オオカミについて


  オオカミは危険?

   狼は社会的な動物だ


オオカミは危険?


現在世界で飼われている家犬の種類は300〜400種類といわれています。ポケ

ットにも入りそうなチワワから70〜80キロにもなるセントバーナードなどまで

大きさや外見はまちまちです。

では、これらの犬の祖先はなんだったのでしょうか?これについては残念ながら

決定的な説はありません。しかし、犬についての研究が日本より遥かに進んで

いる欧米では、ほとんどの人が「祖先は狼」と考えており、犬の習性などをよ

り理解するために狼の生活形態がよく引用されます。そこで、ここでは「犬の

祖先は狼」とわりきることにします。

さて、人間が犬として狼を飼いはじめたのは一万五千年ほど前からと考えられて

おり、その後ヨーロッパやアジア大陸で人間が必要とする目的に応じて狩猟犬や

牧羊犬、ソリ犬などに、犬の姿や性質までも変えられてきました。

しかし、ここで忘れてはならないことは、いくら人間の都合によって必要な固体

をのこし、不都合なものを取り除いて改良してきたと言っても、狼の持っていた

遺伝子がまったく消し去られたわけでもないということです。現在の犬のん持つ

遺伝子は、本来狼が持っていたものなのです。

では、狼の子孫である犬は危険な存在なのでしょうか?いえ、そんなことはあり

ません。最近の研究で例外はあったにせよ、狼が人間を襲ったという話の大部分

は作り話であることが判ってきました。もちろん、狼を逃げられない場所に追い

込めば、人間をも襲ってくるでしょう。しかし、これは「窮鼠猫を噛む」という

諺にもあるとおり、ほとんどの動物が見せる反応であり、攻撃行為ではなく、狼

の自然な自己防御行為なのです。


狼は社会的な動物だ

狼も猫も肉食獣ですが、猫は一匹でひそかに木陰などにひそみ獲物を急に襲いま

す。しかし狼は狩猟をする動物で、大体7〜8匹、おおければ十数匹が群れとな

り、鹿や野牛などの野生動物を倒して生活をしています。群れの中には雄、雌の

厳密な階級があり、動物学者はそれぞれの一番上位の狼を、アルファー雄か雌と

呼んでおり、繁殖を行うのは通常この二匹だけです。かれらのなかでは時々階級

闘争があり、仲間同士が加勢したり、裏切ったりして、人間社会と極めて似通っ

た行動をすることがよく知られています

ここでとくに注目したい点は、階級闘争が本気で行われている時、ライバル同士

は命をかけて闘いますが、階級が安定しているときは仲間を傷つけるようなけん

かは起きないことです。つまり、無用に互いが傷つけば群れの力は弱まるので、

仲間内の攻撃力は抑えられているのです。また、自分たちより大きな獲物を倒す

には、待ち伏せや挟み撃ちなどによる狼同士の緊密な協力が必要であり、これは

アルファー雄、雌をリーダーとして、その指導に全員が服従して始めて達成され

るものなのです。このように狼は実に社会的な動物であり、この点こそが猫科の

動物や犬科でも狐のように孤独で生活する動物と大きく異なるところです。


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