KCN-Netpressアーカイブス

人と心とふれあいと
Vol.12

 

不屈の精神の強さとやさしさ
星野富弘「花の詩画展」


実行委員長 青木 嘉子さん


 体操の選手であり、体育教師であった星野さんは、クラブ活動の事故で身体の自由を奪われてしまいました。

 絶望の渕から甦ったのは、篤い信仰と口にくわえた絵筆だったのです。巧まずして咲く野の草花、じっと見つめる目の清らかさ、対象を捉えて描く根気と勇気、そして添えられる言葉のやさしさと輝きに心を揺すられない人はいません。

 障害の有無などの次元を超えた見事な詩画の世界です。 奈良でも展覧会を開きたいという思いだけで群馬県まで星野さんを訪ね、ようやく開催への道を開いたのは、青木さんをはじめとする人々の心の力。

 「私は23年間目の見えない方のお手伝いをしてきました。その傍らには、いつも星野さんの詩画がありました。

ある時、しろあむという喫茶店主の池さんに出会ったんですが、星野富弘美術館を囲む会の奈良事務局をしてらして、奈良で展覧会を開きたいと話されたんです。

その時、これは神様から与えられたことだろうと奈良での星野さんの展覧会をと企画しました」 それからの青木さんの行動は素晴らしいものでした。早速群馬県勢多郡東村に星野さんを訪ね、展覧会を開きたいと伝えました。そして実行委員会を組織していきました。

「実行委員には、パワーのある方が集まってくださったんです。薬師寺の安田暎胤副住職、向野幾世先生も参加してくださいました。星野さんはクリスチャンなんですが、安田さんは宗教を超えて星野さんのファンだったそうで、法話にも取り上げていらしゃるんです。

このほど安田暎胤さんが出版された『心の道しるべ』という本にも星野さんのことが書かれていますし、絵も星野さんのを使われているんですよ。

聖書の中に神のなさる事全ては時にかなって美しいという言葉があるんですが、本当だと思います」 青木さんは星野さんを訪ねる時、いつも着物を着て行くそうです。奈良という土地柄とご自分の気持ちなのだとか。

「初めて伺った時『奈良を好きになって下さいね』と言いました。普段から着物は良く着ますが、この展覧会でもそうしようと思っていましたら、星野さんが『着物姿の実行委員長は初めてです』って喜んで下さって、私も嬉しいんです」 身体の自由は奪われても精神は自由、常にユーモアをもって人に接し、楽しそうな表情が印象的だったそうです。

どんな方ですかの問いに「とっても健康的」という答えが即座に返ってきました。


星野富弘「花の詩画展」21世紀に捧げるいのちの讃歌は7月28日(水)から8月8日(日)
奈良そごう美術館で開催。
入館料/前売600円
問い合わせ/歯車の会 TEL 0743-54-0110

 



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