追憶は春野如し年賀状

 

 古時計針のまわりて元旦来

 

 客みんな帰り炬燵の老夫婦

 

 油絵の特選に入る初便り

 

  貨車長くタンポポの黄に返り咲き

 

黒潮の香や如月の花菜漬け

 

 

晩学の辞書を離さず春炬

 

 

踝に故郷の雪のくくと鳴る

 

 

ほぐす掌に土の温もり菊根分

 

 

ほのぼのと心華ぐ牡丹の芽  

 姉来ると弾む老妻木瓜朱し

 

 国引きの出雲岬の山笑う

 

 月朧いで湯の里の旅情かな

 

 歳月や上人崎の花うつぎ

 

母の日や脈々と血のとこしなえ

 

 

残雪の尚信濃路や林檎咲く

 

 

母の日や母が亡き子に花たむく

 

 

退院の報せ鉄線濃紫

 

 

玄海の夏服透す青き風

 

   

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