豆知識 木炭を焼こう
 
*普通の炭とは別にこんな炭も焼きました。

炭

 

木炭を焼こう No.1(炭の効能)

1.料理に… 炭の炎から出る遠赤外線で食材の中にも熱が伝わり、肉や魚が旨く焼けると 同時に煙の燻製効果もあり、電気やガスでは味わえない美味しい料理が出来上がります。
2.浴槽に… 湯温(約42℃)で木炭からは遠赤外線が多量に発生すると言われています。 その結果、体の芯から暖まります。
3.飲み水の浄化 木炭の組織を顕微鏡で見ると、無数の細かい穴が小さな室の様にあい ています。その表面に水の不純物や、体に良くない薬品等を吸着してくれます。

 その他にも防湿、防虫効果等々木炭は良いことがいっぱいあります。使い方はあなたの アイデア次第で無限に広がります。



No.2(原木の種類)

こんな炭も焼きました。

 木炭で知られているのは、備長炭です。木炭の種類を大きく分けると黒炭と白炭があります。これは焼き方の違いで、備長炭は白炭に属します。原木はうばめ樫で、火力の強さと火持ちではナンバー1です。その他木炭に適しているのは広葉樹で、その中でも椚、楢、は特に上質の炭とされてきました。これらの原木は、ほどんど全国の山間部で手に入りやすく、根元から切っても、直ぐあとから新しい芽がでてきて、10年〜20年程でまたもとの森に再生してくれます。
 木炭に向かないのは、杉、桧に代表される針葉樹です。これらの木は油分が多いからか、昔から(一部刀鍛冶では火力が強い事から松炭が使われていますが)、あまり木炭には利用されませんでした。又特殊な物として、柳(絵画のデッサン用)や椿(漆の表面の磨き用)、それに茶道の炭手前で使われる榴(火付け用)などもあげられます。これらは何れも、古来より伝えられてきた炭の文化です。




No.3(焼き方基礎知識、前編)

OUTDOOR  木炭の焼き方には色々な方法が在りますが、ここでは昔から西日本で最も広く行われていた方法をご紹介します。

 先ず焼くための窯ですが、(図のように)丁度古墳の様な形で内部はドーム状になっていて、手前に焚口があり、直接炎が回らず上部から徐々に燃やすために約70cm位の深さの所に壁が設けられています(原木が詰め終わってから煉瓦で作る)。又煙突は、下部から空気が流れるように窯の一番奥の下部に設置されています。

 炭焼きの原理を一口で云いますと、原木の温度を上げて、酸素を与えず蒸し焼きにし、炭素を作り出すのです。

 それではいよいよ原木(椚、楢、樫等)を窯に入れます。
最初に炭にする原木をたてて入れる底部に”なる木”(親指の太さぐらいの枝)を敷いていきます。これは原木が直接地面に触れないようにするのと、空気の流れを確保するための物です。そして窯の高さの80%位の長さに切った(太さ約10cm×長さ約80cm〜100cm)原木を奥から順々に詰めていきます。又上部の隙間にも出来るだけきっちりと枝や木っ端を詰め込みます。窯の中では人は座ったままで、重い原木を取扱わなければならず、だいたい2〜3人の人がバケツリレーの様に窯の中に居る人にタイミング良く必要な大きさ形の木を運び込みます。この作業がなかなか大変な重労働なのです。
そして、きっとりと詰め終えると、先に説明した、内側の壁を作り、最後に焚口を煉瓦と石を使って作ります。



No.4(焼き方基礎知識、後編)

 焚き口に焚き付けの小枝や小さな木ぎれを入れて火を点けます。
火床が出来るまでは、せっせと木ぎれをくべながら、団扇で風邪を送り続けます。
最初、煙突からは、白く湿気の含んだ、目と鼻を突く煙がもくもくと出てきます。
点火から約3日間焚き続ける間、窯の中の状態は全て煙の色や、臭いや温度で判断します。昔は今のような温度計も無かったので手をかざしたり檜の葉を使って窯の中の火付きの状態を判断していたようです。

 点火から5〜6時間でいったん焚口と煙突を閉めて火を消してしまい、余熱で原木の水分を抜く為約半日間をおきます。
 そして又、翌日焚き始めます(二度焚き)。後はどんどん温度を上げるために休み無く薪を入れ続けます。
参考の為に私は、図の鼠の穴から、陶芸で使われている温度計(1500℃迄測れる)を突っ込んで窯の中の温度を測ってみました。
窯の中心温度は計測値よりもかなり高いと思われますが、燃焼時間とその温度を記載します。

再点火後30分=220℃ 1時間=295℃
 1時間30分=350℃ 2時間30分=430℃
 3時間30分=480℃
 4時間30分=490℃

ここで薪を入れるのをストップし直径10cm程の土管を焚口に取り付けます。これは十分に窯の温度が上がり原木に火が回ったということです。
このときの煙突の煙は半透明になっています。
それから丸1日そのままの状態にしておきます。
その後は土管の口に石ころを入れて空気の量を減らしていき、同時に煙突も板きれで口を徐々に小さくしていきます。

 そして焚き始めてから4日目、最後に蓋を閉めるタイミングですが、マッチ棒を茅の葉の先等につけて煙突に近づけます。最初は点火するのに18〜15秒位ですが、次第にその間隔が短くなり、10〜8秒で点火するとOKです。
このタイミングがずれると焼けすぎて灰の部分が多かったり、焼け残りで爪が出来て、使うときに煙のでる炭が出来てしまったりします。
 完全に焚口と煙突の穴を閉めてしまい、あとは酸素不足で火が消えて、原木が窯の温度で炭化し、徐々に温度が下がるまで、最低2日〜3日待ちます。
あまり早く開けてしまうと、種火が残っていたりするので、良くありません。

 以上の様に炭焼きは科学的な事を人間の経験と感を頼りに一見原始的に行う作業です。 最近は自然環境の破壊がすさまじい勢いで進み、価値観と共に生き方を考え直そうと云う人達が増えてきたようです、炭焼きは、日本の山の保存にはもってこいで、リーズナブルな文化です。出来るだけ料理やいろんな所にもっと木炭を使かってはいかがでしょうか。

◆◆ 終わり ◆◆ 

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