7月7日は七夕さま。笹の葉に色紙細工を飾り、願い事を書いた短冊(たんざく)を結んで、星空が見えますようにと祈ります。旧暦なら今年は8月22日が七夕の日ですから晴れる確率も高いのでしょうが、新暦の7月7日はまだ梅雨の最中。なかなか星空に恵まれないようです。
さて、七夕の由来は中国の乞巧奠(きっこうでん)の風習と日本に古くから伝えられてきた棚機姫の信仰とが一緒になって行事となったようです。乞巧というのは巧みを乞うこと、つまり技が巧みになるように願うという意味で奠は祀るということ。中国では牽牛星が農耕、織女星が養蚕と染織を司る星として崇めてきました。七夕の夜は一年に一度、二つの星が天の川を渡って逢える特別な日という伝説が古くから伝えられてきたのです。
七夕伝説が日本に何時伝えられたのかはっきりとした記録はありませんが、平安時代の宮中では典雅な節句行事として楽しまれるようになっていきます。清涼殿の東庭に高机を置き、供物や糸、針、布などを飾りつけて燈明を灯し、夜通しお香を焚いたとか。牽牛と織女の逢瀬に思いを馳せながら、技芸の上達を願ったのですね。管弦や和歌のやりとりも行われ、これらの技の上達も重要なことだったようです。
京都の冷泉家では、今も王朝時代さながらにさまざまな行事が伝え継がれていますが、七夕も平安時代の姿で和歌披講や雅楽の演奏が行われているそうです。
時代考証はさておき、小さな笹にささやかな願い事を書いて飾ろうかしら、西瓜かじって、線香花火焚いて。
七夕や地蔵盆、夏祭りにはさっぱりと浴衣姿で過ごすのも素敵です。近頃は着物ブームで浴衣も銘仙の着物風なものや大正ロマン、モダンなものから藍染の古典柄まで種類も豊富に並んでいます。せっかく浴衣を選ぶのなら、下駄もちょっとこだわりたいものです。ならまち下御門町にある上富履物店ではしっかりと足に合わせて鼻緒をすげてくれるのです。鼻緒の縫い目が足の甲に当たるようでは足が擦れるからここの鼻緒は全て両サイドに縫い目があります。左右の癖や足の具合、歩き方まで見てくれますから、浴衣は着たものの足を引きずって、なんてことはありません。下駄のよもやまばなしを聞きながら、店主上杉泰朗さんの仕事ぶりを見るのもなかなか楽しいひとときです。
今年の夏はお気に入りの下駄で歩いてみてはいかがでしょう。そうそう、ジーンズに似合うレトロな鼻緒もありました。サンダルのつもりの下駄、かえってお洒落な感じになりそうですね。
*上富履物店=奈良市下御門町19
TEL:0742-22-2904
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