KCN-Netpressアーカイブス

人と心とふれあいと
Vol.2


あなたと歩いたいかるが


浄慶寺住職 児玉厚雄さん

斑鳩町イメージソング作曲者



 今年町政5周年を迎えた斑鳩町では、いかるがホールの建設などさまざまな記念事業が行われている。
その一環として、イメージソング「あなたと歩いたいかるが」が作られた。町の行事には折りに触れて演奏され、CDもできるなど、評判は上々。作曲を引き受けたのが浄慶寺二十三代住職の児玉さん。

「誰にも歌えて誰にも演奏できる曲にと思って作ったので、シンプルな印象だと言われます。メロディは20分ほどでできたんですが、編曲の方がむしろ大変だったかな」児玉さんは大学では哲学を専攻、卒業後パリ音楽院に約3年間留学した。

「大学で富永惣一先生に出会ったことがフランス留学へのきっかけになったのかも知れません。
先生は印象派以後の現代美術を日本に紹介した方なんです。いろんな影響を受けましたね。それに一九六○年代、新しい芸術の発信はフランスからだった。サルトル、カミュの時代です。僕は哲学科にいましたから、よく論争したものです。

演劇も文学も音楽も哲学も新しい文化はフランスを通じて入ってくるし、シャンソンも全盛期でした。大学にも一線の研究家が揃っていてフランス自体の面白さを耳にしていましたから行きたくなった。なぜ音楽院かというと、子供の頃から音楽好きだったこともありますが、卒論にフランクの音楽論とセザンヌ論の二つを提出しましてね、音楽をもっと勉強したかったから」

フランスでは、さまざまな芸術に触れると共に夏休みの1ヵ月間を修道院で過ごし、西洋というものの根幹をなすキリスト教についても学んだ。夢中でフランスを呼吸しながら新しい出会いを重ねたが、そのひとつにふるさと斑鳩があったのだという。

「ギメ美術館にはられていたポスターに斑鳩の秋景があったんです。花のパリで我が村斑鳩がひけを取らずにね。外に出て見えるということを実感しました。今度の曲にもその時に感じた、素朴なふるさとのイメージが重なっているのかもしれません」



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