射法八節、第二節「胴造り」

全日本弓道連盟、弓道教本第一巻より抜粋

胴造りは、足踏みを基礎として両脚の上に上体を正しく安静におき、
腰をすえ、左右の肩を沈め、背柱および項(うなじ)を真直ぐに伸
ばし、総体の重心を腰の中央におき、心気を丹田におさめる動作で
ある。
この場合、弓の本弭は左膝頭におき、右手は右腰の辺にとる。
以上の動作と配置によって全身の均整を整え、縦は天地に伸び、横
は左右に自由に働けるような、やわらかい且つ隙のない体の構えを
作るとともに気息をととのえることが肝要である。
こうした鎮静的な動作は、つぎの活動的な動作へ移る前提であり、
胴造りは終始行射の根幹となり、射の良否を決定する。
胴造りは、外形的には一見きわめて単純な動作のようにみえるが、
内的にはまことに重要なものである。

注、
胴造りには、反.屈.懸.退.中の五つの胴造りがあり、これを五胴と
いう(五身ともいう)。
いずれも目的と場合によって使われる練達者の応用動作である。
五つの胴造りとは以下の通りである。
1)反る胴(上体が後方に反るもの)
2)屈む胴(上体が前に屈むもの)
3)懸る胴(体が的の方に傾くもの)
4)退く胴(体が右に傾くもの)
5)中 胴(中正な胴造りで体の重心の最も安定したもの)
胴造り
全日本弓道連盟、弓道教本第二巻より抜粋

射における胴造りは丁度座禅を行うときの胴造りと同じで、これの立った
ときの形が弓道の胴造りである。
従って弓道の胴造りはあ、立禅の姿ともいえる。
足踏みの上に両脚が伸び、腰から植えを置くのであるが、腰骨の前側面を
ちょっと上に向けるようにして肛門を閉じ、股の付根を張る、水月(みぞ
おち)を柔らかにし、余り凹まぬように伸ばす。
このとき鼻と臍が対し、両耳と両肩が相対するようになる。
胴造りのときの目仕いは、一点に集中したりきめこんだりしないで、約四
メートル位の処を漠然と見る。
この境涯に視線を置き、物を見るのは心、すなわち心眼で見るようにつと
める。
こうすれば心は外へ散逸せず、内廻りとなり体内明るく、左右前後の動静
すなわち環境が悉く心に映ずるようになるから失礼を起こさない。
(神永政吉 範士)

[教歌]
胴はただ、常に立ちたる姿にて、
     退かず掛からず、反らず屈まず(大和流)
和服での胴造り
1)足踏み 3)弓構え 4)打起し 5)引分け 6)会 7)離れ 8)残心(残身)