葉月、萩月、月見月とも呼ばれる8月。朝から照りつける陽射しに目も眩んでしま
いますが、夏休み、お盆休みもあるし、海水浴、プール、キャンプなどもこの季節な
らではの楽しみでしょう。少し以前まで、子供たちは真っ黒に日焼けしていたもので
すが、オゾン層の破壊で紫外線が問題になっています。対策をしっかりして、出かけましょう。
祭: 夏祭としては、なら燈花会が注目を集めています。奈良公園を舞台にした燈火の祭
は、今年4年目とまだ新しいながら、すっかり奈良の行事として知られました。この
祭の特徴は何といっても明かりの数とボランティアの協力。1万個近い明かりは全部
人の手で点灯されます。今年の浮雲園地(奈良県公会堂前付近)の明かりは昨年まで
とデザインを変えるそうです。単に並べたのではなく、きっちり測量して、デザインされたものだったのですね。高台から眺められると、違う美しさできっと素敵でしょ
う。燈花会には当日ボランティアとして、誰でも参加できるというのも楽しさがふくらみます。カップルで点灯した人は二人の火を寄せ合うし、一人で参加した人もやは
り誰かの火に寄せるのだそうです。こんなことからもやはり人はつながって生きてい
るんだと感じたとか。今年、参加してみませんか?
東大寺の万燈供養、春日大社の万灯籠では先祖の霊を送るという意味が込められて
いますが、燈花会にもさまざまな祈りや願いを託しているのですね。燈花はロウソク
を燃やした後の芯が花のようになることをいいます。燈花になると幸せになれるとい
いますから、燈花会そのものが幸せへの願った祭といえるでしょう。各地で行われる
盆踊りも先祖の霊を踊りに託して送るものとか。
衣: 「夕涼みよくぞ男に生まれけり」という句がありますが、最近は夏でもダークスーツに身を固める男性とは裏腹にノースリーブ、キャミソールと女性の服装の軽やかな
こと。お腹を出したファッションもあって、男性には気の毒な時代です。夏の服装で
最近人気なのが浴衣。夏の風物詩ですね。これは湯帷子(ゆかたびら)がもとになっ
ているようです。昔のお風呂は蒸し風呂で、その時に着ていたのが湯帷子。時代が下
ってお湯につかるようになると湯浴みの後のバスローブとして着たのです。藍の色が
多いのは、天然藍が虫よけの役を果たすから。日が射す日中は涼しげに白地、虫が出
てくる夕方からは藍染を着るのが基本だったようです。もっとも今はデザインブラン
ドの色彩豊かな浴衣が豊富で、若い人は男性も女性も浴衣ドレスとして楽しんでいて、素敵です。
浴衣から始まって、着物への関心が高まるといいですね。特に夏の着物姿は着る人
が少ないだけに一層いいものです。絹なら日を通しにくく、麻は肌触りが心地良く、
見た目よりも案外涼しいのが実感ではないでしょうか。体の補正などは通風が悪いの
で夏はやめましょう。体を着物に合わせるのではなく着物を体に合わせて。
食: 真夏は暑さで食欲も落ちてしまいがち。日頃のお肉好きもあっさり魚が嬉しい季節
です。夏に一度は口にしたのが飛魚。ひれを羽のように広げて海面を飛翔しながら長
崎県から日本海を北上して島根沿岸までやってきます。この地方ではアゴと呼ばれま
すが、太平洋沿岸でも同じ頃に旬を迎え、伊豆七島のクサヤといった名産を作ります
。でも、やはりツバメウオとも呼ばれる飛魚は淡泊な白身のたたきや塩焼きのあつあ
つを生姜醤油で頂くのが一番でしょうか。ルアーフィッシングで人気のスズキも盛夏
から秋が旬。洗い、塩焼き、刺身と何でもおいしいのですが、京都では奉書焼きなど
と一手間かけたお洒落な方法でも出されます。
魚で夏といえば鰻の登場です。土用の丑の日だけでなく、栄養補給にも食べたいも
のです。蒲焼きが多いようですが、白焼きを山葵醤油でというのもなかなかいけます
。土用には鰻だけでなく、シジミも疲れた肝臓を助けてくれます。胃や肝臓が元気に
なったらイサキや太刀魚の脂の乗ったところを。あっさり好みにはハモの湯引きを梅
酢で、というのは如何でしょう。ハモの焼いた皮の酢の物も見逃せない一品です。ハ
モや鰻は韓国中国などからも空輸されますが、やはり地元産がおいしいとか。しっ
かり食べて、夏を乗り切っていきましょう。
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