第3回

◆ローコストハウス

基礎に対する新たな発見

阪神大震災以降木造の基礎はベタ基礎が主流を占めている。
建物の建つ部分全体に底盤を造り、底面全体で建物の重量を
支えようとする基礎である。
それ以前の基礎は布基礎と云って土台の下だけに基礎を造っ
ていた。地盤が弱かったり支持力にバラツキがあると、弱い部
分に、応力が集中し不同沈下の原因になったり、地震時の木造
家屋が倒壊した大きな原因になっていた。
その点ベタ基礎は、底盤全体で建物重量を支えるので地盤の
強弱・バラツキに影響され難い。

地震時、建物は屋根面と2階床面を怪物に押された様に水平力
が加わる。本当は均等に横向きの力が掛かるが、水平構面
と云って、他の部分よりその部分が固い為、応力が集中してしま
う。
屋根面と2階床面に流れた水平力は逃げ口を求めて次に固い
部分を探して耐力壁に流れる。耐力壁にも色々あって、より固い
壁に多くの力が流れる。
分厚い本を立てて指で上の部分を押すと、押した側が浮きあがり、
反対側に本の、全重量が掛かっているのが分かる。これと同じ
力の流れが耐力壁にも起こる。つまり水平構面で横向きに流れた
力が耐力壁内では引きぬき・押さえ込みと云う縦向きの力に変わる。
その引っ張ったり、押さえ込んだりする力は何処に流れるかと云
えば全て基礎が負担しているのである。その基礎でも重要なのは
実は底盤でなく、立ち上がりの地中梁部分である。

細い木より太い木の方が強いのは一目瞭然だが、基礎の場合は
横に広いよりも、縦に高い基礎の方が効果的に働く。木造2階建て
の住宅で、基礎の立ち上がりが50cm程度しかなく、柱と柱の間が
2m以上離れていれば、16mmの鉄筋を上下2本づつくらい入れなけ
れば地震時倒壊の危険がある。又建物全体の荷重をベタ基礎
拾うため、スラブ厚に相当分の厚みが無ければ負担巾に応じて
地中梁に相当な応力が掛かる。

と云う事は、不同沈下の問題を解消してやれば、底盤の有る無し
に関わらず、基礎の強度は地中梁の高さ(梁背)で決まると云って
良い。梁背の低いベタ基礎よりも梁背の高い布基礎の方が丈夫
みたいな、状況もあるのである。コストスタディすれば、ベタ基礎
方が布基礎より3〜4割高めであるから、布基礎ももう少し見直し
する事が必要と思う。
又、地中梁の断面欠損(換気口や人通口)は有るより無いに越し
た事は無い。基礎パッキン等別の方法を用い、なるべく断面欠損
を無くしたい。

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