KCN-Netpressアーカイブス

人と心とふれあいと
Vol.7


雅楽を基本に据えながら新しい音楽を創る

多様な音の景色を探る


deguchi-san

龍笛奏者 出口煌玲さん


 「雅楽を始めたのは、たまたま南都楽所の先生が近くに住んでいらしたから。楽器を演奏する以前の練習として口で歌う唱歌があるし、舞楽も舞いますから、古いといわれている雅楽の拍子や流れが、身についたんでしょうね。
学生時代にはバンド組んで演奏してたんです。ある時、この音楽の中に龍笛を取り入れたらどうだろうって。子供の頃からやってるし、これならだれより良く知ってるわけですから。それで、いろんな仲間と『まほら』というグループを作って活動するようになったんです」

 日本での最も古い音楽といえば雅楽。正倉院御物の中にも楽器が伝えられ、そのゆったりとしたリズムと雅な音は、現代人の胸にも迫ります。子供の頃から雅楽に親しんできた出口さんは、現代的な音楽との融合を、とても自然に当たり前のように楽しんでしまいます。ジャンルを超えた音楽活動を行う7人の『まほら』メンバーは、時や場所に応じてニュートラルに構成されます。音楽シーンに最適なメンバーが組むので、同じ『まほら』の演奏会でも、毎回違う顔ぶれだったりします。

「雅楽と洋楽の混成チームなんですが、基本は雅楽。古典と言われる雅楽も、成立した頃はニューミュージックだったわけでしょ。大陸から輸入された新しい音楽で当時の人はいろんな試みをしたと思うんです。その頃の楽人が生きてたら、どんな音楽をやっていたんだろう、どんなシチュエーションでの音楽活動をしていただろうって考えると、遊びもあったでしょう。当時はワールドミュージックだったんですから。僕たちにとって電気やコンピューター音楽はすごく当たり前の存在で合わせるのはとても自然なんですよ。アンサンブルはサッカーに似てると思います。個人の技と明確な戦術の上に偶発生があって、そこが面白い」

 出口さんたちのメンバーを核としたアーティストネットワーク「音楽舎まほら」ではプロデュースの活動もしています。尺八とギターのCDや出口さんがさまざまなアーティストと一対一でプレイするCDを手がけたり、演劇や舞踏の舞台もプロデュースします。奈良の風土で生まれた『まほら』の音の風景、どこまで広がっていくのでしょう。

まほらの演奏予定
・自然劇場 西ノ京舞台(薬師寺南門「萬京」)
 7月19日(日)8月8日(土)
ensou
・10月4日(日)「夢フェスタ'98」にて演奏予定



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