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  五番関の女人結界では、山上ヶ岳を目指す男性修験者とここから洞川へと下る女性修験者が別れます。更に厳しい修行へと向かう男性修験者たちの無事を祈りながら見送った女性たちは天河弁財天社を目指します。
  天ノ川の東岸に、山を背にして社殿が建つ天河弁財天は役行者が感得した弁財天を祀ったものと伝えられています。弘法大師空海もここを大峰修行の根拠地にしたといい、修験道の隆盛とともに栄えた由緒ある古社です。芸能の神として信仰を集めてきた天河弁財天は古くから能楽とのかかわりが深く、室町期以降の能面、能衣装、文書などたくさんの社宝が伝えられています。能面の中には永享2年(1430)に観世元雅が納めたものも残され、水毎年7月17日の大祭には観世座の能が奉納されてきました。
  平成10年には大峯山脈の西側、川上村神之谷にある金剛寺にも参拝したそうです。村の中心地から吉野川沿いにさかのぼった谷にある金剛寺は役行者の創建と伝えられています。後醍醐天皇も帰依した寺は本尊が黄金の仏であるという縁起から金剛寺の名がつけられたとか。この由緒ある寺に参拝をし、翌日には経筥岩で男性修験者たちと合流しました。普段の年は行者還岳で合流します。
  修行は女人禁制の山上ヶ岳周辺で行われる以外、男性、女性の区別がありません。水行も山行も自分の力だけが頼りです。心も体もすっぴんの自分と向き合うのは最初、勇気がいるかも知れませんが、一度この快感を味わうと「来年も!」という気持ちになるそうです。心もお肌もつるんと一皮むけるのでしょうか。
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大峯奥駈道を行く 「第4回 聖と俗が交わる街、洞川」

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