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 長秋の空は変わりやすいと言われていますが、気象データーでも10月の1mm以上の雨 日数は10日という地域が多いようです。これは3日に1日が雨模様。低気圧が西から次々にやって来るですが、これでは変わりやすいといわれても仕方ありませんね。
昔 から「女心と秋の空」など変わりやすいもののたとえにもなったりして・・・。
女性からは反発もありそうなこの女心ですが、実は間違いだそうです。「男心と秋の空」が本来の言葉。広辞苑にもちゃんと変わりやすいことのたとえとして「男心と秋の空」と 出ています。ちなみに女心とは女性特有の心。やさしい心。だそうで変わりやすいこ とのたとえなどとは書かれていませんでした。
ではどうして「女心と秋の空」が一 般的になったのでしょう。劇作家宇野信夫さんの指摘によると、有名な歌劇「リゴレット」の中で歌われる”風の中の羽のように、いつも変わる女心”が大流行し以来、 変わりやすいのは女心となったとか。言葉は時代と共に変化していくものですが、近 頃では女性の方がはっきりと断定し、決定もしているようで、ゆらゆら変わりやすいのは”男心”と元来の言葉に戻るのかも知れません。

 さて、そんな変わりやすい天候が気になるのはお祭りです。
今年は東大寺大仏開眼 1250年という節目の時で10月には大法要が行われるようです。13日から19日まで さまざまな催しで華やぐようですが、お天気が続くといいですね。
生駒山麓にこんもりと茂る森の懐に社殿が建つ往馬大社の祭は火祭りだけに雨が気に掛かります。創建ははっきりしないようですが「総国風土記」に雄略3年(5世紀 中頃)と書かれ、正倉院文書にも出てきますから、相当な歴史を持つ古社です。生駒 山を神体山として、檜皮葺き春日造りの社殿が7棟も並び神さびた雰囲気を醸します 。社殿からの急な石段を下りると、高床式の座小屋や高座など祭に使われる建物が広場を囲んでいます。火祭りはここが舞台。祭神の伊古麻都比古神(いこまつひこのかみ)と伊古麻都比賣神(いこまつひめのかみ)は火をつかさどる神として信仰を集め 、歴代天皇の即位時に用いられる火燧木(ひきりぎ)を献上してきたといいます。
地元では上座と下座という座を組織し、互いに競い合いながら祭りの行事を繰り広 げるのです。祭は体育の日の前日ですから今年は12日に宵宮、13日が本番。祭の当日 は午前中に宮司を中心とした祭礼があり、午後1時過ぎからクライマックスへと向か って盛り上がります。
4つの神輿(みこし)が広場に運ばれ、高座に収まると上座、下座が競争で神饌( しんせん)を供えます。男たちが駆けるのですから、ハギで編んだ器に入ったもち米 を蒸して作る「しらむし」も鏡餅も盆に踊ります。その後、祝詞や奉幣、剣の舞、海 老舞と続いていよいよ火祭り。
点火された2つの大松明(たいまつ)は先を競って石段を下り、広場に置かれたス スキの穂を束ねたものに火を移します。火は一瞬に燃え上がり、炎の塊はパチパチと はじけながら境内を去るのです。その間数秒。
勇壮で優雅で、どこかおかしみのある不思議な祭はあっけないほどの幕切れ。人々 は心を残しながら三々五々神社を後にして帰ります。祭が終わる頃、境内には山の冷 気がしのび寄って秋を実感するのです。

火祭りが一層盛り上がるためにもきっと晴れますように。

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10 月 神無月
奈良公園
 
メールにもちょっと時候の挨拶
「コスモスの花って明治時代に日本へ伝えられたって知ってた?昔から日本に自生して いたように思っていました。だって秋桜って書くでしょ、古い感じしませんか?」
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「 秋の七草って言えますか?ススキ、葛、撫子、女郎花、藤袴、桔梗、萩ですよ。春の 七草は五七五七七で覚えやすいのに秋のは難しい。言葉のリズムって偉大ですね。」
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「秋風が立つと急に鍋物が恋しくなります。最近のお気に入りは『ねぎま鍋』。濃いめの 出汁をはって煮立ったらぶつ切りのマグロと白ネギを煮るのです。他には何も入れな いで、七味で食べるとおいしい!試してみてね。」
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「神無月、時雨月、初霜月、いよいよ十月です。」
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「街路樹の葉もすっかり色づきました。中でもナンキンハゼのきれいなこと。」
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「天高く馬肥ゆる秋なんて言いますが、馬を目にすることってありませんよね。」