KCN-Netpressアーカイブス

人と心とふれあいと
Vol.8


メッセージはピアノの響きに乗せて

夢フェスタ「ネイチャーコンサート」
演奏者インタビュー


ジャズピアニスト 河野康弘さん (生駒市出身・東京在住)


 「小学校6年の時、兄から見せられたエレキギターが音楽との出会いなんです。中学で吹奏楽部に入ってトランペットに熱中して、音大に行きたいと思ったんですが、トランペットという楽器に、どうしても越えられない限界があってピアノへ転向したのが19歳の終わり頃。ピアノはチューニングしなくていいでしょ、だから誰でも弾ける。調律師がやってくれてるんですから、鍵盤たたけば音が出るんです。奈良や大阪のクラブでジャズピアノを弾いてました」

 余程の練習と才能に恵まれていたからすぐにピアニストとして仕事ができたのでしょう。楽器をピアノに変えて約1年半後には矢沢永吉のバックバンドで演奏していたそうです。中村雅俊、芹洋子といった人たちのバンドでも仕事していた河野さんですが、本当はジャズを弾きたかったからと1年ほどで辞め、ライブハウスでの演奏活動を始めました。

 「ジャズが下火になっている頃でしたから、お客さんに聞いてもらうために、いろんな工夫しました。でも、ただジャズが好きで弾いてるんでも、いろんな矛盾や理不尽とかに出会うわけですよ。そんな時に湾岸戦争。環境問題、教育、社会へは言いたいことがいっぱいあって、でも僕はピアニストだからピアノで表現しようと『四万十川組曲』を作ったんです。サントリーホールでコンサートした時、なんでこの曲を作ったかなんて話しながら演奏したら、みんなが喜んでくれて、よく分かったって言ってくれたんです。それから、いろんなお話をしながら演奏するようになりました」

 清流と言われている四万十川も毎年汚染が進行していること、川の風景、きれいな川のために今できることなどを、おだやかな語り口と素晴らしい演奏で聴かせてくれます。

 「日本には600万台ものピアノがあるんですが、そのうち使われていないのが450万台。それで”冬眠ピアノお目覚めコンサート”を出前したんです。家庭はもちろん、学校、公民館、スーパー、お寺など使われていないピアノがあればどこへでも」

 不要なピアノは河野さんが引き取り、ケニア、モンゴル、南アフリカ、などへ送るのです。これまでに35台ものピアノを送り、来年はパレスチナへも計画中。その縁で今年は6人の子どもたちが南アフリカとベルギーから来日、河野さんのコンサートツアーに参加しました。今、ピアノは集まるけど運送費が不足しているとか。協力を呼びかけ中。

 震災の時は淀川を神戸まで演奏しながらの川下りチャリティーコンサートを実行しました。原爆ドーム前では大変な盛り上がりを体験、田んぼのあぜ道や豚小屋ではほのぼの愉快に、障害者の施設ではワッハまつりが恒例になり、CDも作りました。今、農業のことを一緒に考えようと野菜コンサートを開いています。「恋するトマト」「カボチャブギ」といった新曲も作って、畑で演奏するとか。いろんなメッセージがピアノの響きに乗って心にしみ込んできます。

公演先の東京都小金井市にて取材

 



人と心とふれあいとメニューページ / TOPページ