されれば、ホルムアルデヒドの室内濃度指針値をクリヤー出来ない
ことになります。
それでは一体どうすればよいのでしょうか?
方法としては、いくつかが考えられますが、
これから建築する場合:
1)ホルムアルデヒドを発生しない原材料を使用する。
(無垢材又はF0合板など)
既に、発生源が有る場合:
2)発生したホルムアルデヒドを活性炭などの吸着剤で吸着除去する。
3)発生源に塗装などをして、被覆、遮蔽する。
4)ホルムアルデヒドと反応する化学物質を用い、反応により、安定な
(無害な)物質に変える
といった方法になると思われます。
特に、問題となっているのは、後者の様に、既に、発生源が有る場合です。
2)の吸着剤に関しては、冷蔵庫の脱臭剤と同じで、吸着容量以内であれば、かなり
低濃度にまで、除去が可能です。
しかしながら、吸着剤が飽和してしまえば、これ以上吸着出来なくなり、気温が
あがったりすると、逆に、放出され、その結果、発生源となる場合があります。
3)は、材料からしみ出してくるものを、一部は、反応により固定化したり、又、
緻密な塗膜で、しみ出てくるものを押さえ込むという方法です。
根本的な解決法ではありませんが、放出速度を大幅に低下させることが可能です。
4)は、反応により安定化させ、除去するのですが、現在のところ、安全性が高く、
かつ、有効な物質が見いだされておらず、決定的なものはありません。
合成物質を使用してもよいのならば、かなり有効な物質はあります。
(現在、弊社に於いて安全性を含めて検討中です)
◎ホルムアルデヒドの発生に関しては、2)の様な方法で濃度を低下させますと、
放散は、平衡反応ですので、濃度が下がった分だけ、発生源より更に放出されるため、
材料の中の全ホルムアルデヒドが無くなるまで、いつまでも放出され続けます。
◎従って、付け焼き刃的にはなりますが、いくつかの方法を併用して対策することが
重要です。
例えば、3)と2)の併用など。
塗装して、ホルムアルデヒドの発生量を減らして、少なくなったホルムアルデヒド
を活性炭で吸着除去する…これにより、活性炭の寿命を長くすることが出来ます。