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翌朝は2時に起床、身支度を整えて朝食です。こんな早朝、作る方も大変ですが、食べる方も大変なのだそうです。押し込むようにして食べ、3時には出発です。真っ暗な道をヘッドライト頼りに歩くのですが、いきなりの厳しいつづら坂を急ぎ足で上っていきます。これは参加者の体調を見分けるため。ここでついていけないようではいずれ脱落するとか。やがて吉野水分神社に到着。ここではお茶の接待をいただきますが、新客たちはお祓いを受けることになっています。このあたりから夜が明けて、吉野の美しい風景がより森厳に見え、感動的です。 金峯神社へ到着すると新客は義経隠れ堂と呼ばれる窓ひとつないお堂に入って行をしなければなりません。新客にとっては厳しい行への不安が募るのですが、こうして、心を試し、鍛えていくのです。
ここからはいよいよ山道。ここで最後の覚悟を尋ねられます。引き返す最後のチャンスなのです。昭和45年まで、女性はここまでしか入れなかったことを示す女人結界石が残されています。今は山上ヶ岳辺りだけが女人禁制。吉野杉が茂る山は昼間もほの暗く、土や木の香りが体に染み渡るようです。霧などが出るとそれは幻想的で夢の中を歩く気分。こうして、70靡の愛染の宿から、宿所となる69靡の二蔵の宿へとひたすら歩き勤行を行うのです。 |