あなたと歩いたいかるが
「誰にも歌えて誰にも演奏できる曲にと思って作ったので、シンプルな印象だと言われます。メロディは20分ほどでできたんですが、編曲の方がむしろ大変だったかな」児玉さんは大学では哲学を専攻、卒業後パリ音楽院に約3年間留学した。 「大学で富永惣一先生に出会ったことがフランス留学へのきっかけになったのかも知れません。 演劇も文学も音楽も哲学も新しい文化はフランスを通じて入ってくるし、シャンソンも全盛期でした。大学にも一線の研究家が揃っていてフランス自体の面白さを耳にしていましたから行きたくなった。なぜ音楽院かというと、子供の頃から音楽好きだったこともありますが、卒論にフランクの音楽論とセザンヌ論の二つを提出しましてね、音楽をもっと勉強したかったから」 フランスでは、さまざまな芸術に触れると共に夏休みの1ヵ月間を修道院で過ごし、西洋というものの根幹をなすキリスト教についても学んだ。夢中でフランスを呼吸しながら新しい出会いを重ねたが、そのひとつにふるさと斑鳩があったのだという。 「ギメ美術館にはられていたポスターに斑鳩の秋景があったんです。花のパリで我が村斑鳩がひけを取らずにね。外に出て見えるということを実感しました。今度の曲にもその時に感じた、素朴なふるさとのイメージが重なっているのかもしれません」 |